東京 大阪に計約1000床の
コロナ病床増設を要請

新型コロナ対策をめぐり、岸田総理大臣は東京都の小池知事と大阪府の吉村知事に対し、入院患者の受け入れに万全を期すため、東京と大阪で合わせておよそ1000床の病床を増設するよう要請し、必要な医療人材の確保は政府が全面的に支援する考えを伝えました。

岸田総理大臣は9日午後、総理大臣官邸で東京都の小池知事と会談したのに続き、大阪府の吉村知事ともオンライン形式で意見を交わしました。

この中で、岸田総理大臣は新型コロナの感染状況について、「感染拡大のスピードは徐々に落ちているが、なお感染者の数は大きな数字となっている。遅れて重症者数が増加するリスクもあり、引き続き、緊張感をもって対応しなければならない」と述べました。

そのうえで、病床の使用率が上昇する中、入院患者の受け入れに万全を期すため、東京と大阪で臨時の医療施設を設け、合わせておよそ1000床の病床を増設する考えを伝えました。

そして、東京で660床、大阪で350床を確保するようそれぞれ要請し、必要な医療人材の確保は政府が全面的に支援する考えを伝えました。

さらに、新型コロナワクチンの3回目接種をめぐり、一日当たり100万回の目標を掲げたことを説明し、市区町村と連携して接種券の送付を加速させることや、いわゆる「エッセンシャルワーカー」への接種を進めることへの協力を求めました。

小池知事 宿泊療養施設の一部を臨時の医療施設に

会談で小池知事は、オミクロン株の特性にあわせた国の対応方針の明確化や、検査キットやワクチンの早期確保と供給などを要望しました。

これに対し岸田総理大臣は、都内の感染状況について「拡大のスピードは徐々に落ちていると承知しているが、感染者の数は大変、大きな数字となっており、重症者が遅れて増加するリスクもある」と指摘しました。

そのうえで、入院患者の受け入れに万全を期すため、都の宿泊療養施設を転換するなどして臨時の医療施設を増やし、必要な人材の確保は国が支援する考えを示しました。

会談のあと小池知事は記者団に対し「重症化リスクが高い高齢者や、不安を抱えている妊婦への医療提供体制を維持するため、臨時の医療施設660床を設置する。具体的には『品川プリンスホテルイーストタワー』などで、宿泊療養施設などに医療機能を付加する」と述べました。

さらに、荒川区にある旧東京女子医科大学東医療センターを高齢者医療や介護の拠点として整備するほか、妊婦の主治医と連携して支援する施設も新たに設け、今月中旬から順次、開設することを明らかにしました。

都が新たな臨時の医療施設を順次開設

東京都は重症化リスクの高い高齢者などを対象に、新たな臨時の医療施設として合わせて660床程度を今月中旬から順次、開設することにしています。

このうち、宿泊療養施設として利用している品川プリンスホテルイーストタワー、ファーイーストビレッジホテル東京有明、それに9日から運用が始まった立川市の臨時の宿泊療養施設の3か所は臨時の医療施設に転換し、軽症などの患者を受け入れます。

3か所合わせておよそ350床で酸素投与や中和抗体薬による治療を行うほか、感染が広がっている妊婦に対する健康観察も行う予定です。

また、旧東京女子医大の東医療センターと都立や公社の病院の一部で、合わせておよそ250床を用意し、高齢者施設でクラスターなどが発生した場合に患者の入院を受け入れたり、治療を行ったりするということです。

このほか、宿泊療養施設の2か所と都立や公社の病院の一部では、妊婦をサポートする療養施設として、医師や助産師などによる治療や健康相談を行うとしています。

官房長官「都道府県や市町村への支援に全力尽くす」
松野官房長官は、9日午後の記者会見で「面会では、オミクロン株の特性を踏まえた対応や、臨時の医療施設の設置などについて話し合ったと承知している。岸田総理大臣からは、国と東京都が相互に協力しあう新たなプロジェクトとして、都に臨時の医療施設を確保してもらい、国が人材の確保を全面的に支援することになった。また、ワクチンの3回目接種の取り組みを加速するよう都にお願いした」と述べました。

そのうえで「政府として引き続き、前線で尽力いただいている東京都知事をはじめ、都道府県や市町村への支援に全力を尽くしたい」と述べました。