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ボクシング 原田周大選手 金メダルに向けて

~パリ五輪はスタートライン~
  • 2024年01月22日
2001年10月2日生 北九州市小倉南区出身
身長167cm/57キロ級
12歳の時に地元のボクシングジムで競技を始める
豊国学園高校ー専修大学

ボクシング男子フェザー級(57キロ級)でパリオリンピックへの出場権を得た北九州市出身の原田周大選手(はらだ・しゅうだい)。初のオリンピック出場を“スタートライン”と位置づけています。金メダルの獲得に向けた意気込みを聞きました。

北九州放送局 石井直樹 記者

“暴れるボクシング”でオリンピックへ

同級生との練習

原田選手はスピードのある左ジャブを多用して攻撃のリズムをつくります。フットワークも軽快で、リングを広く使いながら相手との距離を図り、コンビネーションを繰り出します。みずからのボクシングを「暴れるボクシング」と称しています。

2014年 初めての試合(赤いヘッドギアが原田選手)

12歳の時、兄が通っていた小倉南区のジムでボクシングを始めた原田選手。

2019年 国民体育大会の会場にて

豊国学園高校では国体準優勝、専修大学では全日本選手権で2年連続優勝を飾るなど好成績を残し、これまでの公式戦の戦績は73戦60勝13敗。去年のアジア大会で準優勝し、パリオリンピックへの出場権を獲得しました。
 

オリンピック出場権獲得後 帰国した原田選手

初のオリンピック出場となりますが、原田選手はその結果に100%満足しているわけではありません。パリオリンピックの代表内定を決めた次の試合の決勝戦で、ウズベキスタンのハロコフ選手にKOで敗れました。この敗戦が新たな闘志につながっています。

アジア大会決勝
原田選手(青)とウズベキスタンのハロコフ選手(赤)

オリンピックを決めたことをジムの会長に報告できたり、地元の友達とか今まで応援してくれた親とかに言えたりするのはうれしいんですけど、でも僕の心の中ではアジア大会決勝でウズベキスタンのハロコフ選手に負けちゃったっていう気持ちの方が強いです。パリオリンピックでも金メダルに一番近いと言われている選手で、『もうオリンピック決めてるから棄権してもいいんじゃないか』という声もあったんですけど、どれだけ世界最高峰の選手と差があるかっていうのを経験したくて挑んだところ、ボッコボコにされちゃって。けど、それも次のオリンピックに向けてのいい経験になったと思います

ウズベキスタン流で世界へ

去年7月 ウズベキスタンでの合宿

原田選手はアジア大会の決勝で敗れたものの、去年7月に参加したウズベキスタンでの合宿が飛躍のポイントとなっていました。

合宿後に取り入れた練習前の走り込み

ウズベキスタンの選手たちは、とにかく走ってはサンドバッグをたたいて、筋トレをしては走っての繰り返しで、ボクシングが強くなる以前に人間的に強くなるメニューが多かったです。根本的に強くなるって、そういうところなんじゃないかなと思って、ウズベキスタンの選手がやっていたように、最初はまず走って筋トレをしてからサンドバッグをたたく練習を意識しています

体幹や筋力を鍛える練習

パンチの手数を維持し、足を止めないフットワークには強じんな体作りが必要だと考えている原田選手。走り込みに加えて体幹や筋力を鍛え上げるトレーニングも取り入れました。

僕は感動を皆さんに届けたいなと思っていて。アジア大会決勝戦で、ハロコフ選手にボコボコになるぐらい負けちゃったんですけど、でも逆に言えばパリオリンピックでハロコフ選手に勝って金メダルをとれば、すごくストーリーがあってみんなに感動を与えられるんじゃないかなと思ってるので、そこに向けて頑張っています

常に向上心を持ち、1つ1つの練習を全力で続ける姿勢が原田選手の強さを作り上げてきたのです。

北九州から世界一に

サンドバッグも全力で

厳しい練習や体力作りを地道に続けている原田選手。ボクシングの魅力をより多くの人に知ってもらおうと、大会後もアマチュアで競技を続けることにしています。

今プロボクシングって日本ではめちゃくちゃ人気が出て、すごく名前のある選手だったり、すごい選手がいるんですけど、アマチュアボクシングが注目を浴びてないっていうのが悔しくて。僕もオリンピックとかで結果を出していけば、アマチュアボクシングも盛り上がって、世界選手権で優勝するなどしたらみんなに見てもらえるんじゃないかなと思っています。僕はアマチュアボクシングでどんどん結果を残して、注目される競技にしていけるように頑張りたいです

さらに原田選手はこの春から拠点を地元北九州に戻すことにしています。そこには地元に対する熱い思いがありました。

僕の育った街だし、オリンピックという大きな舞台で、その北九州を背負って戦いたくて。幼いころからジムの会長に、『北九州から世界一になりたい』っていうのを言っていて、戻ってきてからも東京と行き来はするんですけど、北九州の人たちにいつも練習してる姿を見せられるし、そこで金メダルをとった姿を見せられたら、さらにいいんじゃないかなと思って、ここで練習しようと思っています

インタビューの最後に原田選手にとって“パリオリンピックとは何か”を聞きました。

パリオリンピックはスタートラインです。僕の目標はパリオリンピックで金メダルをとることなので、パリオリンピックに出ることはスタートラインだと思っていて、応援してくれるみんなに恩返ししたいという気持ちで、人生をかけて大会に臨みたいと思っています

取材後記

この年末、地元の北九州市で高校の同窓会による原田選手の激励会が開かれました。原田選手は参加した約200人を前にパリオリンピックでの活躍を力強く誓いました。そして感謝の気持ちを伝えていました。

今回の取材では「きょうはよろしくお願いします」と笑顔で私たちを迎えてもらいました。とても丁寧な取材対応が印象的でした。

今後も活躍が期待されている原田選手を注目していきたいと思います。

  • 石井直樹

    北九州放送局 記者

    石井直樹

    フィットネスでキックボクシングを習う

    原田選手のパンチのスピードに衝撃を受けました

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