ユース時代とアナウンサー転職を語る 大村和輝の喜怒哀楽

スポーツを取材できているだけで、仕事でスポーツに関われているだけでめちゃくちゃ嬉しいです。それがやりたくて転職したわけで。取材に向かう車に乗っている道中も、
「これ、仕事で行けてるんだな」っていう喜びを感じながら行っていますね。高校野球の現場とか。

薄れてないの？

まだまったく。毎回毎回思いますよ。やっぱりずっと思い続けるものなんだなって。だから毎回、決断をして良かったなというのは思いますよね。

転職するのってさ、すごい決断じゃない？

すごい決断ですよ。本当に勇気が必要だったなと思います。だから、親も、周りの人もみんな反対。僕のことを思う人はみんな、
「やめときな」と。前の職場は、それぐらいいい環境だったことは間違いないので、僕も環境に関しては、まったく不満はなかったので。

何でそこまでスポーツを伝えたいの？

やっぱり、僕がスポーツの中継を見て救われてきたからだと思うんです。

救われる？

僕はずっとスポーツをやってきて、結構上まで、プロとかにはなれなかったですけど、それなりのレベルまで経験させてもらって。でもその中で手術を3回してるんです。度重なるケガを経験しても、そのたびに復活、踏みとどまれた。諦めずにいられたのは、やっぱりスポーツの中継を見て、そこで見る選手たちの勇姿だったりとか、その裏側にあるエピソードを伝えてくれる実況に心を揺さぶられたから。
「俺もここでとどまっていられないな」っていうのをもらってきたから、それをやっぱり自分が今度は伝え手としてやりたいなというのが強くありました。

スポーツ選手のケガって、絶望するものなんだよね？

絶望しますね。僕の場合、成長期の難しい時期に前十字じん帯断裂と半月板損傷っていう…2年間サッカーできなかったんですけど、それによってライバルもたくさんいるわけで、その2年間は非常に大きくて。競走にもかなり出遅れますしね。レギュラーからも遠のくし。やっぱり、絶望ですよね。

でも、そんな時に輝いているスポーツ選手を見ちゃったら、
「あいつらばっかりラッキーで恨む」みたいな気持ちになるものでもないの？

まったくならなかったですね。僕よりも厳しいケガを負って復帰している選手たちが活躍している。それを見ると、
「俺、こんなところでとどまっていられないな」っていう。現に今、横浜F・マリノスの宮市亮選手が、私と同じケガを3回しているんですけど、それでまた復帰したんですよね。私は1回であれだけ追い詰められたし絶望だったけど、それを3回も経験してプロの舞台にまた返り咲いている選手もいて、そういうのを見ていると、前向きな気持ちにしかならなかったですね。

答えるのめっちゃ難しいですよね。

正直、大村が怒っているところは、あんまり想像つかないね…。
大村はサッカーのユースまで行ったわけでしょ？そうなると、やっぱり競争が激しいよね？
「あいつ卑怯だ！」とか、そういう怒りとかは、NHKアニメで『アオアシ』とか見てたらある気がしたんだけど、どう？

じつは、小、中、高、大とぜんぶキャプテンやっていたんですよ。

大村、キャプテンなの！？

こう見えてそうなんですよ。

大村って、おっとりしているというか、自分でグイグイ引っ張っていくというよりも、マイペースな印象だから、猛烈に意外！

「スポーツをやっている時は人が変わる」ってよく言われていました。自分でも変わるなぁという感じはあるんですけど。

サッカーしている大村は違うんだ？

まったく違いますね。みんなびっくりするので。
学校の先生が、小学校の時に試合を見に来たんですよ。応援しに来てくれて、
「大村君、あんな感じなの！？」みたいな。僕、その時は学校では学級委員とかやるタイプじゃなくて。だけど、
「大村君、学級委員やった方がいい！」って先生に指名されてやらされるっていうことがありました。

そんな大村キャプテンは、怒らないの？

キャプテンやってきた中で、一番大事にしていたのが、「チームの和」っていうか、つながりを大事にしていたんです。怒ったりはしないけど、言う時は言わないと、チームの和が乱れちゃうから、足並みを乱すような行動をチームのメンバーがした時なんかは言ってましたね。

確かにキャプテンは求められるよね。
それは、怒るしかないよね。

怒るって言っても、その選手、仲間のモチベーションが上がらないと、言った意味があんまりないのかなと思ってたんです。なので、その仲間のモチベーションが落ちちゃっているのはなんでかな？っていうのは考えた上で、どうしたらその仲間のモチベーションが上がるかなっていうのを考えた上で、必要であれば言うっていう。
ちょっと技術伸び悩んで苦しんでいるなって時は、一緒に練習したりとか、一緒にヒントを探すというか。
そうじゃなくて、これはちょっと熱が冷めちゃってるな、これは活を入れたらモチベーションが上がるなって時は、ズバッと言います。

職場の大村のイメージとまったく違う！どうしてそんなに違うの？

何でなのかな…。スポーツだと、「衝突も時には必要」って割り切れるからかな…。
仕事って、そんなに意見の言い合いとかしてもあまり良くない、全体の調和をより求めなきゃいけない。だけど、スポーツだと、やっぱり勝利っていう目標に向かってみんなでバチバチやっていく場面が必要だから、そこは「我」をしっかり伝えなきゃいけない部分も必要で。だから、僕もしっかり自分を出すし、伝えることは伝えるし、そこの違いなのかな。

職場は価値観がもっと多様っていうか、勝利の定義もすごく難しいものだもんね。

みんないろいろある。
そこなんですかね。

誰かがもめている姿が見たくないです。悲しいです。

さっきの話の流れからすると、大村の中で、
「必要な衝突」と「不要な衝突」がすごく明確にあるんだなっていうのを感じるね。

「不要な衝突」を見ると、やっぱ悲しいですよね。

芸人さんのラジオですよ。これはもう最高に楽しいですね。今、本当にそれが1週間の楽しみです。
あとは、ネタを見る。生で見たいですね。

お笑いライブを？

お笑いライブを生で見たのが、まだ2回しかないんですよ。それが、すごく面白くて。芸人さんが、我々の顔を見ながら何か多分いろいろ押し引きしてるんだろうなって様子も見えて。もっとライブで見たいなと。
あとこれはスポーツもなんですが、お笑い芸人の皆さんは、競争の激しい世界です。そのトッププレイヤーたちが、テレビやラジオでいつも笑いを届けてくれていて、本当にプロフェッショナルだなと毎回思うし、おもしろいし、尊い！

大村は、自分がスポーツを徹底的に頑張ったからこそ、その裏に隠された努力、パフォーマンスの裏に隠された努力がすごく輝いて見えちゃうわけね。

お笑いって、結局、それをある種見せないようにしてるじゃないですか。そこもかっこいいなと思うし。でも、裏でめちゃくちゃ頑張ってる、それを笑いという形で表現しているわけで、それもかっこいいよなぁと楽しんでいます。