沼津ファンに心を込めて 手作りの「ラブライブ!」パーティー
- 2023年12月29日
人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台・静岡県沼津市で12月24日に開かれたクリスマスパーティー。ことしで7回目を迎えたイベントを主催するのは地元商店街のみなさんです。
メンバーはもともと、300人が集まるイベント開催のノウハウを持っているわけではありません。何から何まで「手作り」で準備を進めてきました。
そこには、アニメをきっかけに沼津を好きになり何度も訪れてくれる人、アニメの放送が終わってなお、ずっとつながってくれるファンへの「感謝の思い」がありました。
【取材:NHK静岡 後藤康之アナウンサー】
「沼津ファンへの感謝祭」クリスマスパーティー
クリスマスイブに開かれた「あげつち商店街クリスマスパーティー2023」。アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」のファンと沼津の人たちがこの一年を振り返り、互いに交流を深めるイベントは大いに盛り上がりました。
主催者のメンバーのひとり、あげつち商店街振興組合でことしから専務理事をつとめる峯知美さんは「アニメをきっかけに沼津を訪れ、好きになってくれた人への感謝の思いを伝えたい」という思いを持ってイベントをプロデュースしました。
「私が暮らす街」がアニメの舞台になって…
峯さんは、沼津駅から徒歩5分ほどのところにある「あげつち商店街」にある写真館で、着付けやヘアメイクなどの美容担当スタッフとして28年にわたって働いています。
「主人公のひとり・津島善子が住むまち」として、いまでは関連イベントがないときでも大勢のファンが訪れる場所。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の放送が始まって以降、徐々に増えてきたファンの姿を見て、商店街のメンバーも「その思いにこたえたい」という思いが強くなったといいます。
(峯さん)
「沼津がアニメの舞台になる」と聞いて、正直、最初は何が何だか…どうしたらいいかも分かりませんでした。だから息子や娘に言われて、まずはいわゆる「アニメの聖地」になっているほかの地域の様子を調べたり、商店街のメンバーで集まって「ラブライブ!」の上映会・勉強会を開いたりもしました。
そして私たちとしては「とにかくあいさつするだけでもいいから、あたたかく迎えよう」とだけ考えていましたね。
実際にアニメのファンに会って話をしてみると、本当にみんないい子たちなんですよ。
私たちが暮らすこの沼津、この商店街を応援してくれるたくさんの人に出会えて、しかもその子たちは手みやげや誕生日プレゼントまで持ってきてくれる。そういう「仲間」と一緒にいる時間は本当に「ご縁だな」と思っていて。
「みんなが盛り上げてくれるんだったら、私たちももっと、喜んでもらえる何かがしたいよね」って考えてはじめたことのひとつがクリスマスパーティーなんです。
ことしのパーティーも、およそ2か月前からホテルの関係者、呉服店の店主、時計店の従業員など、商店街のメンバー5人が集まり、運営方法や企画などについて検討を重ねました。
およそ300人が集まるイベント。プロがサポートしてくれるわけではありません。何もかもが「手作り」です。
会場の装飾、ディナーのメニュー考案、企画の映像編集、当日の進行表の作成…。それぞれの得意分野を活かしつつ、仕事の合間を縫って準備を進めてきました。
ひとり何役…?手作りパーティー・怒とうの4時間!
迎えた当日、12月24日。
手作りのクリスマスパーティーがスタートすると、峯さんはさらに忙しく動き回ります。
商店街のメンバーと一緒に司会として進行を担当しつつ、主催者のひとりとして壇上に上がってお礼の言葉を述べ、手が空いたら「記録係」としてカメラマンになったり、トラブルが起きていないか、会場内の見回りをしたり…。
来てくれたみんなに楽しんでもらいたいと、終了までの4時間あまり、立ち止まることなく動き回っていました。
イベントを「同窓会」みたいにしていきたい
イベント終了後、峯さんが楽しみにしている時間が訪れます。ファンとの交流です。
アニメをきっかけに写真館を訪れ、そこで仲良くなった人たちが、峯さんのもとに集まります。
(神奈川県から参加した「クオン」さん)
(峯さんとは)写真館に行ったときにお話しさせてもらって仲良くなりました。「ラブライブ!サンシャイン!!」がなければ沼津に来ることもなかったので、すごい縁ですよね。
作品もファンも大事にしてくださる峯さんが大好きです。これからもよろしくお願いします!
(東京から参加した「ぽん」さん)
3年連続で参加しているんですけど、あげつち商店街の人の「愛」をたくさん感じられるイベントで、毎回楽しいです。
トミーさんは今回もバタバタして大変そうだったんですけど、本当にありがとうございました。
月に1回のペースで沼津に来ているので、また来ます!
ファンとの交流や会場の後片付けが終わり、ようやく峯さんが落ち着くころには9時半を過ぎていました。
疲れと安どが同居した表情の峯さんにカメラを向けることに多少の申し訳なさを感じつつも、最後にイベントの感想とこれからの目標を聞きました。
(峯さん)
私だけじゃなく商店街のみんなが準備段階から当日までひとり何役もこなしてくれたし、出演してくださるみなさんが楽しんで動いてくれて、私の方が今回は助けられた感じで…。本当にありがたかったです。
あらためて、沼津を大切にしてくれているファンのみなさんのおかげで、私たちもAqoursを一緒に応援させてもらえてるんだなって思います。
(ことしで7回目の)このイベントも、まずは10回を目指したいなって。私たちもファンも年を取っていく中で、毎年恒例の「同窓会」みたいにしていきたいと思っているんです。
だから、商店街も私も元気でいなくちゃね!
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