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洞窟探検!伊豆・松崎町雲見の海 潜水アナリポート 

サクラテンジクダイを求めて NHK静岡・望月アナ
  • 2023年09月14日

伊豆半島の西・松崎町雲見は温泉で有名ですが、ダイバーに人気のスポットでもあります。
大きな岩が重なり合ってできた岩穴や洞窟を探検。水中ガイドも「伊豆ではここでしか見られないのでは」と口をそろえて言う体の透き通った魚!?に出会いました。
                         報告 NHK静岡・望月豊アナウンサー

動画はこちらからどうぞ。

風光明媚な松崎町雲見

駿河湾に面した松崎町雲見地区。
温泉と風光明媚な景色で知られています。

晴れれば富士山をのぞめます

この海に20年以上潜り続けている地元の水中ガイド・糸井泰久さんに案内してもらいました。

糸井泰久さん

雲見の海は、とにかく地形、岩と岩が重なり合ってできた、いろんなトンネル・洞窟そういったものがあって、そこを一つ一つ巡りながら通りながら、行くというのが特徴です。

青い海とカラフルな魚たち

さあ、出発です!

船で5分ほどの岩場の周辺に潜りました。

船のうしろは昇降機になっていて海への出入りもラクチン

大きな岸壁が続いています。かわいらしい魚たちもいますね、海が青いです。透明度がきょうはとてもいいです!

南の海からやってきたツノダシ
キンギョハナダイの群れ 子供たちですね
やはり南方系のハタタテハゼ
オレンジが青い海に映えてダイバーの人気者です
セナキルリスズメダイ レアです
カゴカキダイ
阪神タイガース柄だな~と思いながら眺めていました

 抜けるような青い海、そして色とりどりの魚たちが出迎えてくれました。 

 

洞窟探検!

そして、雲見といえばダイナミックな地形で有名。大小さまざまな岩穴が広がっています。
そのひとつに入ってみました。

すると。

出迎えてくれたのはキンメモドキの大群。

数えられません…
キンメモドキ
ものすごい群れです

一面を覆い尽くすような大群。キンメモドキは夜行性で、こうした岩穴を住みかにしています。 

奥へ進んでみると。

イセエビ

昼間はこうした岩穴に隠れていて、夜になると外に出ます。

しゃもじみたいな形をしたツマグロハタンポ
ヒメセミエビ

みんな夜行性です。

雲見には、岩と岩のすき間にできた穴が無数にあります。 
こうした穴は生きものたちの格好の住みかになっていました。  

こんな大物もいましたよ。!

大きさ1m以上あるクエ
大興奮!
動きは意外とすばやいです

 

タコの交接の瞬間に遭遇

洞窟の外に出てみると、岩壁の穴にタコがいました。 

よく見ると2匹います

お?片方のタコが身を乗り出してきましたよ。

ワモンダコ

ああ、出てきました!タコが腕を伸ばして、隣のタコとまるで手をつないでいるようです。

右側のタコがオス、左側がメスです。
オスが足を伸ばして精子のカプセルをメスに渡しているんです。
メスは体の中で卵を受精させ卵を産みます。
1か月ほどでタコの赤ちゃんが誕生します。

貴重な瞬間に出会えました

伊豆では雲見だけ?スケルトンな魚

さらに別の岩穴に進んでみました。

この岩穴、底に泥がたまっています。

去年8月の台風8号による大雨で、雲見地区では川の氾濫や土砂崩れが発生し、大量の土砂が海に流れこみました。

一時は生きものの姿がほとんど見られなかったと言います。その時の土砂が、1年経ったいまも海底にたまっているのです。

 

そんな穴の中にいたのは・・・。 

サクラテンジクダイ。
透き通ったピンク色をしています。

よく見ると、なんと体の中が透けて見えます。
いわゆるスケルトン!

洞窟などを好んで住み、伊豆では雲見などでしか見られない貴重な魚です。水害のあと、土砂で生きものの姿がほとんど見られなくなった穴の中で、ことしも元気な姿を見せてくれました。 

 

糸井泰久さん

去年の水害で、海の中は土砂がたまって濁りも出ましたし、壁一面に土砂が付いたので壁に付いている生きものたちがみんないなくなったりもしましたが、ようやく元の海に戻ってきました。雲見の海の楽しさを味わってもらえたらなと思います。

 

松崎町雲見。
水害を乗りこえ、多様な生きものたちが、この夏も命の営みを繰り広げていました。

  • 望月豊

    NHK静岡 アナウンサー

    望月豊

    静岡県伊豆の国市出身。1998年入局。1999年から潜水取材班で活動中。

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