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清水町 海の宝石?プランクトンの世界 峯水亮写真展 NHK静岡

【アナブログ】田中洋行アナウンサー
  • 2023年08月13日

こんにちは。アナウンサーの田中洋行です。暑い日が続いていますが、涼しげな海の中の写真展が開かれると聞き、清水町を訪ねました。
水中写真家・峯水亮さんは夜の海に潜って小さなプランクトンの幻想的な世界を表現するカメラマンで、世界から評価されています。写真展では水中写真の第一人者、中村征夫さんとの対談も開かれ、研究者にも知られていない小さな生きものの不思議な話を聞くことができました。

清水町と写真家・峯水亮さん

清水町地域交流センター

清水町の地域交流センターで開かれたのは、水中写真家・峯水亮さんの写真展です。峯水さんには以前、同市の幼魚水族館で珍しいアミダコの展示が行われたときに、不思議な生態について教えていただきました。

(記事はこちら)「サルパに入って旅する不思議なタコ」

写真が世界的に評価されている峯水さんは、ことし4月、清水町のふるさと大使に任命されました。今回は町政施行60周年の記念企画として開かれたそうです。

楽しみです!

小さなプランクトンの美しい世界に
息をのむ

会場では多くの人が一つ一つの写真に足をとめ、じっくりと小さな生きものの世界を見ていました。

貝の幼生の写真

こちらは貝の幼生期の写真です。実際は数ミリですが、カメラで大きく写すと、オレンジや黄色のドットがまるで夜空に打ち上げられた花火のようです。どうしてこんな形なんでしょう?どうしてこんなに美しいんでしょう?

夜の海を泳ぐイカの赤ちゃん

こちらはイカのあかちゃんが漂う写真です。奥のライトやその反射でしょうか?丸い青い光が不思議な世界を作り出しています。イカがまるで宇宙を漂う宇宙人のようですが、地球上にこんな不思議な空間があるんですね。

水中写真家 中村征夫さん

会場で峯水さんと話をしていたのは日本の水中写真の第一人者、中村征夫さんです。19歳の時に水中写真を独学で学び、これまで写真家として数々の栄誉ある賞を受賞。78歳の今も現役の写真作家として精力的に創作活動に臨んでいます。
私もこれまで何度も取材でお世話になってきました。

2人が見ていたのは……。

まんまるの目をしたハリセンボンを真正面からとらえた写真です。「かっわいいよね~」。愛おしそうに話す中村さんと峯水さんの姿にほっこりさせられました。

私も目を大きくして2ショットのセルフィ―を試みましたが……。せっかくのカワイイを台無しにしてしまいました。なんでこんな写真を撮ったんだろうと後悔しました。

小さな生きものに向き合う写真家

幻想的なフリソデウオの幼魚と峯水さん

どうして峯水さんはプランクトンや小さな魚やイカの赤ちゃんにレンズを向けているのでしょうか?

『魚もカニも貝も、プランクトンの時代は小さな体で、ほかの生きものに食べられてしまう弱い存在です。しかし夜の海で出会う彼らはとても美しく、また、驚くような生存の戦略を持っているんです。海の中で小さな生きものに向き合っていると、生きものの本質を教えられている気がするんです』(峯水さん)。

中村征夫さん

中村征夫さんも40年以上東京湾をライフワークに小さな生きものに向き合ってきました。
いまでも初めて潜ったときの驚きが忘れられないと言います。

『40年以上前の東京湾は最も汚染がひどいと言われていた時代です。初めてお台場に潜ったときに、お腹に卵を抱えたイソガニの母ガニが懸命に命をつなごうとする姿を目の当たりにしてとても感動したんです。別に命のドラマはアフリカのサバンナだけにあるわけではないんだと。もっと多くの人に海の中の小さな生きものに目を向けてほしいですね』(中村征夫さん)。

お二人の対談では、海の生きものの生活や生態に思いを馳せることができれば、環境を守るために自分たちの生活を見直すきっかけになるはずだというメッセージもありました。

私もダイバーなので、よくわかりますが、海の中がいつも快適とは限りません。
タンクやカメラといった重たい機材を持って水中に入り、1枚の写真にそんなメッセージを込めようとするお二人には頭が下がる思いです。

これからの水中写真に期待!

会場にはお二人のファンも多く訪れ、サイン会には長い列ができていました。
峯水さんも中村さんもすでにこれからの水中写真の構想があるようです。どんな表現がされるのでしょうか。これからの作品が楽しみです。

水中写真は水面から見える光の加減をうまく捉えたものも多く、写真展でもファンタジーの世界を感じるものが多いなと思いました。
陸からキラキラした水面を眺めるのもいいものですが、水中から水面を仰ぎ見るのはとても美しいです。
ひょっとするとこの時期、子供のころにプールや川、きれいな海に潜って見たそんな景色をわくわく思い出す人もいらっしゃるかもしれません。

写真展でしたが、夏の暑い時期にそんな美しい水の世界を感じることができたのは、とても幸せなことでした。

あー、わたしも潜りたくなってきた(笑)

ソラスズメダイの泳ぐ南伊豆の海(田中撮影)
  • 田中 洋行(たなか・ひろゆき)

    NHK静岡 アナウンサー

    田中 洋行(たなか・ひろゆき)

    大学で海洋生物を学んでNHKアナウンサーに。
    ダイビングを始めて25年。人と海との関係は奥深く、魅力だけでなく環境の問題や歴史なども長年取材、発信しています。「しず海ひろば」で静岡の海を発信しています!

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