すくすくナイト「子育て中の心の危機~メンタルクライシス~」。
続いては、パートナーが心の危機に陥ったときどうすればいいのか考えます。
大日向雅美(恵泉女学園大学 学長)
青野慶久(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)
ベッキー(タレント/2児のママ)
パートナーは何ができるのか?
番組のアンケートでは、パートナーへの不満を訴える声がありました。育児への理解がない、協力が得られないなどです。一方で、メンタルクライシスに陥ったパートナーにどう関わったらいいのか悩む声も寄せられました。そんな経験を持つパパに話を聞きました。
コロナ禍での子育てに追い詰められていた妻を、どう支えたらいいのか悩んでいました。妻は赤ちゃんの世話に追われ、上の子にやさしく接する余裕がなくなり、自分自身を責めていました。「楽しく笑って過ごしたいけどできない」と悩んでいたのです。
妻は精神的に不安定になることが増え、横になることが多くなり、表情がなくなっているときはとても心配でした。ちょうど、私の仕事が忙しい時期と重なり、思うように子どもたちと過ごすこともできませんでした。土日の出勤が多く、子どもたちを保育園などに預けられないので、そんなときは妻がみるしかない状況でした。
その後、どうにか妻が子育てから離れる時間を作ろうと、仕事を減らすことを決断しました。あえて励ましや心配する言葉はかけず、育児や家事をして妻を支えました。それでも、なかなか変わりませんでした。当時の妻は、「疲れてしまって、落ち込んで、イライラして、話をする余力もなかった」といいます。
家で過ごす時間を増やして、毎日が厳しい状況でも、心が折れないように何とかもがきながら過ごしていると、少しずつ妻が元気を取り戻してくれました。あのときどうすればよかったのか、今も答えは出ていません。
(お子さん4歳・1歳2か月のパパ)
―― パートナーがメンタルクライシスに陥っとき、何ができるのでしょうか?
サポートする以外に何をすればいいのかわからなかった
言葉と行動は表裏一体
行動よりも言葉がほしいときもある
近い関係だと、逆に言えないこともある
夫婦だけで乗り切ろうというのも限界がある
私を励ましてくれた言葉
番組には周囲や地域の人たちの言葉に救われたというエピソード、励まされたというエピソードがたくさん届いています。その中からいくつかを紹介します。
スーパーの店員さんの言葉
子どもが8か月のころ、スーパーの店員さんが「赤ちゃんかわいいね、大変だよね」と言いながら、笑顔でカゴを運んでくれたことがありました。とてもうれしかったです。誰とも話さない日々が続き、離乳食に行き詰まっていたころでした。家族以外に自分を知っている人がいる、見てくれている人がいるのは、大切だと感じます。
職場の同僚の言葉
仕事に復帰したころ、急な発熱などの呼び出しで早退や欠勤が多く、迷惑をかけていることに負い目を感じていました。そんなとき、先輩ママの同僚が、「子育ては順番だから気にしないで。私も子どもが小さいころ、他の誰かに支えてもらったから、次はあなたが誰かの育児に協力してあげて」と声をかけてくれました。この言葉がとても心強かったです。
SNSの言葉
妻がメンタルクライシスに陥ったとき、どうしていいのかわからなくて、思い切ってSNSに投稿したことがあります。すると、たくさんの方から励ましの言葉をいただいたり、先輩ママ・先輩パパから、「自分もこうだったよ」「自分はこんなことをされてすごくうれしかったよ」といったアドバイスをいただいて、とても助けになった経験があります。
保育士さんの言葉
夫から「一時預かりを利用してみてもいいんじゃない」と提案があったとき、仕事を辞めて社会に貢献していない私が、収入もない私が、そんなサービスを利用してもいいのか、とても悩んで一度は断ったのです。でも、専業主婦をしていた友人から「私も一時預かり使っていたよ」と聞いて、試してみようと思えました。
実際に一時預かりを利用したとき、保育士さんから「お子さんは遊ぶのが上手ですね。ふだんからお母さんがちゃんと遊んであげているのが伝わってきます」と言ってもらえて。私たち夫婦以外にも、一緒に子どもの成長を見てくれる人がいる、相談できる人がいると気づけて、とても心強く感じました。
※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです