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私と次郎さんとマーマさんと -『次郎は「次郎という仕事」をしている』ロケ後記

2017年01月26日(木)

カキコミが届いたのは、去年10月23日。
生放送(10月26日放送「相模原の事件から3か月」)の3日前でした。
私は目を通した瞬間、大きな衝撃を受けました。何回も読み返しました。


写真・番組に届いた一件のカキコミ

 

これは、ぜひ生放送で紹介したい!

番組構成の大枠が決まってはいましたが、放送の最後にでもいいから何とか紹介できないか、模索しました。しかし一方で、こんな思いも。


「紹介するならば全文を読みたい。時間の関係で短くして紹介するのはもったいない」
「紹介してもその後に議論したくなる。時間が足りないのではないか」

結局、制作スタッフと議論した末に、苦渋の選択でしたが、残念ながら生放送で紹介するのはあきらめました。こうした経緯があっただけに、今回、1つの番組として放送できることに、私自身、特別な思いがありました。

「まざる」

2017年01月24日(火)

こんにちは。キャスターの山田です。
大変遅くなりましたが、2017年、今年もハートネットTVをよろしくお願いします。

私は仕事柄、あやふやな言葉は、辞書で意味や用法を調べます。
年明け、ふと、ある言葉の違いが目に留まり、考えることがありました。

「まざる」という言葉。

漢字では、「交ざる」と「混ざる」に分けられます。その違いは、というと、、、

交ざる : 2種以上のものが入り組んでいて,しかもそれ自体の性質を失っていない状態
混ざる : 2種以上のものが一緒になっていて,区別しがたい状態


私たち人間一人一人は、尊重されるべき独自の「個」の存在で、地球上ではその「個」が“物理的”に“交ざって”いる状態です。例えば、この写真のように。

写真・東京渋谷のスクランブル“交”差点東京渋谷のスクランブル“交”差点。お互いを知らない「個」が“交じわる”。ちなみに、「交」という字は人が足を交差させた姿を描いた象形文字。


災害に備える ~てんかんのある人ができること~

2016年10月27日(木)

「てんかんのある皆さんが、災害に備えてやっておくべきことは?」
当事者のみなさんを前に、このテーマについての講演が、10月中旬、和歌山市でありました。

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てんかんの患者やその家族などでつくる日本てんかん協会が和歌山市で開いた全国大会。会場には、全国からおよそ300人が集まりました。

講演したのは、東北大学大学院てんかん学分野教授で、東北大学病院の医師、中里信和さんです。岩手県陸前高田市出身で、東日本大震災の経験を踏まえてのお話でした。

てんかんはあらゆる年齢で発症の可能性がある脳神経の病気で、国内におよそ100万人いると言われています。突然意識を失う、けいれんするなどの発作を起こしますが、服薬や生活リズムの維持によって抑えることができます。

しかし、東日本大震災の被災地では、薬が手に入らなくなったり、病気を知られるのを恐れて避難所に行けなかったりした、てんかんの患者さんがたくさんいたそうです。

分かち合いたい―「津久井やまゆり園」を訪ねて―

2016年08月05日(金)


あの日から10日。私自身、心の整理がなかなかつきません。
都心から電車とバスを乗り継いで、2時間。
きょう、神奈川県立津久井やまゆり園に行ってきました。
亡くなった方たちに花を手向けに。

 

深々と頭を下げ、顔を上げた時。
柵の向こうに見えたのは、私に向かって、私以上に頭を下げていた男性職員。
私は、しばし動くことができませんでした。

 

事件後真っ先に頭に浮かんだのは、同じような障害のある人たちや家族のみなさんのことでした。今も変わりません。
みなさん、苦しんでいませんか。悩みを抱え込んでいませんか。

8月8日(月)生放送で、みなさんと思いを分かち合いたい、と思っています。

当日、ツイッターでも声をお寄せください。


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蝉の鳴き声が響く、山里。
この写真の場所から左に視線を移すと、津久井やまゆり園があります。
のどかな場所にも関わらず、私の心は落ち着きませんでした。  



関連番組
 『ハートネットTV』
 
緊急特集 障害者施設殺傷事件
 8月8日(月)夜8時/再放送 8月15日(月)昼1時10分

「親ががんになったとき 子どもにどう伝える?」

2016年02月24日(水)

全国で8万7千人あまり(推定値)

この数字は、“親ががんである18歳未満の子どもの数”です(去年11月 国立がん研究センターがん対策情報センター報告)。親ががんと診断された子どもの平均年齢は11.2歳。その子どもに親は自らのがんをどう伝えていくのか、そして宣告した後の親と子どもをどう支えていくのかを考えるセミナーが、今月、東京の国立がん研究センターで開かれました。(同センターのがんサバイバーシップ支援部主催)。

20160225_001.JPG当事者や家族だけでなく、病院の医療スタッフも大勢つめかけ、会場はほぼ満席。関心の高さを感じました(講演されているのは、放送大学大学院准教授で臨床心理士の小林真理子さん)。


「DNA型鑑定の死角」

2016年02月04日(木)

キャスターの山田賢治です。

日進月歩の科学技術。私たちはこれまで、数え切れない多くの恩恵を受けてきました。
しかし、“科学技術は人を豊かにするとは限らない”のではないか。

現在のDNA型鑑定の技術では、適切に運用すれば、1垓(10の20乗分)人に1人という精度で識別できます(ちなみに1億は「10の8乗」。世界の人口はおよそ70億)。犯罪捜査で決定的な証拠とされ、特定された人は犯人として疑われる余地はありません。しかし、そこに死角がありました。

2月4日(木)放送「最新DNA型鑑定 防げなかった冤(えん)罪」。
強かん事件の犯人とされ、1審で有罪判決を受けた青年。DNA型鑑定が有罪の根拠の一つとされたが、再鑑定が行われた結果、別人のDNA型が検出。今年1月の2審で逆転無罪判決が下されました。私はリポーターとして、2年4か月勾留された青年や、彼を支えた弁護士、そして逆転無罪につながるDNA型鑑定を行った法医学者にインタビューし、事件の真相に迫りました。



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再鑑定を行ったDNA型鑑定の第一人者、法医学者の押田茂實(おしだ・しげみ)さん


Road to Rio vol.66 「最後の1枠をつかみ取れ! ~シッティングバレーボール~」

2016年02月02日(火)

キャスターの山田賢治です。2016年はパラリンピックイヤー! 今年前半はリオに向けての最終予選や選考会が、様々な競技で行われます。
その一つが、シッティングバレーボール。最終予選は3月中旬に中国の杭州で開かれる2016 World ParaVolley Intercontinental 。世界の強豪が集まって競う枠は、たった1つです。出場がまだ決まっていないチームの中で、最上位に入らなければなりません。これまで取材を続けている女子チームの強化合宿にお邪魔しました。



20160126_001.JPG
東京都の武蔵野市総合体育館での合宿。多くのサポートもあり、活気のある練習が繰り広げられていました。


シッティングバレー>
床に尻をつけて、座ってプレーするバレーボール。サーブ、ブロック、アタックなどで立ち上がったり飛び跳ねたりすると反則となります。ネットの高さは、男子1m15cm、女子1m05cm。障害の有無に関係なく一緒にプレーできる、国内の大会もあります。


「インタビューシリーズスタート!」

2016年02月01日(月)

こんにちは、キャスターの山田賢治です。体調崩していませんか。

今週の番組は、すべて私が、スタジオではなく現場に行きインタビューなどをしました。
「ネタは現場に落ちている」
現場に行ったからこそ聞けたことやわかったことが多いと、あらためて実感しました。
毎日それぞれ、個性のある番組が並んでいます。


月曜は「ヒトとなり」の1回目。春香クリスティーンさんがゲストでした。いかがでしたか?
テレビの画面からも、直接やりとりしていても明るく快活な印象の強い彼女ですが、見えないところで悩んでいることが多いようでした。今、彼女を支えているのは「仕事」。スケジュールがぎっしり詰まっていると自分を保つことができるそうですが、これがなくなると、「友だちがいないので孤立してしまうのではないか。考えられない。怖い。」と強い不安を口にします。


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春香さんの自宅にて。インタビューするのにイスが1つしかない…と困っていたら、組み立てられずに床に放置されているイスが!自分が座るイスを組み立ててインタビューしたのは、初めての経験でした。



「子どもの命を輝かせるために ~小児緩和ケア~」

2015年12月10日(木)

先月、都内で難病の子どもと家族の支援を考えるシンポジウムが開かれました。
病気と闘う子どものケアは、医療技術の進歩などで長期化し複雑化してきました。そうしたケアを在宅で行えるケースも増えてきましたが、身体的にも精神的にも家族の負担が大きいのが実情です。地域の中で孤立せずに、家族が暮らしていくためには何が必要なのか、親の会や医師、看護師が登壇して議論されました。


1210yamaken001.JPG会場は、福祉や医療に携わっている人、自治体職員、NPOのスタッフなどで満員。関心の高さがうかがえました。

 

見えない人も見える人も

2015年07月30日(木)

今月のチエノバは「視覚障害」がテーマ。届いた声からは、ハッと気づかされることばかりでした。「まちづくり」という“ハード”と「配慮」といった“ソフト”の双方が不十分だと、実感しました。

「そうしたことに悩んでいるのか…」という“気づき”。私も、かつて“気づき”から行動に移したことがあります。

 

2013年6月6日 ヤマケンボイス「こんなところにも“ユニバーサルデザイン”」
 

ハートネットTVが始まった初期のころ、ゲストの視覚障害の人に名刺を渡したときのこと。「自己紹介する紙なのに、何の意味があるのか」と“気づき”があり、すぐに点字名刺というものがあるかを調べて作成を依頼しました。

 

使い始めて3年あまり。視覚に障害のない人にも渡していて、初対面の人との会話が弾むことが多々あります。その点字名刺の作成現場を、今回初めて訪ねました。埼玉県越谷市にある、NPO法人 視覚障がい者支援協会「ひかりの森」です。

 

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地域に開かれた、視覚障害の人たちのデイケアセンター。とても明るい雰囲気で、利用者の1人は「家以外で安らげる場所があるのは幸せ」と笑顔で話してくれました。

点字名刺は、専用の機械で1枚1枚丁寧に作られます。視覚障害者の雇用の場にもなっているとのことです。作られているところを間近で見て、一層、自分の名刺に愛着が湧きました。

 

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できた名刺にしっかり刻印されているかを指で確認。点字名刺の取りまとめをしている出川さんによると、1か月に2万枚の注文があるそうです。人気上昇中!