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子どもたちの“三方ヶ原の戦い” 静岡家康紀行 NHK静岡

静岡家康紀行 NHK静岡放送局
  • 2023年06月16日

大河ドラマ「どうする家康」で話題になった“三方ヶ原の戦い”。舞台になった浜松では、今年5月に「浜松まつり」が行われ、松本潤さんら出演者たちも参加して大いに盛り上がりました。
こうしたなか、浜松市の小学校で開かれた運動会では、この“三方ヶ原の戦い”にちなんだ種目に注目が集まりました。

運動会で披露する“三方原合戦”とは

ある小学校のグラウンドから気迫の込もった大きな声が聞こえてきます。

浜松市立三方原小学校の子どもたちです。
3日後に運動会を控えた子どもたちが練習しているのは、
その名も“三方原合戦”。(みかたはらかっせん)
こちらの小学校では、毎年5・6年生が徳川軍と武田軍の2チームに分かれて、「騎馬戦」や「城落とし」と呼ばれる玉投げなどで勝敗を競います。

「騎馬戦」
「城落とし」

三方原小学校の子どもたちは、三方ヶ原の戦いの歴史を授業で学んだり、「葵と菱の古戦場」など戦いにちなんだ歌詞が含まれる校歌に低学年のころから触れあうなど、子どもたちにとってその戦いは特別な存在です。
(※葵=徳川の家紋、菱=武田の家紋)

校歌の練習をする1年生
三方原小学校 校歌の歌詞

浜松市の96ある公立小学校のうち17の小学校が運動会にこの合戦を取り入れています。50年以上の歴史があり、地域の人たちに親しまれてきました。

(提供:西村圭一郎さん)

大将役を務める2人

校内のオーディションをくぐり抜け、今回大将役に抜擢された2人の意気込みは...?

徳川軍を率いるのが家康役の中尻稜祐くんです。
歴史好きで大河ドラマは毎週欠かさずに見ています。

家康役
稜祐くん

「みんなを引っ張って、みんなの気合いを引き上げられるような徳川家康で挑みたいなと思います!」

一方、武田軍を率いるのが信玄役の直井睦來くん。
3年前に同じ大将役を務めた兄に憧れて、今回立候補を決意しました。

信玄役
睦來くん

「(武田軍は)最強の騎馬なので僕も最強になれるように頑張りたいです!」

運動会当日  いざ出陣...!!!

一年に一度、三方原地区の住民が待ちに待った運動会。
たくさんの保護者や地域の人が、子どもたちの雄姿に大きな期待を寄せています。

(保護者)
「名物、風物詩ですよね。自分の息子が6年生で出場するので、すごく楽しみにしています」

(保護者)
「どんな気持ちでやっているのかなと想像して楽しみたいと思います」

(三方原小学校 卒業生)
「40年くらい前に徳川方の歩兵の役でした。ずっと続いていることは卒業生として非常にうれしく感じます」

およそ1か月、この日のためにセリフの練習に励んできた2人が向かい合います。

最初に口を開いたのは家康役の稜祐くん。

家康役
稜祐くん

「やあやあ我こそは三河、遠江を治める徳川家康なるぞ。我が地、浜松を戦わずに通り過ぎるとは何事か。徳川の力を目にもの見せてやる。みんな、準備はよいか。えい、えい、おー!!!」

稜祐くんに続いてかけ声を出す白組の徳川軍

信玄役の睦來くんが力強く返答します。

信玄役
睦來くん

「我こそは甲斐の虎、武田信玄なるぞ。まんまと我が作戦にはまりおったな。すでに浜松は天下無敵の我が手の中じゃ。返り討ちにしてくれるわ!えい、えい、おー!!!」

睦來くんに続いてかけ声を出す赤組の武田軍

まず盛り上がりを見せるのが“騎馬戦”です。
90秒の中でお互いに帽子を取り合い、帽子を取られていない騎馬が多く残っているほうが勝利となります。
ちなみに大将は帽子を取られることがないため無敵です。

結果は...。

白組の徳川軍が勝利しました。
すかさず両大将の口上が始まります。

信玄役
睦來くん

「これで終わりだと思うな!ここからが見せどころ。次は城落としじゃ!!」

家康役
稜祐くん

「この城が落とせるものなら落としてみろ!返り討ちにしてくれるわ!!」

いよいよ多くの人が待ちわびた、三方原合戦のメイン種目“城落とし”が始まります。それぞれの軍が城を円を描くように囲み、開始の合図で城にめがけて一斉に玉を投げ、四方にある城の窓を突き破って先に玉を中に入れたほうが勝利です。

窓に見立てた紙が貼られている

開始およそ1分で決着!結果は...?

“城落とし”も白組の徳川軍に軍配が上がりました...!

子どもたちが引き継ぐ伝統行事

史実とは異なり徳川軍が勝利。戦いを終えた両大将は...。

家康役
稜祐くん

「白組全員で協力したからこその結果が出たので白組全員に感謝したいです!」

信玄役
睦來くん

「やっぱり負けて悔しいです。(信玄に)なれたと思います。負けちゃったけど」

子どもたちによる三方原合戦。戦国時代から令和、これからも子どもたちが地域の歴史を伝統行事として引き継ぎます。

  • 木原奏人

    静岡局・カメラマン

    木原奏人

    令和3年度に中途採用で入局。
    レンズを通してさまざまな思いを映します。    

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