【特集】脳・神経の病気まとめ それぞれの症状・検査・治療法

更新日

【特集】脳・神経の病気まとめ それぞれの症状・検査・治療法

体が思うように動かない、手足が震えるようになってきた―
実は脳・神経の病気によって、体の思わぬ箇所に思わぬ障害があらわれることがあります。
こうした「脳・神経の病気」には「パーキンソン病」や「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」など様々なものが。その症状や治療法はどのようなものなのでしょうか?放置すると命が危険な状態にもなりかねない「脳・神経の病気」をまとめました。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは?

まずは、指定難病であるALSからみていきましょう。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、全身の筋肉がやせて、力がなくなっていく病気です。発症すると進行を止めることはできません。根本的な原因は今のところ解明されていません。

高齢になるにつれてALSを発症する人が増えていることから、加齢と関係していると考えられています。ALS患者の約5%は、家族歴のある遺伝性で、約95%は遺伝に関係なく発症しています。

筋肉がやせていくので筋肉の病気と誤解されがちですが、ALSは脳と脊髄にある運動ニューロンが障害されることによって起こります。ニューロンとは神経細胞のことです。私たちが手足や顔などを動かそうとするとき、その信号を脳と脊髄から筋肉に送る働きをするのが運動ニューロンです。

運動ニューロンが正常な場合とALS患者の場合の違いのイラスト

上にある画像のように、ALSの場合、この運動ニューロンに異常が起こります。
すると、脳からの信号が筋肉に伝わらなくなるため、筋肉が動きにくくなり、やせ細って筋肉も衰えていきます。

初期症状が異なる2つのタイプ

ALSは初期症状の現れかたで、大きく2つのタイプがあります。
1つ目は、「手や足の筋肉が弱まるタイプ」です。

ALSの初期症状

具体的な症状としては、「箸が持ちにくい」「重いものが持てない」「手や足が上がらない」「手足の筋肉がやせる」「筋肉がピクピクする」「筋肉に痛みやツッパリ感がある」などが挙げられます。

もう1つは、「舌やのどの筋肉が弱まるタイプ」です。

ALSの初期症状(舌やのどの筋肉が弱まるタイプ)

舌が思うように動かせなくなるため、言葉を発しにくくなります。特に「らりるれろ」の発音がうまくできなくなります。

その他、「舌の筋肉がやせて細かく震える」「食べ物やつばが飲みにくい」「むせやすい」などの症状も現れます。さらに顔の筋肉が弱ってくると、よだれが垂れるようになったりします。

どちらのタイプも病気が進行すると、全身の筋肉が障害されて、呼吸に必要な筋肉も動かしにくくなり、呼吸障害が起こるようになります。

ALSの初期症状や原因をもっと詳しく知りたい方はこちら

手足・言葉やのどに違和感があったら まずは神経内科を受診!

ALSはできるだけ早く診断をつけて介入することで、生活の質を保ちながら長く生きることができるようになっています。早く見つけて適切な治療を行うことで、発症から10年以上経過しても進行が抑えられている人もいます。

しかし、初期症状が手足や言葉・のどの違和感からはじまるため、多くの患者さんは、整形外科や耳鼻咽喉科を受診しています。

手足の異常の場合は、頚椎症と症状が良く似ているため間違われることもあり、ALSの治療開始が遅れてしまうこともあります。いち早く治療を開始できるように、手足や言葉・のどに違和感があったら、まずは神経内科(脳神経内科)を受診してください。

ALSの検査と治療法について

ALSを診断するためには、問診・視診・触診・筋電図検査・脊髄のMRI検査などを行います。

ALSでは、「病気の進行を抑えるための薬」と、「さまざまな症状を和らげる薬」を使って治療を行います。

また、栄養状態が良いと生命予後が良くなる(より長く生きられる)ことが分かっているため、食べることも大事な治療の一環です。

症状が進み、呼吸が苦しくなった場合は、マスク型の簡易な人工呼吸器(鼻マスク)で呼吸補助をする治療を行います。

検査や治療法についてもっと詳しく知りたい方はこちら

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、意外と身近な病気です。
0歳以上のおよそ100人に1人が発症すると言われています。

パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質「ドパミン」が作られなくなる病気です。ドパミンが減少すると運動の調節がうまくいかなくなり、動作がゆっくりになったり、動きがスムーズでなくなったりするのです。

パーキンソン病の初期症状 こんなときは受診を

最初の症状には、手が震えたり、よく転ぶようになったりすることなどがあります。
老化のせいと思いがちですが、パーキンソン病の場合、手の震えは、じっとしていると起きて何かの動作をすると出ない、片方の手だけに出るなどの特徴があります。

  • 手足のふるえ
  • 動作が遅い・少ない
  • バランスがとれない
  • 筋固縮(腕や足を動かすとカクカクする症状)

などの兆候があったら、神経内科で診察を受けましょう。

70歳以上になると100人に1人が発症!?パーキンソン病とは

発症する症状は、進行度合いによって異なる

パーキンソン病は何年もかけてゆっくり進みます。パーキンソン病は、かつては「寝たきりになる病気」といわれていましたが、適切な治療をすれば症状はかなり抑えられ、発症してから10~15年、さらにはそれ以上の期間、自立した生活を送ることができます。

最も初期から現れる症状は、手足の震えです。進行には5段階あり、最初は症状が体の片側に起こります。進行すると、症状は徐々に両側に広がります。

パーキンソン病の進行についてのイラスト

発症してから数年後、さらに進行すると、体のバランスが保てなくなります。その後、介助が必要な段階を経て、最も重症な段階になると、車いすなどが必要になります。

パーキンソン病の検査と治療法

パーキンソン病を診断するには、どのような検査が行われるのでしょうか。
神経内科では、まず問診で詳しい話を聞き、体の動きやバランスなどを細かく調べます。パーキンソン病が疑われた場合は、画像検査が行われます。

詳しい検査方法について知りたい方は、こちらから

パーキンソン病は、薬によってドパミンを補うことで運動の症状を改善します。

「手のふるえ」などの症状は薬でかなり抑えることができ、発症して2~3年前後は、治ったのではないかと思うほどよくなります。進行後も、薬を適切に組み合わせることで、10~15年、さらにはそれ以上の期間、自立した生活を送ることができます。

パーキンソン病の治療に用いられる「薬」や、手術などについて、より詳しく知りたい方はこちらから

パーキンソン病のリハビリ

リハビリと薬は、パーキンソン病の治療に欠かせない車の両輪です。
パーキンソン病では、自分で考えているより動きが鈍くなり、放置すると病気の症状以上に体は動かなくなります。意識して運動し、悪化させないことが大切です。

パーキンソン病のリハビリ(運動、話し言葉のリハビリ)について、詳しく知りたい方はこちらから

てんかん とは?

てんかんは、およそ100人に1人がかかると言われていて、多くの患者さんがいます。
子どもの時に発症することが多く、てんかん発作が続くと脳の発達が妨げられてしまうので、少しでも早く診断して、適切な治療を開始することが重要です。

そこでまずは、子どもが発症するてんかんの特徴について、みていきましょう。

子どものてんかん

てんかんは、突然、脳が興奮しててんかん発作が起きる病気で、手足がひきつったり、意識がなくなるなど、さまざまな症状が起こります。

子どものてんかん発作は大きく2つのタイプに分けられます。
ひとつは脳の一部から起きる「部分発作」、もうひとつは脳全体から起きる「全般発作」です。

てんかん発作の2つのタイプ

  • 部分発作
    手足がひきつる、首や目が勝手に動く「運動発作」
    光が見える、音が聞こえる、手がしびれる「感覚発作」
    吐き気や頭痛が起きる「自律神経発作」 などがあります。
  • 全般発作
    突然意識がなくなる欠神(けっしん)発作
    全身が硬直する強直(きょうちょく)発作
    全身の筋肉に力が入らなくなる脱力発作 などがあります。

子どものてんかん 治療法について

てんかん治療の基本は抗てんかん薬による薬物療法です。
抗てんかん薬を服用することでおよそ7割の患者さんが発作を起こらなくすることができます。ただし、抗てんかん薬は、中枢神経を抑制するため、眠気やふらつきなどの副作用が現れやすく、1種類の抗てんかん薬を少量から開始します。

抗てんかん薬で発作が抑えられない場合を「難治性てんかん」といい、全般発作の場合には、幼児期~小学校低学年までは抗てんかん薬に加えてケトン食療法を検討します。部分発作の場合には、幼児~中学生までは手術を検討します。

「子どものてんかん」検査や治療法、手術について、もっと詳しく知りたい方は、こちらへ

大人のてんかん 原因 症状

成人の場合、てんかんの原因として多いのが交通事故などによる「外傷」です。
脳が部分的に傷つき、一部がうまく働かなくなり、発作が起こります。

成人のてんかん 主な原因

ほかの原因としては、いろいろな病気などによって脳に炎症が起こる「脳炎」。また中高年の人では「脳卒中」も原因になります。ほかにも「脳腫瘍」によって発作が起こることもあります。

焦点(部分)発作の例

発作は、脳のどこで発作が起きたかによって、症状が変わってきます。

  • 脳の意識をつかさどる領域に病気がある
    →ぼんやりする
  • 脳の運動をつかさどる領域に病気がある
    →手や足など身体の一部がピクンと動く
  • 脳の感覚をつかさどる領域に病気がある
    →手足がしびれる、何か聞こえたり見えたりする

このように、てんかん発作の症状はさまざまですが、一人の人に色々な症状の発作が起こるわけではなく、いつも同じ症状が起こるとされています。

大人のてんかん 治療法について

「抗てんかん薬」は、脳の神経細胞で起こる過剰な電気的興奮を抑えるため発作を防ぐ働きがあります。治療のガイドラインというものがあり、医師は、発作のタイプ、年齢、性別などから薬を選択します。

具体的な薬や手術などの治療法について知りたい方は、こちらへ

高齢者のてんかん 原因 症状

高齢者の場合、一番多いのが、脳梗塞や脳出血などの「脳卒中」です。
脳卒中以外にも、年をとると「脳の神経が変性する病気、神経細胞がうまく働かなくなってしまう病気」も増えてきます。ほかにも「脳腫瘍」が、てんかんの原因になることもあります。そして実際には、原因が特定できないということも多くあります。

てんかんの発作というと「全身けいれん」を思い浮かべる人が多くいますが、全身けいれんは、発作のタイプでは「全般発作」と呼ばれるものの一つで、高齢者の患者さんでは、少ないタイプです。

高齢者の場合、「焦点発作」(部分発作)といわれるものがてんかん発作の多くを占めます。焦点発作は、脳の中で過剰な興奮が起こった領域によって特有の症状が出ます。

「高齢者のてんかん」具体的な症状、検査方法や治療について、さらに詳しく知りたい方はこちらへ