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ツエーゲン金沢昇格に向けて!柳下正明監督インタビュー完全版

  • 2022年11月24日

先日かがのとイブニングで放送された、J2ツエーゲン金沢・柳下正明監督の単独インタビュー。監督の口から「昇格」ということばが出たように、監督7年目を迎えるにあたり、これまでの集大成としての「覚悟」を感じました。30分を超えるインタビューの一部しか放送することができなかったので、Webで完全版をお届けします。
(アナウンサー 大村和輝)

取材日:11月2日
放送日:11月7日

2022年シーズンの総括

シーズン最終戦(10月23日)を終えて少し経ったが今の心境は?

10日ほど休みがあって、頭も体もリフレッシュして楽しく練習している状態。これから体ができあがってきたらフィジカルを重視した練習をする。

2022年シーズンは13勝16敗13分けの14位という結果だった。振り返ってどうか?

数字はあまり好きではない。90分の中でチームとしての狙いを実践できている時間も増えている。ただ、勝ち負けがハッキリしたシーズンだった。前半のうちに勝ちゲームだなとか負けゲームだなとか、ハッキリしている。早い時間帯である程度結果が分かってしまう試合が多かった。

やはり先制点を取られると厳しい?

どのチームも先に失点するとそれを挽回しようとして多少無理なプレーは増える。今シーズンは、たて続けに失点してしまって試合を壊してしまうことが多かった。メンタル面を含めて改善する。

来シーズンの続投が決まり7年目になる。

やらせてもらえるというのは非常にありがたい。その分責任もある。今まではクラブとして残留が大きな目標にみえたが、そうではなくて上を目指していかないと変わっていかないなと思う。自分自身もあと1年という気持ちでやろうと思っている。

監督7年目を迎えるにあたり、見えてきたものは?

いろいろ見えているが、ここで言うのは難しい。とにかく来シーズンは上を目指すということでスタートした。選手たちにも言っているし、上を目指せる選手たちを集めないといけない。そのためにはクラブに頑張ってもらわないといけないし、もちろん他からも力を貸してもらってチーム力、クラブ力を上げていかないと難しい。

応援してくれるサポーターについては?

いろいろなところを見ているなと思う。自分自身の良いところと、改善しなければいけないところを見抜いている人たち。ピッチではごまかしがきかないので、サポーターの思いに試合で常にこたえていかないといけない。試合中も選手だけでなく私の動きも見ていると感じる。

柳下監督の会見の「ことば」を分析

柳下監督といえば、試合中や会見で感情をあらわにする、まさに"闘将"。そこで私たちは、2022年シーズン全42試合の柳下監督の会見を分析。会見の中で特によく使っていたことばをパネルにまとめました。「選手」や「プレー」など中央に大きく表示されていることばがより多く使っていたことばで、他にも戦術的なことばや感情を表すことばも入っていました。

今シーズンの会見でよく使っていることばをまとめた。これを見てどう思うか?

「選手」は毎試合のように使っていると思うが、それは試合をやるのは選手なのでたくさん使っていると思う。「プレー」というのは個人のプレーという意味もあるし、チームとしてのプレーという意味でもよく使っているのではないか。

柳下監督が就任してから攻撃面で強化し続けてきたのが"カウンター"。2022年シーズンは特にカウンターからの得点が目立ちました。

キーワード1つ目。戦術を表すことば「カウンター」については?

カウンターというより速い攻撃という意味で使っている。

「カウンター」ということばを特に多く使っていたのが11節大分戦。3点目のゴールは狙い通りのカウンターだった?

このような攻撃をしようというのは常々言っている。どのチームでもこのプレーをされると難しい。特にボールをしっかり保持しながら攻撃をするチームには、後ろのバランスあるいは中盤のバランスが悪いチームもあるので、ああいう形でボールを奪って素早く攻めるというのは効果的。

大分戦の3点目はやりたいサッカーとしては何点?

点数はつけられないが、あれが一つの狙い。シーズン終盤の岡山戦や横浜FC戦も同じような形で点は取っているので、年間通してずっと狙っている。チームとしてのスタイルでやっている。なぜ速い攻撃をしようと言っているかというと、ゴール前のシーンを見る方が面白いから。中盤でいくらボールを回して面白くない。それをサポーターや動画で見ている人たちにも伝えたい。速く相手のゴール前に送り込んでシュートシーンたくさん増やそうよ、それが一番の狙い。

相手のスペースをうまく使っている。

後ろ5枚で守るというチームでもその背後にはスペースがある。スペースに関して、例えば15メートルあったらそれをスペースと感じるのか、あるいは5メートルでもスペースと感じるのか。5メートルでもスペースと感じてほしいというのは伝えている。そこをどんどん使いましょう。もしスペースがないなら自分が動くことによってできたスペースを使うことになる。

速い攻撃ができないときというのは?

できる選手が少ないから。だいたいフィールドプレイヤー10人のうち1人くらいできない選手がいたとしてもそれはカバーできる。でも2人以上いると難しい。逆に1人だけスーパースターがいてもチームとしては勝てないときもある。できる選手が1人だけでは勝てないことの方が多い。

チームの共通認識が整っていないと成立しない?

そう。1人ではできない。チームとして機能しないと難しい。

一方で、失点も多いツエーゲン。2022年シーズンの得失点差はマイナス13でした。選手がプレーを"怖がっている"ことがその一因と監督は指摘します。

キーワード2つ目。選手の感情を表すことば「怖がる」については?

失点場面では、1つだけの悪いプレーで失点するというのはなくて、いくつか悪いプレーが繋がったときに失点する。特に、ボールを持っているときのボールの動かし方が消極的なとき、怖がっているという表現を使っている。

ボールを後ろに下げることが怖がる?

ボールを後ろに下げるかはその局面で変わるが、ボールを持っているときに前を向いているのに前のパスコースを選ばずに後ろに戻すのは嫌い。戻りながら後ろを向いているのであれば、前を向いている人にバックパスすればいい話で。自分が前を向いて相手のゴールの方を向いているのに、後ろに下げてしまうのは大嫌いなので、それはずっと選手に言っている。それを怖がるという表現で伝えていると思う。「前を向いているのだから前のパスコースを見つけなさい」ということを試合中も散々伝えている。

なぜ選手は怖がるのか?

ミスを怖がっている。後ろは相手がいないからパスはできる。ミスを恐れているから安全なパスを選んでしまう。やめてくれと言っている。

夏はなかなか勝てず5連敗もあったが、選手が怖がっていたから?

体調をくずした選手が何人かいて、できる選手が減ったというのがある。20人30人できる選手を集めているチームはないわけで、できる選手が減るとゲームで勝つのは難しい。

選手が怖がらないためにはどうする?

どうしようもない部分もある。選手は小さい頃から10年以上サッカーをやっている。染みついているものもある。小さい頃からミスをしたら怒られる経験を多くしていると、怖がってミスをしないプレーを選択する。トレーニングを見ていても分かる。改善していくしかない。

3つ目のキーワードは"距離"。速い攻撃を成功させるために監督が選手に求めてきたものです。状況に応じて選手間の距離を変えることで、相手のゴールに近づけると言います。

キーワード3つ目。「距離」ということば。どういう意味で使っているのか?

攻守に関わるところで、攻撃であればボールを持っている人がプレッシャーかかっているかフリーかで、フリーであれば30メートルくらいプロだったら蹴ることができる。プレッシャーかかっていたら30メートルの距離を正確に蹴るのは難しくなる。つまり、サポートの距離を近くしなさいということ。15mでミスするなら10m寄りなさい。守備に関しては、お互いの距離が遠かったらカバーするのが難しい。そういうところでよく使っている。

臨機応変に選手間の距離を変えるということ?

そう、距離を変えなさいということ。寄る、離れるで、距離を近くしたり、あるいは離れて遠くに距離を取ったりしなさいということを伝えている。

シーズン終盤の横浜FC戦は距離感がうまくいっていた?

いや、距離は遠くはなっていたが、相手のバランスを考えたときにスペースがたくさんあるから、長いボール使って速い攻撃したらチャンスになった。良いタイミングでプレーが成立した。

選手間の距離というのは試合の中で変える?

局面でどんどん変える。今日のトレーニングでも言っているが、ボールを持っている人がプレッシャーかかっているときに、ボールを欲しがらない選手というのは離れていく。それを怖がっていると言っている。怖がらない選手だったら、味方がプレッシャーかかっているなかでもすっと寄ってボールを受けることをやっている。そういうことをやれるようにしたい。

「カウンター」「怖がる」「距離感」。つまり、怖がらず適切な距離を保てればやりたいカウンターサッカーができるということ?

速い攻撃ができる。速く相手のゴール前にボールを運ぶことができる。それは状況によっては選手間の距離を離した方がいいときもあるし、寄った方がいいときもある。一概には言えないが、狙いとしてはとにかく相手のゴール前でのプレーを増やそうよということ。

2022年シーズンはどれくらい実現できた?

できている試合もあるし、90分の中でできているときもある。90分通してやれた試合はほぼない。どこのチームもない。全体を通しては、ある程度できたという評価になる。それで満足してしまってはそこで終わりになるので、もっとトレーニングしてもっとよくならないといけないということは言っている。

2023年シーズンに向けて

ツエーゲン金沢はJ2に昇格してからの8年間、一桁順位が一度もありません。柳下監督は今シーズンの最終戦後のスピーチで、来シーズンは残留争いと決別する強い覚悟を示しました。

私が一番印象に残っていることばは、シーズン最終戦後のスピーチで監督が言った「来シーズンは変わります」ということば。

クラブでどうしても残留ということばが一番にでてきている現状なので、「昇格」を目標にやっていかないと変わっていかない。今のままでいいと思ったらどんどん置いていかれるので、そうなったら下のカテゴリーに落ちてしまう。上を目指す、昇格ということばを持ってきて一人一人変わってくれということ。変われなかったら選手もスタッフもチームを去ることになる。それくらいの強い気持ちを持ってやる。

「プレー」はどう変える?

プレーの考え方は変わらない。より速く正確にプレーできるようになれば、自分たちが目指すところに行けると思う。

「選手」は?人が変わる?それとも意識が変わる?

両方だと思う。選手の意識が変わるというのもあるし、できる選手をチームに加入させる。それも変わるということ。

「トレーニング」ということばもよく使っているが。

今シーズンも今まであまりやらなかったトレーニングをやったりしているし、選手を見て変えていく。トレーニングでできないことは実際の試合でできないはずだから。しっかり選手の状態を見てトレーニングしていく。

最後に来シーズン(2023年シーズン)に向けてサポーターに一言お願いします。

来シーズンは「昇格」を目指してチームづくりをしていく。クラブも変わっていかないとだめだと思っているので、腹をくくって来シーズンやっていく。サポーターの力も借りて良い結果を残せるように頑張る。

  • 大村和輝

    NHK金沢 アナウンサー

    大村和輝

    出身地 埼玉県狭山市
    石川に来て、あっという間に3年目です。
    取材の度、親身になってお話しをして下さり、心から感謝しています。
    地域のお役に少しでも立てるよう、力を尽くします!

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