詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年8月 号に掲載されています。

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ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、全身の筋肉がやせて、力がなくなっていく病気です。発症すると進行を止めることはできません。根本的な原因は今のところ解明されていません。厚生労働省の指定難病で日本の2018年度のALS患者数は9805人となっています。高齢になるにつれてALSを発症する人が増えていることから、加齢と関係していると考えられています。ALS患者の約5%は、家族歴のある遺伝性で、約95%は遺伝に関係なく発症しています。
筋肉がやせていくので筋肉の病気と誤解されがちですが、ALSは脳と脊髄にある運動ニューロンが障害されることによって起こります。ニューロンとは神経細胞のことです。私たちが手足や顔などを動かそうとするとき、その信号を脳と脊髄から筋肉に送る働きをするのが運動ニューロンです。この運動ニューロンに異常が起こると、脳からの信号が筋肉に伝わらなくなるため、筋肉が動きにくくなり、やせ細って筋肉も衰えていきます。
ALSは初期症状の現れかたで、大きく2つのタイプに分けられています。「手や足の筋肉が弱まるタイプ」と「舌やのどの筋肉が弱まるタイプ」の2つです。
具体的な症状としては、手や足の筋肉が弱まるタイプでは、「箸が持ちにくい」「重いものが持てない」「手や足が上がらない」「手足の筋肉がやせる」「筋肉がピクピクする」「筋肉に痛みやツッパリ感がある」などです。
一方、舌やのどの筋肉が弱まるタイプでは、舌が思うように動かせなくなるため、言葉を発しにくくなります。特に「らりるれろ」の発音がうまくできなくなります。その他、「舌の筋肉がやせて細かく震える」「食べ物や液が飲みにくい」「むせやすい」などの症状も現れます。さらに顔の筋肉が弱まってくると、よだれが垂れるようになったりします。
どちらのタイプも病気が進行すると、全身の筋肉が障害されて、呼吸に必要な筋肉も動かしにくくなり、呼吸障害が起こるようになります。
最近、ALSの患者さんで、「前頭側頭型認知症」を合併するケースが増えていると言われています。前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮して起こる認知症で、アルツハイマー型認知症などに多い記憶力の低下は少なく、独特な症状が現れます。特徴的な症状としては、漢字が読めなくなったり、思った言葉が出てこない「言語障害」や「怒りっぽくなる」「物事に固執する」などです。合併する人は、ALS患者全体の15%ほどとされています。
『前頭側頭型認知症の症状チェック』はこちら詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年8月 号に掲載されています。