しみは「アメリカ」
重視すべきは「米中両国」

アメリカ大統領選挙を前に行ったNHKの世論調査で、世界で主導権を争うアメリカと中国について尋ねたところ、親しみがある国ではアメリカが中国を大きく上回った一方、どちらを重視すべきかについては「どちらの国も」と答えた人が半数を超えました。専門家は「米中とも重要という背後には、経済的つながりや軍事的緊張を回避したい思いがあるのではないか」と指摘しています。

NHKは日本人のアメリカに対する意識を探ろうと、ことし2月から3月にかけて、全国の18歳以上の3600人を対象に郵送による世論調査を行い、61%に当たる2195人から回答を得ました。

アメリカや中国などにどの程度親しみがあるか聞いたところ、アメリカに親しみがあるという人は「とても」と「ある程度」を合わせて72%に上った一方、中国に親しみがある人は22%にとどまり、アメリカが中国を大きく上回りました。

一方、安全保障や経済の分野で激しく主導権を争うアメリカと中国のどちらをより重視すべきか尋ねたところ、「両国とも重視すべき」と答えた人が55%で最も多く、「アメリカ」は34%、「中国」は3%などとなりました。

アメリカ研究が専門の慶應義塾大学の渡辺靖教授は「中国に対してさほど親しみを感じていない一方、米中ともに重要だという背後には、経済的つながりや中国とはことを荒げたくない思いが作用していると思う。中国との軍事的緊張は回避したいという思いも強いのではないか」と指摘しています。

最も評価する大統領は?

また、世論調査では第2次世界大戦後の歴代のアメリカ大統領のうち、最も評価する大統領についても聞きました。

その結果、「オバマ大統領」が54%で最も多く、「ケネディ大統領」が17%、「レーガン大統領」が11%、「クリントン大統領」が4%などとなり、現職の「トランプ大統領」は2%でした。

オバマ大統領が評価されたことについて、アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」東京支局長のピーター・ランダースさんは「オバマ大統領は現職の大統領として初めて広島に行ったことが、日本人にとって大きな成果だったのではないか。トランプ大統領との対比でオバマ氏が冷静で日本に対しても強い要求をしなかったことから、オバマ大統領のほうがよかったとなったのではないか」と話しています。