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注目!ドラフト会議 #4 九州共立大学 木村仁

“平常心”を胸に 指名待つ153キロの右腕
  • 2023年10月24日

プロ野球のドラフト会議が今月26日に行われます。九州共立大学の木村仁投手(きむら・じん)は最速153キロの右の本格派。ことしの大学日本代表にも選ばれました。高校時代、ドラフトで指名漏れをして味わった悔しさ、そして父からもらった“平常心”を胸に指名を待ちます。

取材 石井直樹記者

木村仁 2001年9月16日生まれ 行橋市出身
身長1メートル81センチ/体重85キロ 右投げ右打ち
泉小学校ー泉中学校ー北九州高校ー九州共立大学

最速153キロの本格派!

ストレートの最速は153キロ。130キロ代中盤で鋭く落ちるスプリットに加えて、カーブ、スライダー、フォーク、ツーシームも操り、バッターを打ちとります。

ことしは春のリーグ戦で18奪三振の完封勝利をあげたほか、九州の大学から唯一大学日本代表にも選ばれ、プロ球団から注目されました。

2023年4月29日 日本経済大学戦で18奪三振完封
画像提供:九州共立大学野球部

ー選手としての武器は?

威力のあるストレートと、いちばんの武器は落ちるボールだと思っています。プロではチームの守護神になりたいです。セーブ王を取れるように頑張りたいと思います

行橋市出身 野球以外で“全国制覇”も

幼少期の木村投手(左)

行橋市出身の木村投手。実は野球を始めたのは中学校からで、4歳から小学校6年生までは空手を習っていました。これが、普通の空手少年ではありませんでした。小学校1年生から3年生まで全国大会で優勝した、世代のトップ選手だったのです。

全国大会でも優勝する実力

ー空手をやっていて、今にいきていることは?

野球もいいフォームで投げないと、速い球が投げられなかったり、コントロールがつかなくなったりすると思うんですけど、空手も似ていて、フォームが悪いとどうしてもけがをしたりとか、相手にダメージが効きにくかったりするので、その部分で野球と共通点があるのかなと思います。空手をやめるときは悲しさとかがちょっとありましたけど、違うステージで勝負できるっていうわくわく感が強かったと思います

高校時代

泉中学校で野球を始めると、高校は県立北九州高校へ。
野球でも才能を発揮し、高校時の最速は146キロ。プロ野球志望届を提出するまでに成長しました。しかしこの時に、プロ球団に指名されない「指名漏れ」を経験しました。

指名漏れした日のことを忘れたことはないですね

高校時代からの“越えないといけない”先輩

木村投手には、高校時代から“越えないといけない”と意識していた先輩がいます。
それが、高校で1つ上の学年のエースだった、渡辺翔太投手(わたなべ・しょうた/現楽天)です。

高校時代の木村投手(左)と渡辺投手(右・現楽天)

大学でも同じリーグだった渡辺投手は、プロ1年目の今シーズン、中継ぎとして1軍に定着しました。そして51試合に登板し、8勝3敗25ホールド1セーブ、防御率2.40とすばらしい活躍をしました。

ー渡辺投手はどんな存在?

自分の前に立ちはだかってましたね。越えないといけない壁っていうのが渡辺さんで、大学では投げ合っても勝てなかったですし。前は抜かしたいと思ってたんですけど、まずは追いつかないといけない段階だと思うので、渡辺さんの背中を追いかけるというか目標にして頑張りたいと思います

父からもらった“平常心”

渡辺投手の存在もあり、大学で再びプロに注目されるようになった木村投手が、大事にしていることばがあります。
それは「平常心」。グローブにも刺しゅうして、常に目に入れるようにしています。

グローブには「平常心」の刺しゅう

『平常心』は大学に入ってからお父さんからもらった言葉です。結構マウンドで舞い上がってしまうことがあって、それでこの言葉を常に投げている時も見ること意識していたら気持ちが落ち着くようになって。『平常心』って言葉は自分に合ってるのかなと思って、そこはお父さんにも感謝したいところですね。野球をやっているうえでいちばん大切な言葉だと思います

ーお父さんにつけてもらえるなんていいですね!

結構センスありますよね、やっぱセンスあるっすよね

新投球フォームでいざプロの世界へ

木村投手が一気に注目度を高めたのは、18奪三振で完封したことしの春のリーグ戦。
この投球をできた要因のひとつに木村投手が挙げたのが、3年生の冬に行った投球フォームの変更です。

それまでは、投げる時にグローブを持つ左手が一塁側に開いてしまっていました。それを開かないようにするため、投げる時にグローブをキャッチャー方向に前に出したあと、体のおなか付近に残すように意識しました。

これまではグローブを持つ左手が開いていた
今は左手が開かないように意識して投げている

ーフォームの変更が春の成績にどうつながった?

まず平均球速が結構上がって、そこでボールの質とかも結構良くなったって言われたので、やっぱり左手はとても大事なんだなと思って。平均球速とボールの質がとても変わったと思います。球の荒れも、昔に比べたら全然無くなっていて、しっかりゾーンで勝負することができます

高校時代の悔しさを胸に、努力を続けてきた4年間。木村投手が指名を待ちます。

ードラフトを前にした今の気持ちは?

不安が50%で、わくわくが50%ってところです。高校の時に指名漏れをしてしまったので、不安はちょっとあります。ただ、ことしは自分の中でも手応えのある成績を出せたシーズンだと思うので、わくわく感はあります。自分は支配下でプロに行きたいと思っているので、支配下で行けるならどこの球団でも行きたいです

ー木村投手、ありがとうございました!

カメラを向けられることに慣れないと言いながらも、常に笑顔で気さくに取材に応じてくれた木村投手がとても印象的でした。背筋が鍛え上げられた大きな背中から、大学4年間で積み上げてきた努力がひしひしと伝わってきました。ここまで努力を続けているのも、高校時代の悔しい思いがあったからこそだと思います。木村投手がプロ野球でセーブ王になり、楽天の渡辺投手の活躍とともにニュースで伝えられる日を心待ちにしています。
木村投手をはじめ、北九州ゆかりのドラフト注目選手は、ニュースブリッジ北九州で10月24日(火)と25日(水)の午後6時半から放送予定です。ぜひご覧下さい!

  • 石井直樹

    北九州放送局 記者

    石井直樹

    2019年入局
    北九州局が初任地
    朝は草野球、夜はキックボクシングにいそしんでいます

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