業者への賃料の補助金
制度を検討」自民 岸田氏

新型コロナウイルスの感染拡大による休業などで、店舗などの賃料の支払いが困難になっている事業者を支援するため、自民党の岸田政務調査会長は、新たな補助金制度の創設を検討していく考えを示しました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた臨時休業や営業時間の短縮などによる収入の減少で、事業者が、店舗などの賃料の支払いが困難になっているケースが相次いでいます。

自民党の岸田政務調査会長は、記者会見で「飲食店などが大変厳しい状況にあり、テナントに直接支援を行うことが大事だ。家賃の支払いのための助成金や補助を考えていかなければならない」と述べ、経済対策に盛り込まれた中小企業などに対する給付金とは別に、賃料の支払いのための補助金制度の創設を検討していく考えを示しました。

そのうえで「スピード感を持って実施するために議員立法も視野に入れて対応したい。状況は刻々と変化しており、柔軟に対応していくことが大事だ」と述べました。一方、立憲民主党などは、賃料を一定期間立て替えて、支払いを猶予するための法案を今の国会に提出することを決めていて、与野党の間で調整が行われる見通しです。

賃料めぐる政府の対応は

政府は、今月7日に閣議決定した緊急経済対策の中に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で収入が大幅に減少した企業や個人事業主に対しては、税制面での負担を軽くする措置を盛り込んでいます。飲食店が入るビルや商業施設などの所有者が賃料の免除や減額に応じて収入が減った場合も、こうした措置の対象に含めることで賃料への柔軟な対応を促そうとしています。

国税や地方税など猶予

具体的には、ビルなどの所有者が、飲食店などのテナントに対し、賃料の支払いを減免したり猶予したりした場合、法人税などの国税や固定資産税などの地方税、それに社会保険料の支払いを1年間、猶予します。

対象となるのは、ことし2月以降の1か月以上にわたって、収入が前の年の同じ時期に比べて20%減少するなどした場合です。通常、国税などの支払いを猶予する場合には、原則として担保の提供が必要で延滞税や延滞金も課されますが、今回は、特例としていずれも免除します。

固定資産税などの減免

また、ビルの所有者が賃料の減免などを行った場合、設備や建物にかかる来年度分の固定資産税や都市計画税を減免します。
ことし2月から10月までのうち、3か月間の売上高の減少幅が前の年の同じ時期と比べ30%以上、50%未満の場合は半額、50%以上減少した場合は、全額を免除するとしています。
こうした優遇措置について政府は、今の国会で必要な法改正の手続きを進めることにしています。

税務上の扱い

このほか、賃料を減額した場合には、災害時と同様に事業者が支払う法人税のほか、個人事業主が支払う所得税の負担を軽くする措置をとっています。
国土交通省はこうした対応について業界団体を通じて周知し、ビルなどの所有者に柔軟な対応を呼びかけています。