成16年までさかのぼり
追加支給へ 不適切調査で

賃金や労働時間に関する厚生労働省の調査が不適切に行われていた問題で、大きな影響が出ています。賃金が高い傾向にある都内の大規模な事業所をルールに反して一部しか調査せず統計的な処理も行わなかったことで、実態よりも「平均給与額」が低く算出されていました。

その結果、「平均給与額」などをもとに算定している「雇用保険」と「労災保険」、それに「船員保険」が本来より低く支給されていました。

その総額は530億円余り、延べおよそ2000万人分と推計されています。

また、事業所向けの「雇用調整助成金」も本来より低く支給されていて、総額は30億円余りと推計されています。

いずれについても、厚生労働省は不適切な調査が行われるようになった平成16年までさかのぼって追加支給する方針です。

《雇用保険》
このうち「雇用保険」で追加支給の対象となるのは、職を失った人が就職活動を行う間、以前の賃金の5割から8割を支給する失業給付と、育児休業や介護休業の給付金です。
延べおよそ1942万人、総額ではおよそ276億円に上るとみられ、1人当たりの平均支給額はおよそ1400円と推計されています。

《労災保険》
また「労災保険」では、労災で家族を亡くした人などへの年金の給付や、治療のため出勤できない間などの休業補償が対象です。
追加支給されるのは、延べおよそ72万人、総額はおよそ241億円と推計されています。1人当たりの平均は年金給付がおよそ9万円、休業補償が受給期間1か月でおよそ300円です。

《船員保険》
「船員保険」は船員に適用され、一般の労災保険と同様に仕事が原因でけがや病気になったときに支払われます。
追加支給の対象は延べおよそ1万人で、総額は16億円、1人当たり平均でおよそ15万円と推計されています。

《雇用調整助成金》
「雇用調整助成金」は景気の低迷などで苦しい経営を強いられた企業が、従業員を解雇せず一時的に休業するなどして雇用を維持した場合に国から支払われます。
本来の額より少なかった支給は延べ30万件、総額は31億円に上ると推計されています。

心当たりがある人は電話相談に

厚生労働省によりますと追加支給の開始には数か月かかる可能性があるということです。

今後、住所が残っている個人や企業に対しては手紙で追加給付について通知しますが、住所のデータが残っていない人も延べおよそ1000万人に上るとみられています。

このため厚生労働省は、心当たりがある場合は電話相談の窓口に相談してほしいと呼びかけています。

電話番号はいずれもフリーダイヤルで、
▽雇用保険と雇用調整助成金が0120ー952ー807
▽労災保険が0120ー952-824、
▽船員保険が0120ー843ー547
0120ー830ー008です。

受付時間は、平日が午前8時半から午後8時まで、土日や祝日が午前8時半から午後5時15分までです。