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後藤康之アナが先生に! “ことばで命を守る”防災出前授業

中学生が考える 身近な人に避難を促す「呼びかけ」 (NHKニュース たっぷり静岡「みんなで防災」)
  • 2023年10月18日

災害が予想されるとき、災害が起きたとき、命を守るためのどのように呼びかけたらよいか?
NHKアナウンサーは災害報道に備え、呼びかけのことばの改善を重ねてきました。

この呼びかけの文言を考えてもらう「防災出前授業」を、静岡県内の2つの中学校で実施。
身近な人に避難を促し、みんなで助かるためには、いつ・誰に向けて・どのようなことばをかければいいか。生徒たちが真剣に考えました。

★記事の末尾には期間限定で動画も公開!★

「ことば」が命を救う ~避難を促す"呼びかけ"~

「外に出て避難するのが難しければ、家の中の高いところへ移動してください。」
「暗くなって避難が難しくなる前に、早めの避難をお願いします。」
・・・私たちNHKのアナウンサーは災害報道の中で、ニュースをお伝えするとともに「呼びかけ」を行うことで、命を守るための具体的な方法や思いを伝えています。

ことばで、ひとりでも多くの人の大切な命を救えないか。
東日本大震災以降、全国のアナウンサーが調査や検討を重ね、紡いてきたことばを、NHKではホームページで公開しています。

参考:「NHKアナウンサー 命を守る"防災の呼びかけ"」
※画像をクリックするとページに移動します

実はこの呼びかけ、「身近な人であればあるほど避難行動に結びつきやすい」ことが明らかになっています。

NHK放送文化研究所が2019年に実施した世論調査の結果を見てみると、避難行動をあと押ししたのは、テレビなどの呼びかけよりも「家族や消防団など身近な人からの声かけや呼びかけ」と答えた人が多かったことが分かります。
つまり、一人ひとりが近所の人に呼びかけながら避難すれば、より多くの人が助かるかもしれないのです。

そこで、災害の危険が迫ったとき、みんなが助かるために周囲の人にどのようなことばをかければいいか、その具体的な文言を考えてもらおうという「防災出前授業」を、去年の台風15号で被災した地区にある、静岡市清水区の2つの中学校で実施しました。

中学生が「命を守る呼びかけ」に挑戦!

静岡市立清水飯田中学校

10月4日。おじゃましたのは、静岡市清水区にある清水飯田中学校です。
去年の台風15号では近くを流れる巴川の支流が氾濫し、学区の広い範囲が水に浸かりました。

体育館には2年生105人が集まりました。
先生や生徒たちの視線が集まる中、ちょっとドキドキしながら授業開始です。

まず、呼びかけには大きく分けて3つのパターンがあることを説明しました。
「情報を伝える」
「〇〇川が氾濫したよ」などの情報を伝えることで人に動いてもらいます。
「心を寄せる」
「あなたの大切な命を守りたいんです」「一緒に頑張りましょう」などと伝えることで心に響かせて動いてもらいます。
「関心のない人を振り向かせる」
「高台の親せきの家に行けば孫の顔が見られるよ」など、避難に関心がない人に対してその人ならではの心が動くポイントをつき、避難を促す方法です。

これをヒントに、生徒たちは住んでいる地区ごとに分かれて、どうなったときに、誰に向けて、具体的にどのようなことばで避難を促すかを考え、発表しました。

「危険が伝わるように呼びかけよう」「『早く逃げて!』かな?」
生徒たちは活発に議論を交わしました
呼びかけを発表する生徒
「洪水警報で避難指示が出たとき『みんなで避難所に行かない?』と呼びかけます。」
参加した生徒
「きょうの授業で、自分のことばにも人を助ける力があるということがよく分かりました。」

去年の台風15号で被災した生徒もいる中、浸水被害から命を守るためのことばを真剣に考える表情が印象に残りました。

ところ変われば「呼びかけ」も変わる!土砂災害から命を守ろう!

静岡市立両河内小中学校

10月12日におじゃましたのは、同じく静岡市清水区の両河内小中学校。
学区全体が興津川やその支流沿いの山あいにあり、去年の台風15号では土砂崩れも発生しました。

呼びかけのことばを考えたのは、中学1年生から3年生、合わせて37人です。

土砂災害はひとたび発生し、巻き込まれてしまうと命の危険に直結します。土砂崩れが起きる前に、周りの人にどのようなことばをかけるのかを考えました。

呼びかけを発表する生徒
「避難所にはみんないるよ、生きたいならついてきて!」

少し強めの表現で「少しでも早く、そして絶対に避難してほしい」という思いのこもった呼びかけが多く生まれました。

最後に、授業のまとめとして、私から生徒たちに3つのことを伝えました。

まずは自分の身の安全を確保しましょう。
周りの人の心を動かす“ことば”を持ちましょう。
周りに呼びかけながら率先して避難しましょう。みんなで助かりましょう。

生徒の皆さん一人ひとりが防災リーダーになってくれることを期待して、授業を終えました。

工夫しだいでより効果的な呼びかけに!

今回「防災出前授業」を実施した2校はともに被災した経験のある地域。中学生の皆さんの作った呼びかけのことばは、どれも「周りの人を助けたい」という気持ちのこもったものばかりでした。

呼びかけをきっかけに避難してもらうために、さらにひと工夫すると「自分のこと」として感じてもらいやすくなります。

呼びかけの文言に「なじみの場所の名前」を入れる。
近くにある場所の具体的な名前を入れて呼びかけると、自分が当事者だという意識がぐっと高まります。
呼びかける相手を示す。
誰に向けて呼びかけているかを名指しすると「自分に対して言われている」ことが分かり、呼びかけの効果が高まります。
地域の過去の災害を例に出す。
その地域で過去に起きた災害を思い出してもらうことで「あの時と同じ目にはあいたくない」と、避難に結びつけてもらいやすくなります。

災害はいつ起きるか分かりません。
災害が迫ったとき、自分の命と合わせて周りの人の命を救うための呼びかけ・ことばを、皆さんも考えてみてください。

★放送の動画はこちら↓【期間限定で公開】★
 

  • 後藤康之

    静岡放送局 アナウンサー

    後藤康之

    声優志望からアナウンサーに。平日夕方6時台の「NHKニュース たっぷり静岡」キャスターを担当。2014年の広島土砂災害や2022年の台風15号など、豪雨災害の取材を数多く経験。

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