【特集】肺炎の種類まとめ それぞれの症状と原因、治療法、予防法について

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【特集】肺炎の種類まとめ それぞれの症状と原因、治療法、予防法について

肺炎で亡くなる方は多く、日本の死因第5位。高齢者だけではなく、子どもや若い人も注意が必要です。アレルギー性肺炎や間質性肺炎、誤えん性肺炎など、それぞれの種類における原因、検査、治療法について解説。さらに、肺炎の予防法についても紹介します。

肺炎とは

肺炎は、かぜやインフルエンザと同様に感染症の一つで、肺に炎症が起こる病気です。一般には、細菌やウイルスの感染による急性のものを差し、重症化して命に関わることもあります。

症状は、38℃以上の発熱や強いせきが3~4日以上続き、軽減しません。黄色や緑色のうみのような痰も出ます。これらの症状に加えて、息苦しさや胸の痛みなどが起こります。

肺炎とかぜ・インフルエンザとの違い

  • かぜ:ウイルスは鼻やのど、上気道に感染
  • インフルエンザ:ウイルスは上気道に加え、気管や気管支に感染
  • 肺炎:肺そのもの、いわゆる「肺胞」にウイルスや細菌が感染し炎症を起こす

かぜやインフルエンザにかかってしばらくの間は肺炎を起こしやすい状態になっているので、異変を感じたら早めに医療機関を受診してください。

肺炎の原因や症状、予防法などを詳しく知りたい方はこちら

新型コロナウイルスと肺炎

新型コロナウイルスは鼻やのどに感染しやすい

新型コロナウイルスは鼻やのどに感染しやすく、この点はかぜと似ていますが、さらに肺自体にも感染して肺炎を起こします。新型コロナウイルスは、細胞のACE2という受容体と結合して侵入しますが、肺の細胞にはこのACE2が多数あるため、感染しやすいのです。

インフルエンザと肺炎の違いや、新型コロナと肺炎について詳しく知りたい方はこちら



アレルギー性の肺炎

冬にかぎらず毎年同じ季節にせきが長引く場合、アレルギーによる肺炎の可能性があります。アレルギー性の肺炎は、正式には「過敏性肺炎」と言い、非常に小さい物質を吸い込むことで起こります。

原因となることがある物質はさまざまですが、最も多いのが鳥のフンや羽毛についている「ブルーム」というとても小さなたんぱく質で、布団やダウンジャケットの羽毛などから起こります。次に多いのが「トリコスポロン」という白カビで、浴室の木の部分など、室内の湿気の多い場所に、夏に生えやすいカビです。

アレルギー性肺炎(過敏性肺炎)チェックリスト

アレルギーによる肺炎チェック

①毎年同じ季節にせきが長引く
②旅先で症状が軽減、もしくは出ない
③羽毛布団やダウンジャケットを使用
④(浴室など)水回りに白カビができる
⑤家の掃除をあまりしていない

といった項目に当てはまるようなら、過敏性肺炎の可能性があります。早めに呼吸器内科など専門医を受診することがすすめられます。

アレルギー性肺炎(過敏性肺炎)の症状や原因、対策、治療について詳しく知りたい方はこちら



間質性肺炎

呼吸困難やたんを伴わないせきなどの自覚症状があって、受診して見つかるケースが多いとされるのが、「間質性肺炎」です。
肺には、空気の通り道である気管支があり、それが枝分かれして「肺胞」という袋状の組織につながっています。この肺胞の壁のことを「間質」といいます。一般の肺炎は、肺胞の内部に細菌などが感染することで起こりますが、間質性肺炎はこの間質に炎症が起こります。

一般の肺炎
間質性肺炎はこの間質に炎症が起こる

間質性肺炎の原因

間質性肺炎の原因は、じん肺、薬剤性、膠原(こうげん)病、過敏性、ウイルス性などさまざまありますが、原因不明のものも多くみられます。この原因がわからない間質性肺炎を、「特発性間質性肺炎」といいます。
なお、新型コロナウイルスによる肺炎も、間質性肺炎である可能性があると考えられています。

間質性肺炎の種類

間質性肺炎の原因と診断、治療法について詳しく知りたい方はこちら



誤えん性肺炎

食べ物や唾液などが、本来は口から食道へと送られるものが、誤って気道に入り込んでしまうことを「誤えん」といいます。誤えんした際に、口の中やのどにいる細菌やウイルスが食べ物や唾液と一緒に気管から肺に入ると、誤えん性肺炎が起こります。誤えん性肺炎は、65歳以上の高齢者に起こる肺炎の多くを占めています。

誤えん性肺炎の原因

誤えん性肺炎の原因

①えん下障害
「えん下」という食べ物や唾液などを飲み込む働きが、うまくできない。
②せき反射の働きの低下
誤えんが起こった際の「せき反射」がうまくできず、睡眠中の呼吸に伴って唾液などが少しずつ気管に入っていった結果、誤えん性肺炎が起こることがある。
③口の中が清潔に保たれていない
④体力や抵抗力の低下

誤えん性肺炎の症状

誤えん性肺炎の症状

誤えん性肺炎では、38℃以上の発熱や強いせきなどの症状が現れにくく、「ハアハアと呼吸が浅く速い」「何となく元気がない」「体が異常にだるい」「食欲がない」といった症状が多くみられます。「せん妄」といって、話す言葉やふるまいなど意識に混乱がみられることもあります。

誤えん性肺炎を防ぐ対策

誤えん性肺炎の治療は、原因となる細菌に合った抗生物質(抗菌薬)を使うのが基本です。

また、歯みがきと舌みがきなどの口の中のケアや誤えんを防ぐ正しい食事の仕方を学ぶなど、日常生活でも誤えん性肺炎の悪化や再発を防ぐため対策が可能です。

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