肺炎は死にもつながる!かぜに似ている肺炎の症状と原因、予防について

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肺炎による死亡が増加・高齢者に多い

肺炎で亡くなる人
日本人の死因

肺炎は、肺に炎症を起こす病気です。肺炎で亡くなる人は、国内では年間およそ12万人と推計されています。その数は増加しており、2011年には、がん、心臓病に次いで、肺炎が日本人の死因第3位になりました。

亡くなる人のほとんどが65歳以上の高齢者で、特に入院中や介護を受けている人に多く発症します。ただし、元気に過ごしている高齢者も安心はできません。特に、75歳以上の後期高齢者は、肺炎をきっかけに体力が低下し、介護が必要になったり、亡くなることもあります。

肺炎が重症化しやすい要因

肺炎が重症化しやすい要因

肺炎は、特に75歳以上の高齢者のほか、肺や気管支など呼吸器の病気、心臓や肝臓、腎臓の病気、糖尿病、がん、関節リウマチなどの持病があると、発症しやすくなります。また、ステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤など薬を使っている場合も、免疫機能が低下し、感染症を起こしやすくなります。また、これらの要因がある場合は、発症すると重症化しやすく、命に関わる状態になることが多くなります。

肺炎はかぜやインフルエンザのあとに起こりやすい

繊毛細胞

肺炎を起こす病原微生物は、私たちの生活環境に存在しており、体内に住みついていることもあります。ただし、すべての人に肺炎が起こるわけではありません。それは、私たちの体内には、病原微生物の感染や増殖を抑える仕組みがあるからです。

のどの入り口から肺につながる気管や気管支には、表面を粘膜におおわれた繊毛細胞が無数にあります。健康であれば、病原微生物が気管や気管支に侵入しても、粘液に付着し、繊毛細胞によって痰として口のほうへ戻されます。そして、飲み込まれて胃で消化され死滅します。

しかし、かぜやインフルエンザにかかり、それらのウイルスが気管に感染すると、繊毛細胞が破壊されて、はがれ落ちることがあります。そこに病原微生物が付着すると 感染し増殖しやすくなります。そして、肺にまで達してしまうと、肺炎を起こしやすくなります。

はがれた繊毛細胞が元に戻るには、約3週間かかると考えられています。そのため、かぜやインフルエンザにかかってしばらくの間は肺炎を起こしやすい状態になっているので、異変を感じたら早めに医療機関を受診してください。

肺炎の症状をかぜと区別する

もしかして肺炎?
肺炎の典型的な症状が出ない場合

肺炎は、症状がかぜとよく似ているため、気づかずに放置しているケースが多く、その結果、重症化して亡くなることがあります。しかし実際には、かぜと肺炎の症状には次のような違いがあります。

かぜの場合、熱が出ても38℃未満のことが多く、3~4日ほどで症状が軽減していきます。かぜの多くは、鼻水、くしゃみ、のどの痛みなどを伴います。痰が出ても、多くは無色透明です。通常、かぜで息苦しさや胸の痛みは起こりません。

肺炎の場合、38℃以上の発熱や強いせきが3~4日以上続いて、軽減しません。黄色や緑色のうみのような痰も出ます。これらの症状に加えて、息苦しさや胸の痛みなどが起こります。

ただし、高齢者や重い持病がある人は、体力や免疫機能が低下していることから、こうした肺炎の典型的な症状が出ないことがあります。「ハアハアと呼吸が浅く速い」「何となく元気がない」「体が異常にだるい」「食欲がない」といった症状も肺炎の可能性があるため、注意が必要です。

本人が体調の変化に気づいていないこともあるので、周りの人もいつもと違う様子を見逃さないようにしてください。

肺炎の原因はさまざま

肺炎の原因

肺炎を起こす原因には、細菌やウイルスなど病原微生物の感染のほか、関節リウマチなどの病気、薬の副作用、羽毛やカビなどに対するアレルギーなどさまざまあります。

適切な治療を受けるためには、早めの受診はもちろん、必要に応じて呼吸器内科など専門医を受診するなどして、こうした原因を特定することが大切です。

最も多い肺炎の原因「肺炎球菌」

肺炎を起こす原因として最も多いのが病原微生物の感染で、その中で最も多いのが肺炎球菌です。日本人では、高齢者の3~5%の鼻やのどの奥に住み着いていると考えられています。こうした人が、かぜなどをきっかけに免疫機能が低下したり、「誤えん」といって食べ物や唾液と一緒に肺炎球菌を気管に吸い込んでしまうと、肺炎を発症しやすくなります。

肺炎球菌による肺炎の治療は抗生物質(抗菌薬)が基本で、のみ薬や注射薬を使います。重症化していなければ、多くの場合は回復します。ただし、重症化すると命に関わることが少なくありません。そのため、肺炎が重症化しやすい高齢者や持病がある人は、予防のために肺炎球菌ワクチンを接種しておくことが重要です。

肺炎を予防する!肺炎球菌ワクチンの受け方

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンには、23価ワクチンと13価ワクチンの2種類があります。23価ワクチンは、23種類の肺炎球菌に対して効果があります。重症化する可能性のある肺炎球菌による肺炎のうち、約70%に対し高い予防効果があります。13価ワクチンは、13種類の肺炎球菌に対して効果があります。体に免疫を記憶させる作用があり、より長期的な予防効果が期待できます。

65歳以上でこれまで23価ワクチンを接種したことのない人は、定期接種といって、公費助成で1回、23価ワクチンを受けられます。受けられるタイミングは、65歳、70歳、75歳というように5歳おきのタイミングです。そのため接種は1回でいいと思われることがありますが、そうではありません。23価ワクチンの予防効果は約5年と考えられているので、65歳になったら早めに定期接種をすませ、その後も5年おきに自費で接種するのが理想的です。また、60~64歳でも、心臓や腎臓、呼吸器の病気、HIVによる障害により日常生活に大きな支障がある人も定期接種を1回受けられます。

13価ワクチンは、成人の場合は任意接種で自費で受けることになります。肺炎のリスクが高い高齢者などは、23価ワクチンに加えて13価ワクチンも接種すると、予防効果がより高まると考えられています。実際に13価ワクチンを接種した方がいいか、いつ接種するのがいいかなどについては、かかりつけ医に相談してください。

インフルエンザワクチンの接種も毎年受けることがすすめられます。

乳幼児は、13価ワクチンの定期接種があります。生後2~7か月に初回接種を行い、その後期間を空けて乳幼児の場合、その効果は非常に高く、肺炎や髄膜炎など肺炎球菌による感染症を発症して重症化する確率を大きく下げることができます。

いずれの場合も、市区町村にある保健所や指定された医療機関で受けることができます。詳しい場所や受けられる時期については、お住まいの市区町村に問い合わせるなどして確認してください。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)についてはこちらマイコプラズマ肺炎についてはこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年1月号に詳しく掲載されています。

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