「日韓関係に新たな
作る意図も」専門家

島根県の竹島付近の空域で、韓国軍がロシア軍機に対し「領空を侵犯した」として、戦闘機による警告射撃を実施したと発表しました。

ロシアの軍事に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠特任助教は、NHKの電話インタビューで今回、ロシア軍と中国軍が協調していたという見方を示したうえで、悪化する日韓関係にさらなる火種を作る意図があった可能性もあると指摘しています。

この中で小泉氏は、防衛省が公表したロシア軍機と中国軍機の飛行経路について「両国の経路が一致していることが印象的だ。これは従来では見られないパターンだ」として、これまでにない特異な行動だと分析しました。

そして、ロシアと中国が両国間の軍事協力に関する協定の締結に向けて協議していることに触れ、「中ロの軍事協力強化の1つの現れとして、今回の行動を取った可能性は排除できない」と指摘しました。

さらに、両国のねらいについて「かなり政治的な意図をもって行動を起こしたと見たほうがよい」という見方を示しました。

そのうえで、今回のロシア軍機と中国軍機の行動について「明らかに竹島を意識した行動に見える。日韓の非常に微妙な位置にある場所で、中ロがこうした行動を取ったことを考えると、中ロ両国として日韓関係に影響を及ぼし、存在感をアピールしようとしたと考えられる」と述べました。

そのうえで「日韓関係が非常に悪い状況にある中で、中ロが一緒に竹島周辺で軍用機を飛ばせば、関係はさらに悪化する」として、日韓関係にさらなる火種を作る意図があった可能性もあると指摘しています。そして「今後、これが常態化するならば日本の安全保障上の懸念が高まる」と述べ、日本の安全保障上、大きな脅威になるという見解を示しました。

一方、韓国空軍の戦闘機の警告射撃については「事前に何度も警告の通信をしたとされ、これに反応がなければ残された手段は警告射撃しかない」としたうえで、合わせて360発余りの実弾を発射したことについては「戦闘機が積んでいる機関砲は発射速度が速く、短い時間でもそれくらいの数にはなる」と指摘しました。