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沼津 獅子浜の海に真実の口が!

伊豆 沼津 観光 獅子浜 ダイビング NHK 望月豊 アナウンサー  
  • 2023年03月31日

都心からも身近なダイビングスポット・沼津市獅子浜の海。
その海底に、イタリア・ローマで有名な、あの「真実の口」があるって、みなさんご存じでしたか?さらに、ひとたび潜ってみると、実に多様な海の生きものたちでにぎやかな世界が広がっていました。
潜水アナウンサー暦24年、地元・伊豆出身の望月豊が、豊かな海中の世界にご案内しましょう!

★2023年3月31日放送の内容はこちら!★

都会から近いダイビングスポット

沼津市獅子浜へは、東名・新東名いずれのインターチェンジからも南に30分ほどで到着。
いつも首都圏からのダイバーでにぎわっています。

獅子浜で水中ガイドをしている中村昇陽さんに案内してもらいました。

地元 獅子浜の海を知り尽くす 水中ガイド・中村昇陽さん

獅子浜は、駿河湾の特徴である急な崖や急勾配をはっきりと現しています。フラットな所が続いたあと一気に深く落ちるような海です。ダイバーには甲殻類が人気で、タイミングがあえば深海生物にも出会えます。

海に入るとすぐに「真実の口」が

いざエントリー!

潜って北側に少し進むと…。

ありました!

イタリア・ローマの観光名所「真実の口」
あのレプリカが水中に沈められているのです。

体験ダイビングで訪れた人たちに水中で楽しんでもらおうと20年ほど前に設置されました。
岸から近く、水深も5mと比較的浅いので、スキューバダイビングの資格を持っていない人でも、体験ダイビングで気軽に参加できます。

みんな手を入れて記念撮影をするそうです

実際に行ってみると、表面には海藻がついていて、すっかり海の中になじんでいます。

なんともいえない存在感を放っていました。

 

さまざまな生きものに出会える獅子浜の海

潜ってみると岸沿いに浅瀬が続きます。

砂地でまず出会ったのが。

ウミテング。
砂地をはうようにして移動していました。

名前のとおり天狗の鼻のようですね。

海底でじっとしていることが多いです

目がくりくりしたフグがいました。

サザナミフグ。
お腹にさざなみのような模様があることから、この名前がつきました。

逃げるのかと思えば、こちらのようすをうかがってみたり。
愛嬌のあるフグでした。

 

こんな生きものもいました。

イバラカンザシ。
きれいな傘みたいですね。 

指先ほどの大きさです。
実はイバラカンザシはゴカイの仲間。花のように見えるのはエラにあたる部分で、流れてくるプランクトンなどを捕まえて食べています。

 

ほかにもいろいろな生きものに出会えましたよ!

ハナミノカサゴ
このあたりの主のような風格でした
ベニイシガニ 
逃げずにはさみを向けてきた大胆なカニです
イガグリウミウシ
大きさ2センチほど 和菓子みたいですね
ミツイラメリウミウシ
縁取りがきれいですが小さくて肉眼ではほとんどわかりません…
どこにいるかわかりますか?
ベニキヌヅツミ
貝ですが、殻は内側で体が外に出ています
ここにも隠れている生きものがいますよ
ビシャモンエビ
体長1センチほど 動きはすばやいです
ホタテウミヘビ
砂地の穴の中に潜んでいました

 

岸から少し離れると、中村さんが最初に話してくれたように急に深くなります。

ピンク色の体と紫がかったヒレがきれいなアカオビハナダイ。

オスはその名の通り赤い帯のような模様があります。

東伊豆ではあまり見かけませんが、西伊豆では群れが見られます。

 

タツノオトシゴの仲間のオオウミウマ。
深い所を好みます。

私も初めて見ましたが、いわゆるタツノオトシゴよりもかなり大きいです。

 

ウミウシがいました!
ウデフリツノザヤウミウシです。

ピカピーカ?!

あのアニメのキャラクターによく似ていますよね!
ダイバーにとても人気のあるウミウシです。
ウデフリツノザヤウミウシもわりと深い所にいます。このときは水深18m。

獅子浜ではこれまであまり見られなかったということですが、2匹いました!

 

急な斜面の岩穴をのぞくと…。

ウツボときれいなエビたちが。

 

オトヒメエビは飴細工のような美しさ
ウツボの頭の上になにかいますよ

透き通った体をしたクリアクリーナーシュリンプ。

ウツボの周りをクリアクリーナーシュリンプがたむろしています。
食べられてしまうのでは?と心配になりますが、ウツボはおとなしくしています。

ウツボ 対 クリアクリーナーシュリンプ軍団!?

実は、ウツボの体についた寄生虫などをエビが食べて掃除してくれているんです。
ウツボにとってもありがたいので、エビを食べたりしないんですね。

"クリーナー”というだけありますね!

 

ふたたびサンゴがあふれる海に

浅瀬に戻ってくると、ロープが張られた一角がありました。

よく見ると、サンゴが吊されています。

ヒメエダミドリイシというエダサンゴです。
かつて獅子浜の海にはエダサンゴが群生していて、獅子浜では保護活動も盛んに行われています。

これは、獅子浜にある沼津市立静浦小中一貫学校の生徒の皆さんたちが植樹したものでした。
静浦小中一貫学校では、「身近な海から、自分たちの海の価値を知る」という総合学習の一環として、8年前からサンゴの植樹活動を行っているそうです。

4年前に植樹されたサンゴ。2~3センチほどだったものがげんこつほどの大きさにまで育っていました。

サンゴは生き物たちの住みかにもなっています。
中をのぞいてみると…。

キモガニ

サンゴの周りにも生き物たちが寄り添っていました。

オキゴンベ
トラギス

すばらしき地元の海に改めて感動!

実は、獅子浜は私が生まれ育った伊豆の国市からわずか5キロほど。
すぐ近くなのに、ダイビングを始めるまでこんなにきれいな海が広がっていることを知りませんでした。20年ほど前に1度潜ったことがありましたが、久しぶりに訪れてみると、ダイビングの施設もとても充実していて、冬だというのに毎日ダイバーがひっきりなしに訪れているのにもびっくり!

ツバメウオが撮影のようすを見に?来ていました

沼津も広いですが、獅子浜は中心部から車で15分ほど。
「真実の口」は水深も浅く体験ダイビングにぴったりです。
こんな近くにこんなすてきな海があることを、ぜひ多くの方々に知ってもらいたいと心から思います。

  • 望月豊

    NHK静岡 アナウンサー

    望月豊

    静岡県伊豆の国市出身。1998年入局。1999年から潜水取材班所属。祖父母が住んでいた沼津には毎日のように行っていましたが、ダイビングを始めて沼津の新たな魅力を知りました。

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