旧統一教会 被害者救済法案“不十分な点がある”参考人質疑

旧統一教会の被害者救済を図る法案を審議する衆議院の特別委員会で参考人質疑が行われ、法案は一歩前進であり、速やかに成立させるべきだという意見の一方、法案には不十分な点があり、実効性を高めるための検討が必要だという指摘が出されました。

この中で、与党側が推薦した中央大学大学院法務研究科の宮下修一教授は「契約だけでなく単独行為も対象としたこと、寄付者への配慮義務を新設したこと、不当勧誘行為を禁止行為として明確化し、取消権を新設したこと、さらに、借り入れなどによる資金調達の要求の禁止や、債権者代位権の行使を前提にした特例の新設は、被害者救済の観点から一歩前進だ」と評価しました。

そのうえで「まずは立法という形で第一歩を踏み出し、その内容を精査して、よりよいものに発展させていくことが大事だ」と述べました。

一方、野党側が推薦した「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の川井康雄事務局長は、寄付の勧誘を行う法人などに課す配慮義務について「実際に違反した場合に、裁判所で不法行為と判断されるかどうかは極めて不透明だ。『ほとんど役に立たず意味がない』と言わざるを得ず、禁止行為にすべきだ」と指摘しました。

そのうえで「法案は時間が極めて限られる中で作成された以上、不足があること自体はやむをえない。正体を隠して教義を植え付け献金させるという被害や、2世をはじめとする、家族被害の救済は一刻も早く検討を開始してほしい」と述べました。

旧統一教会 被害者救済法案 8日に衆院通過の見通し

旧統一教会の被害者救済を図る新たな法案は、8日に衆議院の特別委員会と本会議で採決することで与野党が合意し、8日に衆議院を通過する見通しになりました。

今の国会の会期末が10日の土曜日に迫る中、旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案は、6日から衆議院の特別委員会で審議が行われています。

特別委員会は7日朝の理事会で、8日の午前、岸田総理大臣が出席して、質疑を行ったあと、法案の採決を行うことで与野党が合意しました。

これを受けて、衆議院議院運営委員会の理事会は8日の特別委員会のあと、本会議でも採決することで与野党が合意し、法案は8日に衆議院を通過して、参議院に送られる見通しになりました。

新たな法案をめぐって、自民党は、立憲民主党などとの協議を踏まえ特別委員会で、寄付の勧誘を行う法人などが配慮義務を怠った場合、勧告や法人名の公表を行うなどとした修正を行う方向で調整を進めています。

立民 被害者救済法案に賛成する方針確認

立憲民主党は、日本維新の会とともに、自民・公明両党と、幹事長や実務者レベルでの協議を行ってきました。

その結果、寄付の勧誘を行う法人などが配慮義務を怠った場合、勧告や法人名の公表を行うなどの法案の修正が行われることになりました。

さらに、こうした配慮義務の規定について「配慮」という文言が「十分配慮」に修正されることになり、安住国会対策委員長はきょう「『十分』というのは軽いことばではなく、法律に入れた場合、その範囲や効力は普通の配慮義務より格段に上がる」と評価しました。

立憲民主党は、内容はまだ不十分であるものの、実効性が高まったとしています。

立憲民主党としては今の国会の会期末が3日後に迫る中、法案を早期に成立させて被害者の救済につなげることを優先させる必要があると判断し、賛成する方針を決めたものとみられます。

賛成の理由

立憲民主党は、日本維新の会とともに、自民・公明両党と、幹事長や実務者レベルでの協議を行ってきました。

その結果、寄付の勧誘を行う法人などが配慮義務を怠った場合、勧告や法人名の公表を行うなどの法案の修正が行われることになりました。

さらに、こうした配慮義務の規定について「配慮」という文言が「十分配慮」に修正されることになり、安住国会対策委員長は7日「『十分』というのは軽いことばではなく、法律に入れた場合、その範囲や効力は普通の配慮義務より格段に上がる」と評価しました。

立憲民主党は、内容はまだ不十分であるものの、実効性が高まったとしています。

立憲民主党としては、今の国会の会期末が3日後に迫る中、法案を早期に成立させて被害者の救済につなげることを優先させる必要があると判断し、賛成する方針を決めたものとみられます。

立民 長妻政調会長「及第点に達していないが一歩前進」

立憲民主党の長妻政務調査会長は、記者団に対し「及第点には達していないが実効性は高まると思うし、一歩前進であることは間違いない。法案に賛成することで、不十分から十分な法律にしていく努力はこれからも続けていくし、実効性の高い法律や運用にしていくことが重要だと判断した」と述べました。

松野官房長官「新法案は実効的なものに 早期成立図る」

松野官房長官は午後の記者会見で「新法案は、禁止行為、取り消し権、配慮義務など、さまざまな規定を組み合わせて立法作業を行ったうえで提出しており、実効的なものとなったと考えている」と述べました。

そのうえで「さらなる実効性の向上に関し、与野党でさまざまな意見があるが、そうした意見も聞きつつ、引き続き法案の早期成立を図っていきたい」と述べました。

維新 藤田幹事長「賛否 おおむね前向き」

日本維新の会の藤田幹事長は、記者会見で「この臨時国会で法案を成立させて、一歩前進させるという思いは同じであり、実効性の部分で踏み込んだ提案をいただいたことは前向きに評価している。賛否については、最後まで気を抜かずによく見定めて決めたいが、おおむね前向きな姿勢だ」と述べました。

共産 穀田国対委員長「配慮義務を禁止規定にし修正案出したい」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「党として法案の配慮義務を禁止規定にするという内容などを盛り込んだ修正案を出したい。よりよいものにするために最後まで努力したうえで法案への賛否を決める。きょうの参考人質疑で問題点も指摘されており、国会の会期を延長して審議を深めるべきだ」と述べました。

“被害者救済法施行後 改善のため検討会設置へ” 河野消費者相

旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な寄付を規制する新たな法案について、衆議院の特別委員会では参考人質疑に続いて、野党側の質疑が行われました。

この中で、立憲民主党の柚木道義氏は「条文の解釈に関する国会での答弁が非常に多い印象だが、実際の裁判では答弁どおりに認められない可能性もある。施行後に法律の見直しを検討するというだけではなく、さまざまな運用状況を含めた検討会を設置すべきだ」とただしました。

これに対し、河野消費者担当大臣は「状況の確認は必要だ。メンバー構成は別として、検討会が必要だという考えはそのとおりなので、何らかの検討会をしっかりやっていきたい」と述べ、法律が施行されたあと、裁判などでの運用状況を把握して改善につなげるため、有識者などによる検討会を設置する考えを示しました。

また、河野大臣は霊感商法について「無価値なつぼを売りつける場合、個人がそれを知っていれば実質的には寄付であり、無価値であることを知らない場合は詐欺の疑いがある。見かけ上、売買契約を装っているにすぎず、無償で相手方に財産に関する権利を移転するなど、本質において寄付と評価し得る場合には新法の適用対象になり得る」と述べました。

さらに河野大臣は、新たに禁止される寄付の勧誘行為として、霊感などの知見を使って不安をあおるなどし、寄付が必要不可欠だと告げることを要件としたことについて「単に『必要』とするだけだと、厄払いなど一般的に許容されている宗教活動にまで対象が広がってしまいかねない」と説明しました。