羽毛やカビが原因?アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の症状や治療法

更新日

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)とは

羽毛についているたんぱく質「ブルーム」
画像:東京医科歯科大学 教授 宮崎泰成

アレルギー性の肺炎は正式には「過敏性肺炎」という病名で、非常に小さい物質を吸い込むことで起こります。原因となることがある物質はさまざまですが、最も多いのが鳥のフンや羽毛についている「ブルーム」というとても小さなたんぱく質で、次に多いのが屋内の湿気の多い場所に発生する「トリコスポロン」という白カビです。

ブルームやカビによるアレルギー反応

呼吸するとき、吸い込んだ空気は気管と気管支を通り、さらに枝分かれして最も細い細気管支に入ります。その先に小さな袋状の「肺胞」があり、そこで酸素と二酸化炭素のガス交換が行われています。

ブルームやカビを吸い込むと、非常に小さいので、細気管支や肺胞まで入りこみます。それが繰り返されると、アレルギー反応が起こることがあります。つまり、ブルームやカビを異物とみなしたためにリンパ球が増加し、その結果、自分の細気管支や肺胞を攻撃してしまい、肺に炎症が起こるのです。これが過敏性肺炎です。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の症状

過敏性肺炎の症状

肺胞に炎症が起こるとガス交換が十分に行えないため、息切れが起こるようになります。また、全身のアレルギー反応として、せきや発熱といった症状も現れます。

過敏性肺炎には、痰(たん)がほとんど出ないという特徴もあります。細菌などの感染で起こる一般的な肺炎は、それらの増殖に反応して白血球が集まり、その結果として細菌などをからめとろうとして痰ができます。しかし、過敏性肺炎は、感染ではなく、少量の異物に対するアレルギーで起こるため、白血球が反応せず痰ができないのです。

原因物質の吸引を長期間繰り返していると、肺胞の線維化が起こりやすくなります。炎症が続いた結果、肺胞がしなやかさを失い、硬くなってしまうのです。そうなると、線維化した部分ではガス交換ができなくなるため、呼吸困難を起こしやすくなります。また、肺の組織は一度壊れると元には戻らないため、回復させることが難しくなります。

肺炎が6か月以上続くと、「慢性過敏性肺炎」とされ、危険性が高くなります。中には急激に悪化して呼吸ができなくなることがあり、その場合は半数近くの人が亡くなると考えられています。また、さまざまな研究により、慢性過敏性肺炎の患者さんの10%程度に肺がんが発症すると考えられています。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の原因物質はさまざま

アレルギー性の肺炎の原因物質はさまざま

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)を起こす原因物質はさまざまです。鳥のフンや羽毛についているブルームで起こるものを「鳥関連過敏性肺炎」と言います。浴室の木の部分など、室内の湿気多い場所に夏に生えやすい白カビ「トリコスポロン」で起こるものを「夏型過敏性肺炎」と言います。
そのほかにも、白カビ以外の家のカビ、加湿器やエアコンに繁殖する細菌やカビ、牧草につく細菌、塗料に含まれる化学物質、きのこの胞子など、およそ100~200種類の原因物質が関係すると言われています。

過敏性肺炎

ただし、原因物質に接している人が、すべて過敏性肺炎になるわけではないため、過剰に心配する必要はありません。吸い込みやすい極めて小さな原因物質と接していて、その物質に対して過敏な体質があり、そしてその物質を吸い込む頻度が高い場合に、過敏性肺炎を発症すると考えられています。
よく、アトピーやぜんそく、花粉症などを起こす人をアレルギー体質と言いますが、過敏性肺炎はそうした病気とはまったく別のアレルギーのため、アレルギー体質の人が起こしやすいわけではありません。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)を疑う場合

アレルギーによる肺炎チェック

「毎年同じ季節にせきが長引く」「羽毛布団やダウンジャケットをよく使う」「浴室など水回りに白カビが生えている」「家の掃除をあまりしていない」といったことに当てはまり、「旅行や出張などで家や職場を数日離れると症状が軽減したり、出なかったりする」ようなら、過敏性肺炎の可能性があります。早めに呼吸器内科など専門医を受診することがすすめられます。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の自分でできる対策

アレルギー性の肺炎 自分でできる対策
アレルギー性の肺炎 自分でできる対策

過敏性肺炎の対策の基本は、アレルギーの原因物質を吸い込まないことです。
鳥関連過敏性肺炎であれば、羽毛製品の使用や鳥の飼育をやめ、駅や公園などの野鳥や鳥のフンもできるだけ避けます。また、冬の満員電車などはダウンジャケットを着ている人が多いので、注意が必要です。そうした状況を避けられない場合は、N95という規格の防塵(ぼうじん)マスクを使うことがすすめられます。

夏型過敏性肺炎の場合は、風呂場など湿気の多い場所の排水や換気を改善したり、カビが生えやすい腐った木材を除去したりします。自宅のリフォームがすすめられる場合や、それが無理な場合は引っ越しが必要になることケースもあります。加湿器やエアコンが原因であれば、清潔に保つようにします。加湿器は細菌やカビが繁殖しにくい加熱式を選び、まめに水の交換と掃除を行うようにします。
牧草の細菌、塗料、きのこの胞子などに日ごろ接する頻度が高ければ、接する際に防塵マスクを使用します。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の薬による治療

過敏性肺炎 薬による治療

急性過敏性肺炎が軽度の場合は、原因物質を避けるために入院し、羽毛の処分やリフォームなどの対策を講じることで治ります。中等度以上では、のみ薬のステロイド薬を短期間使用します。呼吸困難を起こしている場合は入院し、点滴で多量のステロイド薬を3日間ほど投与するステロイドパルス療法を行います。

慢性過敏性肺炎の場合は、アレルギーの原因物質を避けても症状が進行することがあります。その場合は入院し、ステロイド薬や免疫抑制薬ののみ薬を使用したり、点滴で投与を受けます。重症になると、呼吸困難が改善しないことがあり、その場合は、酸素を供給する機器から吸入する在宅酸素療法を行うことがあります。

肺炎全般についてはこちらマイコプラズマ肺炎についてはこちらQ&A「肺炎」はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年1月号に詳しく掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキスト発売中
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321まで
くわしくはこちら