日常生活での注意点

群発頭痛の症状は1~2か月間ほど毎日のように起こり、この期間を群発期と呼びます。群発期には、アルコールを摂取すると確実に頭痛が起こるため、飲酒を避けることが大切です。群発期が終われば、飲酒をしても頭痛は起こらなくなります。喫煙は、群発頭痛の誘因であるという明確な根拠はありませんが、群発頭痛のある人には喫煙者が多いことから、特に群発期は禁煙することが勧められます。就寝時刻が不規則になったり、長時間昼寝をしたりすると、予想外のタイミングで頭痛が起こることがあります。
睡眠時間を規則正しくし、昼寝をしすぎないようにして、頭痛が起こる時間帯を一定にし、あらかじめ自己注射の準備をしておくと群発頭痛に対処しやすくなります。
群発頭痛の治療・対処法
トリプタンの自己注射


群発頭痛が起こると、一般の痛み止め(鎮痛薬)では痛みを抑えることができません。群発頭痛の治療の柱の1つが、トリプタンの自己注射です。
トリプタンには、三叉神経(さんさしんけい)の興奮を抑え、痛みを鎮める効果があります。
片頭痛の場合、トリプタンの内服薬が高い効果を示しますが、内服薬は薬の効果が現れるまでに30分~1時間程度かかるため、群発頭痛では即効性のある注射薬を使用します。通常は注射をしてから10分間くらいで痛みが軽減し始め、15分間以内には痛みがほぼなくなります。
自己注射を行うにあたっては、通院時や、1泊程度入院するなどして、医師の指導を受けます。多くの場合、群発期は1~2か月間なので、その間に2~3回ほど受診して、自己注射用キットの処方を受けます。その後も、群発期が始まったら早めに受診し、自己注射用キットの処方を受けて対処します。
酸素吸入


群発頭痛のもう1つの治療の柱が、酸素吸入です。
酸素吸入は、口と鼻を覆って密閉するマスクを装着し、つながれた管から1分間に7~10リットルのペースで医療用の酸素を15分間吸入することで、群発頭痛の症状を改善する治療法です。
なぜ効果があるのかは、はっきりとわかっていませんが、多量の酸素吸入の作用として、拡張した脳血管を収縮させる、脳血管の周囲にある三叉神経の炎症を鎮める、副交感神経の興奮を抑えるという3つの可能性が考えられています。
ただし、酸素吸入を行っても効果がない場合もあるため、群発頭痛が起こったときに頭痛の専門外来など専門医のもとで酸素吸入を行い、症状がよくなるかどうかを確認する必要があります。
酸素吸入による群発頭痛の治療は、2018年4月から健康保険が適用されるようになり、以前よりも患者さんの費用負担が減りました。
今後は、酸素吸入ができる装置を使った在宅酸素療法を、自宅や職場などで行えるようになることが期待されています。