法以外の問題 優先
して取り組むべき」78%

NHKの世論調査で、安倍総理大臣が意欲を示す憲法改正の議論について、今、進めるべきかどうか聞いたところ、「憲法以外の問題に優先して取り組むべき」が78%を占めて、「憲法改正の議論を進めるべき」の13%を大きく上回りました。

NHKは、先月コンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、全国の18歳以上の男女2681人のうち、58.2%にあたる1560人から回答を得ました。

このなかで安倍総理大臣が憲法改正に意欲を示すなか、あなたは今、憲法改正の議論を進めるべきだと思うか聞いたところ、「憲法以外の問題に優先して取り組むべき」が78%を占めて、「憲法改正の議論を進めるべき」の13%を大きく上回りました。

同じ方法で行われたおととしの調査で、「憲法以外の問題に優先して取り組むべき」は68%で、今回はさらに増加しました。

男女別にみますと、「憲法改正の議論を進めるべき」は、男性が17%、女性が8%で、男性が多くなりました。

憲法改正 必要ある32% 必要ない24%

いまの憲法を改正する必要があると思うか、それとも、改正する必要はないと思うか聞いたところ、
▽「改正する必要があると思う」が32%、
▽「改正する必要はないと思う」が24%、
▽「どちらともいえない」が41%でした。

同じ方法で行ったおととしの調査では、
「必要があると思う」が29%、
「必要はないと思う」が27%と、賛否がきっ抗していましたが、今回は「必要があると思う」が「必要はないと思う」を上回りました。

是非の理由
「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ「日本を取りまく安全保障環境の変化に対応するため必要だから」が50%と最も多く、「国の自衛権や自衛隊の存在を明確にすべきだから」が25%、「プライバシーの権利や環境権など、新たな権利を盛り込むべきだから」が11%、「アメリカに押しつけられた憲法だから」が10%となっています。

「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ「戦争の放棄を定めた憲法9条を守りたいから」が62%と最も多く、「基本的人権が守られているから」が17%、「すでに国民の中に定着しているから」が14%、「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が3%となっています。

9条改正の是非
戦争を放棄し、戦力を持たないことを定めている憲法9条について聞いたところ、
▽「改正する必要があると思う」が26%、
▽「改正する必要はないと思う」が37%、
▽「どちらともいえない」が32%で、
「必要はないと思う」が「必要があると思う」を上回りました。

憲法9条について、どう評価するか聞いたところ、
▽「非常に評価する」は27%、
▽「ある程度評価する」は48%で、
「評価する」人は合わせて75%でした。
一方、
▽「あまり評価しない」は15%、
▽「まったく評価しない」は5%でした。

専門家「平時から改正含め議論を」
憲法改正に向けた議論を進めるべきだという立場の関西学院大学の井上武史教授は、「新型コロナウイルスの問題に対し、今の憲法が、十分に対応できてないという疑問を持った人が増えたことが影響したのではないか。まずは法律で対応できることを探っていくのが大前提だが、それだけでは対応しきれないことがある。急に議論するというのは非常に危険だと思うので、新型コロナウイルスの問題が終息したあとに、冷静に平時から緊急の備えについて憲法改正も含めて、議論すべきだと思う」と指摘しました。
一方、憲法9条については、「平和主義の理念は広く国民に浸透しているが、憲法と現実にかい離があると考える人もいる。こうした意見もくみ取り、議論すべきだ」と述べました。

専門家「緊急事態には法律で対応すべき」
今は憲法を変えるべきでないという立場の東京大学の石川健治教授は、「新型コロナウイルスに対する政府の感染対策の不備は、憲法に原因があると、結び付けて考える人がいたということだろう。法律で緊急事態に対応することと、憲法に『緊急事態条項』を設けることは、話の筋が別なので切り分けて考える必要がある。『緊急事態条項』によって、議会をとばして内閣が勝手に決められる仕掛けを用意することは、対応のしかたとして危険だ。緊急事態には法律で対応すべきで、憲法改正論に結び付けるのは筋が違う」と指摘しました。
一方、憲法9条については、「役割が再び評価されている。自衛隊の存在を明記する9条『加憲』案の機運は、後退していることがうかがえる」と述べました。