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高知市に映画館が復活!映画監督・安藤桃子さんに聞く

  • 2023年11月20日

高知市内では、昭和30年代には30以上の映画館がありましたが、楽しみ方の多様化やライフスタイルの変化に伴い、市内の中心部、いわゆる「おまち」の映画館はどんどんなくなっていきました。
こうした中、映画監督の安藤桃子さんが運営する映画館が高知市帯屋町にリニューアルオープンしました。映画を通して高知を盛り上げようとしている安藤さんの思いを聞きました。
(高知放送局記者 奥村敬子)

映画館が“おまち”に帰ってきた!

11月3日、映画監督の安藤桃子さんが運営する映画館が「キネマミュージアム」として高知市帯屋町にリニューアルオープンしました。映画館のオープンにあわせて、安藤さんが制作した新作映画などを上映しています。

映画館の門出を祝って駆けつけたのは、安藤さんの父で俳優の奥田瑛二さん。

そして、安藤さんの義理の弟で俳優の柄本佑さんに・・・。

アジア最大級の国際短編映画祭を主催している、俳優の別所哲也さんです。

コロナ禍を経て、リニューアルした映画館について安藤さんに聞きました。

映画館を運営・映画監督 安藤桃子さん

「すごく温かい気持ちです。この映画館は訪れた人たちみんなが楽しくなったり、うわ~って喜びを叫ぶような、大興奮もありっていう、なにかわくわくしちゃう、静かな時ですらドキドキわくわくするような、そういう地域の場所になったらうれしいです」。

地域に根ざした活動

およそ10年前、映画の撮影をきっかけに東京から高知に移住してきた安藤さん。
映画で高知の街を盛り上げようと、高知市中心部の公園に仮設の映画館を設けて上映会を開きました。

2014年10月 高知市・城西公園に現れた仮設の劇場

そして6年前には今回リニューアルされる前の映画館を期間限定で立ち上げました。

2017年10月 リニューアル前の劇場にて

映画館を運営・映画監督 安藤桃子さん

「『高知で作らせていただいた映画なので高知で上映を』ということから始まって、最初は本当にわらしべ長者のようにひとつひとつ、常設の映画館というところまで10年ぐらいかかって運ばれてきたことで。お客様も一緒に街の方々一緒にここに持って来られたということが本当の意味で根づかせられたと」。

広がる 支える人の輪

新たな映画館を支えているのは、安藤さんの思いに共感したスタッフたちです。

リニューアルオープンにあわせて新たに加わったスタッフも

映画館を運営・映画監督 安藤桃子さん

「一緒にこうやってメンバー、チームたくさんそろってやっていくことがスタッフ一丸という思いで、みんなでという。ともに、一緒にって。地域の商店街の皆さんともにともにって。あと、たくさんボランティアの方が本当にここは支えてくれて」。

次世代の育成も

映画文化のすそ野の拡大に取り組んできた安藤さん。
県内各地の小学校で子どもたちに映画作りを体験してもらうワークショップも開いてきました。

ことし9月 南国市立大篠小学校での特別授業

高知県の子どもたちにも都会と同じようにさまざまな文化に触れてもらいたいと、この映画館では子ども向けのイベントも開いていくということです。

映画館を運営・映画監督 安藤桃子さん

「子どもたちの中のもともとあるすばらしい感性と種が花咲いていくような、そういう体験を映画を見ること、そして作ることで育てていけたらうれしいなと。それが1番の目的です」。

今度の展開は?

安藤さんは現在、この映画館を舞台に高知ゆかりの作品を上映する「龍馬祈願国際映画祭り」を開いています。

安藤さんの新作映画の原作・脚本担当 小説家の原田マハさんとトークショー

今後は大手配給会社が扱わない、いわゆる「独立系」の映画を中心に上映するほか、映画の制作者を招いた催しなども開くことにしています。

映画館を運営・映画監督 安藤桃子さん

「映画監督をしている自分はかけ橋だと思っていて、できたら虹色のかけ橋として、いろんな文化、いろんな方たち、いろんな国もあらゆることの境界線のない世界で優しい真心でみんなを結んでいけたらいいなと。
ヨーロッパとかに行ったら100年前とか何百年前のホールが残っていたりするわけですから、文化というもののともし火が消えない。これから未来に向かって世界に誇れる劇場ができたので、高知の皆さん本当に自慢してほしいです」。

取材後記

映画館を訪れた観客の皆さんからは「さまざまな作品を劇場で見られるようになってうれしい」とか、「高知市の中心部に若い世代が遊びに行ける場所ができた」といった声も聞かれました。今後の活動も楽しみですね。

  • 奥村敬子

    高知放送局 記者

    奥村敬子

    2019年入局
    休日はインドア派で、趣味は映画鑑賞
    自己最高記録は年間150本です

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