民党総裁選 立会演説会
3氏が訴え

自民党総裁選挙は、8日午後、立会演説会が行われ、本格的な論戦が始まりました。石破元幹事長は、東京一極集中を是正し地方創生を進めることを訴え、菅官房長官は、安倍政権の継承とともに省庁横断でデジタル化を推進するデジタル庁を新設する考えを明らかにし、岸田政務調査会長は、新型コロナウイルスによって広がった格差の解消に取り組む考えを示しました。

8日告示された自民党総裁選挙は、午後1時から党本部で立会演説会が行われ、石破元幹事長、菅官房長官、岸田政務調査会長の3人が立候補の決意などを述べ、支持を訴えました。

石破氏の訴え

石破元幹事長は、「自民党は、勇気を持ち、自由かったつに真実を語る政党でなければならない。あらゆる組織と協議し、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる政党でなければならない」と述べました。

そのうえで、「鉄道や道路、情報網が発達すればするほど、東京への一極集中が進むのは国の仕組みによるものだ。もう一度、地方創生に全身全霊をかけ、新しい日本をつくり、『納得と共感』の政治を行い、『グレートリセット』としてこの国の設計図を書き換える。日本のため、次の時代のために、全身全霊で臨みたい」と述べました。

菅氏の訴え

菅官房長官は、「安倍総理大臣が道半ばで退くことになり、この国難にあって政治の空白は許されず、一刻の猶予もない。安倍総理大臣が進めてきた取り組みをしっかり継承し、さらに前に進めたい」と述べました。

そのうえで、「新型コロナウイルスで浮かび上がったのは、デジタル化の必要性だ。行政のデジタル化については、できることから前倒しして措置し、複数の省庁に分かれている政策を強力に進める体制としてデジタル庁を新設したい」と述べました。

岸田氏の訴え

岸田政務調査会長は、「安倍総理大臣が残した輝かしい成果を土台として、次の時代を考えていかなければいけない。多くの国民の声を丁寧にしっかり聞き、政治のエネルギーに変える『聞く力』を再確認して新しい時代に向かっていかなければならない」と述べました。

そのうえで、「新型コロナウイルスの戦いで格差が生じていて、真剣に向き合わなければならない課題になっている。成長の果実の分配を考えなければならず、中間層に対しては、教育や住宅の支援が最も効果的であるという議論も行われていて、最低賃金の引き上げも考えていく。全身全霊をかけてこの選挙に臨んでいきたい」と述べました。

新型コロナ対策で入場制限 ネット中継も

今回の立会演説会は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、党執行部や各陣営の入場を20人までに制限し、そのもようは、インターネットで中継されました。

選挙管理委員の岩屋元防衛相「全力で訴えてほしい」

自民党総裁選挙の選挙管理委員を務める岩屋毅 元防衛大臣は、立会演説会のあと記者団に対し、「3人の候補者による正々堂々とした演説で総裁選挙がスタートできてよかった。安倍総理大臣に対する敬意を表したうえで、何を引き継ぎ、どこを変えていくのかが問われる。3人とも全力で訴えてほしい」と述べました。

立会演説会 3陣営の反応は

石破元幹事長の陣営の選挙対策本部長を務める山本 元農林水産大臣は、記者団に対し、「石破氏の演説には華があり、情熱がぐいぐい伝わってきた。安倍政権では、安倍総理大臣と石破氏の間で『引き算』の関係だったが、今回は、石破氏、菅氏、岸田氏で『足し算』となるような戦いをしたい」と述べました。また、石破陣営の地方票の獲得目標については、「各都道府県で1票ずつ、合わせて47票を上乗せしたい」と述べました。

菅官房長官の陣営で選挙対策本部の役員を務める桜田 元オリンピック・パラリンピック担当大臣は、記者団に対し、「それぞれの候補者に特徴があり、性格も政策もわかる、いい演説会だった。国の政策をしっかりと打ち出せる人が総裁にふさわしい」と述べました。
菅官房長官の陣営の木村哲也衆議院議員は、記者団に対し、「演説は3人とも力強く、菅氏は、生い立ちから政治家になるまでの思いを訴えていた。今は政治の実行力や解決力、そして強いリーダーが求められていると思う。地道に菅氏の政策を党員に訴えていきたい」と述べました。

岸田政務調査会長の陣営の選挙対策本部長を務める谷垣グループの遠藤 元オリンピック・パラリンピック担当大臣は、記者団に対し、「岸田氏は、日頃、自分の思いをあまり出さないイメージがあったが、きょうは、長年培ってきた経験や思いをしっかり伝えていた。また、中間層や所得の低い人、恵まれない人をしっかり支援する『協調社会』を作っていくという、大変いい話をしていた。このような思いを党員や国会議員に伝えていけば、共感を得ることができると確信している」と述べました。