幕内復帰を目指す熱海富士 “ふるさと”のために
- 2023年07月07日
名古屋場所が7月9日(日)に初日を迎えます!
熱海市出身、西十両筆頭の熱海富士は幕内復帰を目指しています。
熱海富士は今場所、特別な思いを持って土俵に上がります。
今場所に向けて稽古で意識していること、地元・熱海への思いを聞きました!
(取材・文 片平和宏アナウンサー)
十両筆頭・熱海富士
「幕内に戻るために!」
熱海富士
「十両の一番上なので今回勝ち越せば(幕内)が見えてくる。 また戻れるところまで来たので気合い入りますね」
幕内復帰を目指す熱海富士。
幕内の翠富士と先場所、序二段優勝を成し遂げた焼津市出身の聖富士と稽古をして名古屋場所に備えていました。 部屋の横綱・照ノ富士が見つめるなか、緊張感のある稽古を重ねていたといいます。
熱海富士は恵まれた体格を生かして、前へ出る相撲を持ち味としています。
熱海富士は右腕を相手のわきの下に入れて、左腕で相手の腕の上から廻しを取る 「右四つ左上手」の相撲を持ち味にしています。
名古屋場所で勝ち越すために何が大切か。
それは右腕を相手のわきの下に入れる 「右の差し方」にポイントがあるといいます。
熱海富士
「相手も脇を締めて差されないようにしてくる。 普通に当たっただけでは右腕は入らないので、下から回して押しこみながら差すイメージです」
熱海富士が右腕の使い方がよかったと話したのが
春場所2日目の相撲。
右腕を下から半円を描きながら相手の脇の下に差す。
半円を描くイメージを持つことでよりスムーズに相手の脇に入れることができます。
右腕を脇に入れることができると、密着することができて、熱海富士の馬力も生かせます。
片平アナ
「これは名古屋場所でも大切になってきますか?」
熱海富士
「 自分の型が右四つという型なので、大切になりますね。とにかく前に出ることも意識しています。 自分の相撲取りきって、今場所で幕内復帰を決めたいです 」
これを食べて強くなった!?
熱海の大好きな食べ物♪
片平
「熱海の食べ物とか、場所とか、おすすめのものありますか?」
熱海富士
「揚げワンタンとい名物があります。お土産とかで部屋に持って帰れたりするんですけど、みんなで食べています」
熱海富士のお母さんの同級生だという加藤大樹さんと母・恵美子さんたちが切り盛りする熱海の中華料理屋。
熱海富士も熱海に帰ってきた時はよく来てくれるといいます。
熱海富士の好物・揚げワンタンをいただきました。 薄いワンタンを30秒ほど揚げて、熱々の甘酢をかけていただくのが特徴です。
片平アナ
「おいしいですね!!甘酢とカリッとしているワンタンが合いますね!」
恵美子さん
「そんなに強い酸味じゃないので、優しい酸味だと思います」
片平アナ
「これ食べて熱海富士も強くなったんですかね?」
恵美子さん
「だといいですが!(笑) いつもいっぱい食べるので(笑)これからもいっぱい食べてもらって、頑張ってほしいですね」
なんと熱海富士はこの量をペロリと食べてしまうといいます。まさに富士山の形をしていて、熱海の富士山“熱海富士”です。
熱海富士
「初めて食べた時に、えーっ!おいしい!とびっくりしました!食感かな…?甘酢のタレを熱々にしてからと言われて、熱さが大事だと思います。本当においしいんで!」
小さい頃から熱海富士を見てきた加藤さんたち。
この2年間、熱海の土石流災害や新型コロナウィルスの拡大など苦しかったといいます。
そのなかで故郷を思い闘う熱海富士に勇気をもらっていました。
加藤大樹さん
「熱海の土石流は本当にびっくりでした。飲食店を経営していて、新型コロナウィルスでお客さんが全く来ない。ただ伊豆山地区の皆さんを思うと“大変だ…”とも口にできませんでした。熱海富士は本当に応援したくなるような力士ですし、応援は楽しいですね。街を盛り上げてくれます」
熱海富士も今場所に特別な思いを持って臨みます。
熱海富士
「もう2年もたつんですね。そのときは急なことすぎて、自分もびっくりしたというか何もできなかったですね。ほかのスポーツもそうですけど、“熱海”と直接、名前を背負っているのは自分が一番なのかなと思いますね。地元のために頑張りたいです」
熱海富士の背中を押す!たった1人の“妹”の存在!
故郷には熱海富士の背中を押す人がいます。それは妹・陽奈さんです。 全国大会でも優勝経験のある沼津市の飛龍高校相撲部の主将を務めています。 体は大きくありませんが、前廻しを取って常に低い状態を作る相撲を持ち味にしています。
陽奈さんは場所中や場所後に、熱海富士にアドバイスを送っているといいます。
陽奈さん
「まだまだ寄り方がうまくないですね…最近は精神面でも指摘したことがあります。もっと強い気持ちを全面に出してほしいです。“なにくそ!”という強い気持ちが相撲では大切になると思います」
これについて熱海富士に聞いてみると柔和な笑顔で答えてくれました。
熱海富士
「自分より相撲うまいので…(笑) たった1人の妹です。大切ですね。応援してくれるのはありがたいですね」
土俵上では見せることのない“優しいお兄ちゃん”の姿を垣間見ることができました。
熱海の“スーパースター”に!
熱海富士に稽古以外のことを聞きました。
音楽を聴くのが大好きで、
好きな歌手は「back number」。
特にお気に入りは「スーパースターになったら」という曲です。熱海の“スーパースター”になりたいという思いがあるといいます。
熱海富士
「歌詞が好きですね。恋愛ソングだと思いますが、まだ一人前じゃないけどスーパースターになって迎えにいくよ!っていう。まだできていない人、自信がなくて頼りがいのない人の歌です。自分もまだまだなので…いつか熱海のスーパースターになりたいですね」
取材で感じる
“熱海富士のふるさと”への思い
私が初めて熱海富士に会ったのは、入門前の飛龍高校3年の時です。
厳しい部活なのに、カメラを向けられると笑顔になってしまうのが印象に残っています。
そんな、かわいい熱海富士が変わったと感じたのが2年間に起きた熱海の土石流災害。
中学の学区内で起きた土石流に言葉を失ったといいます。
熱海富士は当時、初めての幕下。
大相撲の世界ではまだ“一人前”ではありませんでした。
「地元のために頑張りたい。でもまだ自分はそんなこと言える番付ではない」
複雑な思いを一言一言、考えながら言葉を紡いでくれました。
そこから2年、故郷を思い土俵に上がり続けました。
今は関取として活躍しています。
熱海の食事と温泉について屈託のない笑顔で話す熱海富士。
土石流災害や新型コロナウィルスの感染拡大で苦しい思いをした熱海の皆さんを思う熱海富士。
その対照的な表情の根底には「熱海が大好き」という思いが伝わってきます。
地元では「熱海が大変な時に頑張ってくれた。熱海富士が希望の光だった」と話す人もいます。
熱海富士に「もう熱海のスーパースターですね」と聞くと、「まだです。もっと上にいきたいです」と答えてくれました。
熱海富士は名古屋場所も、地元を思い土俵に上がります。 “頑張ってほしい”、静岡局で働く私として強く思います。
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