来年度から5年間の防衛費 40兆円~43兆円程度で調整へ

来年度から5年間の防衛費の総額について、政府は、40兆円から43兆円程度とする方向で、検討を進めることになりました。来年度まで5年間となっている今の計画の1.5倍程度にあたる規模で、与党との間で詰めの調整を進めることにしています。

防衛費をめぐって、政府は、来年度から5年間の総額の規模を定める「中期防」=「中期防衛力整備計画」で増額する方針で、岸田総理大臣は、令和9年度=2027年度に、防衛費と関連する経費も合わせてGDPの2%に達する予算措置を講じるよう指示しています。

これを受けて、政府内で調整を行った結果、来年度から5年間の防衛費総額について、40兆円から43兆円程度とする方向で検討を進めることになりました。

来年度まで5年間となっている、現在の中期防の総額27兆4700億円の1.5倍程度にあたる規模になります。
当初、防衛省は、防衛力の抜本的な強化には48兆円程度が必要だとする一方、財務省は30兆円台半ばに抑えたいとして、10兆円を超える隔たりが出ていました。

こうした中、岸田総理大臣が、財源を確保する措置などを年末に一体的に決定する考えを示し、両省が歩み寄った形で、与党との間で詰めの調整を進めることにしています。

自民税調 塩谷文科相「財源確保策 年内結論は困難」

防衛力の強化に向けた安定財源の確保策について、自民党税制調査会の幹部を務める塩谷元文部科学大臣は、1日、年内に年内に具体的な結論を出すのは難しいのではないかという認識を示しました。

防衛力の強化に向けて岸田総理大臣は、歳出と歳入の両面で財源を確保する措置を年末に一体的に決定する考えを示しています。

これについて、自民党税制調査会の小委員長を務める塩谷元文部科学大臣は、所属する安倍派の会合で「防衛費の問題は派閥で勉強会もしており、財源問題が最終的にどうなるかが焦点だ。安定財源は必要だが、現状で年内に決着できるかは本当に難しいところだ」と述べました。

安倍派では、萩生田政務調査会長や世耕参議院幹事長が、防衛費増額のための財源は当面国債の発行によって確保し、今の段階で増税の議論を進めることには慎重な姿勢を示しています。

自民 世耕参院幹事長「法人税 防衛費の財源になじまない」

自民党の世耕参議院幹事長は、積極的な財政出動を求める党の議員連盟の会合で「防衛力強化のための財源として、『法人税の増税ならいいだろう』といった雰囲気になっているが、法人税ほど、年によって税収のぶれが大きい税はなく、安定が必要な防衛費の財源にはなじまない」と指摘しました。

そのうえで、「いまは、企業に、円安による利益を賃上げや国内への再投資に回してもらわなければならないタイミングなのに、『法人税を上げる』と言ってしまうと、その瞬間に企業側のやる気がなくなってしまう」と述べました。