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静岡・沼津市井田でアオリイカの産卵がピーク! 

NHK静岡 いつも潜って伊豆の海 望月豊アナウンサー 潜水リポート
  • 2023年05月26日

沼津市の南部・駿河湾に面した井田(いた)。
岸から200m四方のエリアでさまざまな生きものが見られるとダイバーに人気のスポットです。 春はなんといってもアオリイカの産卵。しかも、いままで見たことのないような大きなアオリイカたちがたくさん集まっていました! 
春のにぎやかな井田の海をご紹介します。 
                            (取材/望月豊アナウンサー)

海越しの富士山が絶景!
沼津市井田(いた)

今回の舞台は、沼津市の南部にある井田。

人口50人ほどの集落に、多くのダイバーがやってきます。 

井田の海ひとすじのイケメン水中ガイド・出竃祐亮(でかま・ゆうすけ)さんに案内してもらいました。 

出竃祐亮さん

ちょうどアオリイカの産卵がピークにさしかかっているくらいで、生態観察などもおもしろい時期に入っています。小さい集落ですが、井田の海ってすばらしいんだよっていうのを広めていければいいなと思っています。

春の駿河湾へ

出竃さんの案内で春の駿河湾へ出発!

岸から30mほど続く浅瀬には、太陽の光が降り注いでいました。 

一面海草の草原が広がっています

春に成長するホンダワラです。 

小さな魚たちがホンダワラの中を出たり入ったり。
ホンダワラは小さな生きものたちの格好の住みかです。 

ホンダワラ

ホンダワラの丸い袋の中には空気が入っていて、成長すると水面付近までまっすぐ伸びます。
あと1か月もすると、このあたりにはホンダワラの林が広がり、小さな生きものたちであふれます。 

深場で暮らす小さな生きものたち

浅瀬を越えると一気に深くなっていきます。
キビナゴの大群が出迎えてくれました。 

キビナゴ

群れで回遊し、この時期産卵のため沿岸にやってきます。 

 

水深25メートル付近。 
出竃さんがとても小さな生きものたちを見つけました。 

2匹いました
ビシャモンエビ(オス)
ビシャモンエビ(メス)

大きさ5ミリほどのビシャモンエビ。 くるくると伸びたムチカラマツというサンゴの仲間に擬態していました。 

 

こちらも小さなホムラスベヨコエビ。大きさ5ミリほど。  

ホムラスベヨコエビ

和名がついたのは10年ほど前。写真を撮るダイバーに人気です。

 

シリウスベニハゼ

南の海の魚、シリウスベニハゼ。赤い点が特徴です。 
伊豆で見られるのはとても珍しいそうです。

 

岩場で卵を守っているハゼを見つけました。 

イチモンジハゼ

イチモンジハゼ。
貝殻の中に卵を産み付けていました。 

卵が透けて体(銀色のつぶつぶ)も見えています

ヒレをパタパタとさせて海水に含まれる新鮮な酸素を送っています。 
海の中は新たな命があふれようとしています。 

 

神秘 アオリイカの産卵

「うわー、すごい。たくさんのアオリイカの群れです」

見つけました!大きさ1m近いアオリイカ。 
いま産卵のピークを迎えています。 

左側の大きい方がオス、右側の小さい方がメス

アオリイカが産卵しやすいように地元のダイビングショップなどが沈めた木に、たくさんの卵が産み付けられていました。 

バナナの房みたいですね

しかし、産卵までには激しい戦いが待っています。 
産卵にやってきたアオリイカのペア。

上のオスが足を持ち上げています。威嚇しているんです。 メスとペアになろうと他のオスが狙っているからです。
オスはぴったりとメスに寄り添います。

そして。 
メスが木の中へ入っていきます。

卵を産み付けました!

アオリイカの寿命は1年。
産卵を繰り返して、一生を終えます。

次から次へとメスが卵を産み付けていきます。

1か月ほどでふ化し、アオリイカの赤ちゃんたちが誕生します。

駿河湾に面した沼津市井田。 海の中では遅い春が訪れ、新たな生命があふれようとしていました。

動画はこちらからどうぞ!

  • 望月豊

    NHK静岡 アナウンサー

    望月豊

    静岡県伊豆の国市出身。1998年入局。1999年から潜水取材班のアナウンサーとして、国内外の海や川でリポート。

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