【どういう斜面が危ない?】阿蘇の特徴は?”体感”防災教室
- 2023年08月07日
阿蘇の土砂災害のリスクについての授業は南小国町立南小国中学校で実施しました。
講師は、地質学が専門の熊本大学の鳥井真之教授です。
今回の授業では、
『阿蘇特有の土砂災害のリスク』と『土砂災害のリスクがより高い場所の見つけ方』を
教えてもらいました。
先に要点をお伝えします!
『阿蘇特有の土砂災害のリスク』は、大きく3つのタイプがあります。
①火砕流が固まった岩がゴロっと崩れる
②軽石や火山灰などに雨水がしみこんで斜面が崩れる
③火山灰がたまった緩やかな斜面がずるっと滑る
『土砂災害が起こりうる場所の見つけ方』は2つ。
①杉の根本が曲がっているところ
②生えている樹木の種類が違うところ
では詳しくみてきましょう!
『阿蘇特有の土砂災害のリスク』
①火砕流が固まった岩がゴロっと崩れる
見に行ったのは、南小国中のすぐ裏にある山。
そこに縦に筋が入ったような岩肌が見える崖がありました。
これは、阿蘇の火砕流が固まった柱状節理です。
触ると固いのですが、柱と柱の間に雨水が大量にしみこんだり、
地震などの衝撃が加わると、
ゴロっと柱ごと崩れることもあります。
大きく崩れると、岩が落下してくるため
住宅などを大きく破壊するおそれもあるのです。
②軽石や火山灰などに雨水がしみこんで斜面が崩れる
同じ山には、阿蘇の火砕流が上記の岩のように固まらなかった場所もあります。
この丸で囲った部分。他のところより、少し白っぽくなっているのがわかりますか?
ここに火山灰や軽石を見ることができます。
ここに雨水が染み込み、重さに耐えきれなくなると崩れるのです。
実際に1990年7月、学校の校庭に面する斜面が崩壊。
斜面も白っぽいのが写真を見るとよくわかります。
固まらなかった火山噴出物に雨水がたまり、一気に崩れたのです。
幸い人的な被害はありませんでしたが、学校の校庭一面が土砂に覆われました。
改めて土砂災害の恐ろしさがこの写真からよくわかります。
③火山灰が降り積もった緩やかな斜面がずるっと滑る
これは熊本地震のときに明らかになった阿蘇特有のリスクです。
軽い火山灰が降り積もった場所では、緩やかな斜面でも崩れることがあるのです。
この写真の斜面の角度は15度ほど。
崖というより坂のような場所で崩れました。
『土砂災害発生リスクがより高い場所の見つけ方』
①杉の木の根元が曲がっているところ
杉は真上に向かって真っすぐ伸びる習性があります。
しかし、写真の杉は根本が曲がっています。
これは、過去に斜面が動いたためだと考えられるのです。
1度動いたことがある斜面は、地盤がゆるい斜面の可能性があり、
再び崩れる恐れがあるのです。
鳥井教授は、こういった根本の曲がった杉が、まとまって生えている場所は
特に注意してほしいと話していました。
②生えている樹木の種類が違うところ
九州の山地は杉が植樹されているところが多くあります。
そうした中で、広葉樹がまとまって生えているところがあります。
こうした場所、過去に斜面が崩れてそのまま放置された結果、
自然に広葉樹が生えてきた可能性があります。
しかし、斜面が急すぎたため杉が植樹できず、
広葉樹が生えているような場所もあるので、
一概に広葉樹が生えているからといって、過去に土砂災害が起きたとは断定できません。
過去に斜面が崩れた場所やその近くは、土砂災害のリスクがある可能性があります。
土砂災害は、急に発生します。気づいたときには避難は難しくなります。
事前にハザードマップを見て、改めて危険な斜面を確認してください。
NHK全国ハザードマップで土砂災害リスクを確認する↓
https://www.nhk.or.jp/campaign/w-hazardmap/