国の禁輸継続「外交の
敗北 政府の責任重い」自民

WTO=世界貿易機関で、韓国政府による水産物の輸入禁止の撤廃を求めていた日本側の主張が退けられたことを受けて、自民党の合同会議が17日に開かれ、議員からは「外交の敗北だ」などと日本政府の対応を問う厳しい意見が相次ぎました。

自民党の水産と外交の合同会議では、外務省の幹部が、WTOの上級委員会の報告書を説明したうえで、今後は韓国との2国間協議で輸入禁止の撤廃を求める方針を説明しました。

これについて、出席した議員からは「今回は外交の敗北で政府の責任は重い」とか「負けてはいけない問題で水産業に与える影響は甚大だ」などと、日本政府の対応を問う厳しい意見が相次ぎました。

さらに、議員からは、各国との協議の方法や、福島の原発事故の汚染水をめぐる風評被害の対策など輸入禁止の撤廃に向けた政府の取り組みを見直すべきだといった意見も出されました。

会議のあと、自民党水産総合調査会の浜田靖一会長は「韓国とは2国間協議では難しいからこそWTOに提訴したのにこうした結果になったわけで、抜本的にやり方を変えないといけない」と述べました。

全漁連が要望書

全漁連=全国漁業協同組合連合会の岸宏会長らは17日、菅官房長官と総理大臣官邸で会談し、日本産水産物の輸入禁止措置の早期解除を求める要望書を手渡しました。

要望書では、戦略を抜本的に見直し、日本からの輸出再開に向けて国を挙げて取り組むことや、漁業者への救済措置を講じること、さらに水産物への風評被害をこれ以上発生させない措置を徹底することなどが盛り込まれています。

これについて、菅官房長官は午後の記者会見で、「政府としては、引き続き各国の規制措置全体の撤廃を求めていくという立場を伝えた」と述べ、規制措置の全廃を目指していく考えを強調しました。

また全漁連の代表らは、吉川農林水産大臣に対しても、早期の輸出再開を強く求めるとした要望書を手渡しました。

要請に対して、吉川大臣は「今まで努力を重ねてきた皆さんの気持ちを思うと、今回の結果は遺憾だ。日本の水産物は安全だということを韓国政府に対してもしっかり働きかけていきたい」と述べました。

全漁連の岸宏会長は「輸出の再開は漁業者にとっては復興の基本なので、国にしっかりと対応してほしい」と述べました。