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昆虫標本を次世代に 立ち上がった高知小津高校生物部 

  • 2023年08月25日

所有者の高齢化や収蔵場所の老朽化などで手放さざるを得なくなった昆虫標本。その標本を高知県のある高校で受け入れる活動が始まりました。標本が高校生に受け継がれる様子を取材しました。
(高知放送局 キャスター 城あすか)

昆虫標本のいま

昆虫標本

昆虫標本は昆虫の生態やその環境を知るのに重要なもので、年月がたてばたつほど価値が出るといわれていて、標本を残すことは未来の研究者にとって大事なことです。

2022年11月全国博物館大会

しかし、2022年11月、高知市で全国の博物館関係者が集まって開かれた「全国博物館大会」では、生き物の標本や剥製を所有している県内の132の個人や団体のなかで、4割近くにあたる48の個人や団体が所有者の高齢化や収蔵場所の老朽化などで10年以内に標本を手放さざるを得ない状況にあることが報告されました。

標本を守ろうと立ち上がった高校生

別府さんが集めた標本

南国市の昆虫愛好家、別府隆守さんがおよそ45年かけて集めた昆虫標本です。別府さんは若い世代に役立ててもらいたいとコレクションの一部を寄贈することを決めました。

別府さん

標本として置いておかれるよりも、少々壊れてもかまわないので、使ってもらったほうがありがたいです

県立高知小津高校 生物部

別府さんの標本を受け入れるのは高知県立高知小津高校の生物部です。所有者の高齢化や収蔵場所の老朽化などで保存が危ぶまれている標本を守りたいと立ち上がりました。標本は生物部で一時的に預かり、次の保管場所が見つかるまで学校の文化祭で展示するなど活用される予定です。

昆虫愛好家たちと協力して作業

この日は、県内の昆虫愛好家たちと協力しておよそ200箱ある標本を壊さないように慎重に高校へ移送しました。

標本を守ることの大切さ

生物部の部員(左)と部長の植村さん(右)

中心となって活動している生物部の部長・植村優人さんです。

博物館で企画展を開いた時の植村さん

植村さんは幼いころから昆虫採集が趣味で、自分で作った昆虫標本の企画展を博物館で開くほど。標本の重要性を人一倍感じていました。

植村さん

昆虫に関しては標本がないと話にならない。これがそこにいたという証拠になるのでとても重要なものだと思います。これまで別府さんが採ってきたという記録をしっかりと残していけるように外部の人と協力して管理活動を行っていきたいと思っています

生物部をサポートするひとり、横倉山自然の森博物館の谷地森秀二学芸員はこの活動に期待を寄せています。

谷地森 学芸員

どんどん高齢化が進んで、ご自身がとりためた標本を維持できなくなってきたというお話を聞きます。このままだと高知県内で維持できずにどんどん県外へ出て行ってしまったり、最悪の場合には捨てられてしまうということも起こるかもしれないと心配しています。今回の活動がこの問題を打開できるきっかけになればと思っています

受け継いだ標本の今後

生物部のメンバーは専門家のアドバイスから受けながら、運び入れた標本箱に防虫剤を入れたり、種類ごとに整理する作業を行いました。受け入れた標本は今後、生物部でデータベース化していくということです。

植村さん

昆虫標本の一大コレクションの1つだと思うので、別府さんがいままでとりためてこられた苦労とかを推測しながら、高知県の昆虫のデータをしっかり作っていけるように生物部として今後もしっかり活動を続けていきたいと思います

  • 城あすか

    キャスター

    城あすか

    高知県高知市出身
    小学生の頃に昆虫標本を作ったことがあります


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