こども家庭庁が始動 岸田首相 “子どもの意見を政策に反映”

子ども政策の司令塔として新たに発足したこども家庭庁の業務が、3日から本格的にスタートしました。発足式で岸田総理大臣は、子どもの意見を政策に反映させていきたいという考えを強調しました。

こども家庭庁はおよそ400人の体制で1日発足し、3日から業務を本格的にスタートしました。

東京 霞が関のビルの中に設けられたこども家庭庁では、昼すぎに発足式が行われ、岸田総理大臣は「子どもたちにとって何が最もよいことなのかを常に考え、『こどもまんなか社会』の実現が使命だ。何よりも大切なのは、子どもたちの意見を聞き、実際に政策に反映させることだ」と述べました。

発足式には、小学生から高等専門学校までの子どもや若者、合わせて6人も出席し、「こども家庭庁」の看板に使う文字を、それぞれ筆で1文字ずつ書いていきました。

小倉こども政策相「ことしを『こどもまんなか元年』にしたい」

小倉こども政策担当大臣は、発足式のあと記者団に対し「ことしを『こどもまんなか元年』にしたいという思いだ。地方創生や住宅政策、それに環境政策など、一見、子どもや若者と関係ない政策であっても、それぞれの政策に子どもや若者の意見を反映できるような取り組みを、司令塔として行っていきたい」と述べました。

親子連れなどから期待の声

こども家庭庁の発足について、東京 原宿で親子連れなどに聞いたところ、ほとんどがその発足を知らなかった一方で、期待の声も多く聞かれました。

都内から家族で訪れていた小学6年生の男子児童は、「こども家庭庁ができたのは知りませんでしたが、子どもには子どもなりの意見があるので、考えてほしいなと思っていました。日常で接する大人以外に、いろいろなことに協力してくれるこども家庭庁ができたのはうれしいです」と話していました。

母親と新潟から訪れたという中学1年生の女子生徒は、「こども家庭庁ができたのはいいことだと思う。子どもが楽しく過ごせるような政策を実施してほしい」と話していました。

また、母親は「子どもたちの環境が昔とだいぶ変わってきて、家の周りでも以前は普通にかくれんぼをしていましたが、最近はあまり大きな声で遊んだりできないという話もあります。子どもの声を聞いて子どもが遊びやすい環境になってほしい。ただ、もう少し早く対策して欲しかったと思います」と話していました。

生後7か月の子どもを育てる21歳の女性は、「子どもたちの意見を反映させる省庁ができるのは、子どものためにもすごくよいことだと思います。子どもがまだ小さいので、保育園での先生の虐待も怖いなと思っていたのでいいと思います」と話していました。

「次元の異なる少子化対策」安定的な財源が焦点

子ども政策の司令塔となるこども家庭庁が業務をスタートさせました。当面の課題は、政府による「次元の異なる少子化対策」の具体化で、詳細な施策の内容とあわせて、どこまで安定的な財源を示せるかが焦点となります。

政府は先週末まとめたたたき台をもとに、6月の「骨太の方針」の策定までに、より詳細な施策の内容や予算規模のほか、財源の大枠を示すことにしています。

少子化対策の強化には、数兆円単位の財源が必要になるとの見方もありますが、岸田総理大臣は3日、野党側が「教育国債」の発行を求めたのに対し「『教育国債』は、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から慎重に検討する必要がある」と述べました。

少子化対策の財源について、政府内では教育国債や増税で賄うことに慎重な声が出ている一方、社会保険料負担の見直しで捻出するべきだとの意見があり、どこまで安定的な財源を示せるかが焦点となります。