日韓防衛相が非公式会談
関係改善に努力で一致

韓国軍によるレーダー照射で日韓の防衛当局間の関係が悪化する中、岩屋防衛大臣は、訪問先のシンガポールで、問題発生後初めて韓国のチョン・ギョンドゥ(鄭景斗)国防相と非公式に会談しました。レーダー照射について主張の隔たりは埋まらなかったものの、北朝鮮問題に対応するためにも、関係改善に努力していくことで一致しました。

去年12月、海上自衛隊の哨戒機が韓国軍の駆逐艦から射撃管制用レーダーを照射された問題などを受けて、日韓の防衛当局間の関係が悪化する中、アジア安全保障会議に出席するためシンガポールを訪れている岩屋防衛大臣は、韓国のチョン・ギョンドゥ国防相と、非公式におよそ30分間会談しました。

正式な会談は見送られましたが、防衛相どうしが直接会って意見交換するのは問題発生後初めてです。

この中で岩屋大臣は、レーダー照射問題について、「自衛隊機の飛行の在り方は適切だった」と述べ、再発防止を求めたのに対し、チョン国防相は、事実関係を認めない従来の姿勢を崩さず、主張の隔たりは埋まりませんでした。

一方で、両氏は、先月上旬、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射したことを踏まえて、東アジア地域の安定的な安全保障環境を維持するためには、両国の防衛協力は極めて重要だとして、今後、防衛当局間の関係改善に努力していくことで一致しました。

会談のあと、岩屋大臣は「さまざまな課題について、一度会っただけでシャンシャンと解決するまでの環境には至らなかったが、トップどうしが会って胸襟を開いて話し合うことは非常に大事だ」と述べました。

これに先立って岩屋大臣は、中国の魏鳳和国防相と会談し、中国の海洋進出を強める動きに懸念を伝えました。

そして両氏は、信頼醸成のため、大臣レベルの相互訪問が重要だとして、まずは岩屋大臣の年内のできるだけ早い時期の訪中を実現することで一致しました。

韓国国防相「再発防止で一致」

岩屋防衛大臣との非公式会談を終えた韓国のチョン・ギョンドゥ国防相は、韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題をめぐる協議はうまくまとまったのかという報道陣の質問に対して「まとまったというよりかは多くの意見を交換した」と述べるにとどめました。

その一方で「虚心たん懐に、率直に意見を交わし、今後両国が緊密に協力しながら、このようなことが再発しないようにすることで意見が一致した」と述べました。

また「隣接した友好国として、国際社会で起こっているすべての問題について緊密に協力する必要性がある。両国関係が改善できるよう積極的に努力していく」と述べて、北朝鮮問題をはじめさまざまな問題で連携することを確認したとみられます。

これについて韓国の連合ニュースは「出口のない攻防戦を繰り広げ、防衛協力を全面的に中断してきた両国が、少なくとも対話と交流正常化に向けた糸口を確保したと評価される」と肯定的に伝えています。