富士山 登山者急増でごみ問題は? 回収登山に密着去年上回る?
- 2023年09月14日
世界文化遺産登録から10年となった富士山。ことしの夏山シーズンは、新型コロナの規制緩和によって登山者が急増すると見込まれました。懸念されたのは、これまでにも問題となっていた登山道脇に残されるごみ。ことしはどうだったのか、9月2日、ごみの回収に取り組んでいる山岳ガイドに同行取材しました。
午前6時半 ごみ回収へ出発
静岡県小山町にある富士山須走口5合目。標高2000メートルの地点です。
午前6時半。山岳ガイドたちが山小屋の前に集まりました。
山小屋を営む米山千晴さん(73)。町の委託を受けてごみの回収を行っています。山岳ガイドたちと注意点などを確認し、送り出しました。
今シーズンは47日間 延べ90人余が回収登山に
ことしは週末を中心に、47日間にわたって、延べ90人余りの山岳ガイドが5合目から8合目にかけてごみ回収の登山をしました。
ペットボトル 手袋 ストック…
登り始めて10分もたたないうちに登山道の脇でペットボトルを見つけました。中身が半分ほど残っています。
さらに手袋や登山用のストックもありました。
「使おうと思えばいくらでも使えるのにもったいない」(山岳ガイド)。
去年の1.5倍! 1200キロを回収
5合目から8合目にかけて行われるごみの回収。この夏は毎回、ひとりあたり20キロから30キロを背負って下山したということです。回収したごみは写真を撮って記録。この夏は去年の1.5倍にあたるおよそ1200キロに上ると推計されています。
ことしは特に衣類や食べ物のごみが多かったといいます。
「いちばん多いのがビニールカッパや衣類。もともと重いうえに濡れると重さが倍以上に。その重さに耐えられない。また、空気が薄いので食べると吐き気がする。それで食べ残しを置いていってしまう」(米山千晴さん)
大量のごみ 原因は登山者の知識不足か
ごみの量が多いのは登山者の知識不足に原因があるのではないかと米山さんは考えています。
「富士山の標高はわかっても山の環境はわからない。そういう方が登っていく。あらゆるものが面倒くさくなって、ごみとして置いていってしまう。富士山は神聖な場所だけど、そこにごみを置いていいのかと教えてあげないと、これから先もなくならない」(米山千晴さん)
回収費用は「入山料」で義務化も検討へ
県はホームページやSNSを通じて、ごみを持ち帰ることなど環境保全を呼びかけていますが、効果は十分あがっていないのが実情です。登山者に任意で求めているいわゆる「入山料」の一部が回収費用に充てられていますが、県は、公平な負担などの観点から徴収を義務化できるかどうか、一定の方向性を来年の夏までにまとめる方針です。
残念ながらごみは大幅に増えていました。減らすには持ち帰るのがいちばんです。