国の司法判断に懸念
半導体関連企業が事業撤退

日本の半導体関連メーカーが、韓国で司法判断への懸念があるとして事業から撤退することを明らかにしました。韓国では去年10月以降、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、日本企業に賠償を命じる判決が相次いでいて、司法判断への懸念が事業の継続に影響を与える形となりました。

韓国から事業の撤退を決めたのは、東京に本社のある半導体関連メーカー「フェローテック ホールディングス」です。

会社側によりますと、ことし2月、韓国中西部チュンチョン(忠清)南道にある子会社と元社員3人が、設備の図面を盗用したとして不正競争防止と営業機密保護に関する法律違反の罪で、韓国の検察から起訴されたということです。

子会社と元社員が起訴されたことを受けて、会社側では15日、韓国での事業から撤退することを明らかにしました。

その理由として会社側は「韓国での日系企業に対する司法判断について、司法の独立性が完全に担保されない懸念がある」としたうえで、「潜在的なリスクを最小化することが最も適切と判断した」として、韓国での司法判断への懸念が事業の撤退につながったことを指摘しました。

韓国では去年10月以降、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、日本企業に賠償を命じる判決が相次いでいて、司法判断への懸念が事業の継続に影響を与える形となりました。

官房長官「日本企業保護へ緊密連携」

これについて菅官房長官は17日午前の記者会見で「政府としてコメントは差し控えるが、旧朝鮮半島出身労働者問題については、現在に至るまで、韓国政府が協定違反の状態を是正する具体的な措置を取らず、加えて原告側による差し押さえの動きが進んでいることは極めて深刻に受け止めている」と述べました。

そのうえで「韓国政府に協定に基づく協議を要請し、それに応じるよう重ねて求めてきており、日本企業の正当な経済活動を保護する観点からも、引き続き関係企業と緊密に連携を取りながら日本政府としての一貫した立場に沿って対応していきたい」と述べました。