童虐待事件1380件で
過去最多「重く受け止め」

全国の警察が検挙した児童虐待の事件は去年1年間で1380件、被害に遭った子どもは1394人と、いずれもこれまでで最も多くなったことが警察庁のまとめで分かりました。

警察庁によりますと、去年1年間に全国の警察が検挙した児童虐待の事件は1380件、被害に遭った18歳未満の子どもは1394人に上りました。

事件の件数は242件、被害に遭った子どもの数は226人、それぞれ前の年を上回り、いずれも現在の形で統計を取り始めた平成15年以降で最も多くなりました。

また、虐待の疑いがあるとして全国の警察が児童相談所に通告した子どもは8万252人、児童相談所が対応できない緊急時や夜間などに警察が保護した子どもは4571人と、いずれも過去最多となっています。

児童虐待をめぐっては、去年3月、東京 目黒区で当時5歳の女の子が両親から十分な食事を与えられず死亡したり、ことし1月には千葉県野田市で小学4年生の女の子が虐待を受けて死亡し両親が逮捕されたりするなど、痛ましい事件が相次いでいます。

政府は児童虐待の防止に向けて法律の改正案を今の国会に提出する予定で、全国の警察も児童相談所や学校などとの連携を強化し、虐待の兆候を早くつかんで子どもの保護や捜査を始めることで、被害の深刻化を防いでいきたいとしています。

警察から児相へ通告8万人 5年で4倍に

全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは去年初めて8万人を超え、平成25年から5年間で4倍近くに急増しています。

内訳は、親から暴言を受けたり親どうしの暴力を見たりして心に傷を受ける「心理的虐待」が5万7434人と最も多く、全体のおよそ70%に上り、このうち、父親が母親に暴力を振るっているところなどを目撃するいわゆる「面前DV」が60%以上を占めています。

▽次いで「身体的虐待」が1万4836人、
▽いわゆる「ネグレクト」などが7722人、
▽「性的虐待」が260人、となっています。

児童相談所への通告が急増していることについて、警察庁は、子どもが犠牲となる悲惨な事件が相次ぐ中、国民の関心が高まり、早い段階で警察に通報が寄せられていることが背景にあるとみています。

一方、去年、児童虐待の事件で検挙された1419人のうち74%にあたる1048人が男性で、このうち血縁関係のある父親が622人と最も多いほか、母親の再婚相手や内縁の相手から子どもが虐待を受けるケースも相次いでいます。

警察庁長官「憂慮すべき状況」

去年1年間の児童虐待の検挙件数や被害に遭った子どもの数がこれまでで最も多くなったことについて、警察庁の栗生俊一長官は14日の定例の記者会見で、「憂慮すべき状況だ。政府内で検討されているさらなる対策を踏まえて、児童相談所や学校などの関係機関と連携し、児童の安全を最優先にした取り組みを進めていきたい」と述べました。

根本厚労相「関係機関と連携強化し防止に全力」

去年1年間に検挙された児童虐待事件が、これまでで最も多くなったことを受けて、根本厚生労働大臣は児童相談所が警察と情報を共有するなど関係機関の連携を強化し、児童虐待の防止に全力を挙げる考えを強調しました。

全国の警察が検挙した児童虐待の事件は、去年1年間で1380件、被害に遭った子どもは1394人と、いずれもこれまでで最も多くなったことが警察庁のまとめで分かりました。

これについて根本厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で「児童虐待事件の検挙件数も被害に遭った児童の数も継続して増加したとのことであり、重く受けとめている」と述べました。

そのうえで「警察などの関係機関との連携は重要だ。痛ましい虐待事案が繰り返されないよう総力を挙げて取り組む」と述べ、児童相談所が警察と情報を共有するなど関係機関の連携を強化し、児童虐待の防止に全力を挙げる考えを強調しました。

柴山文科相「点検結果は速やかに公表したい」

柴山文部科学大臣は記者会見で、全国の学校などを対象に行った虐待の緊急点検について「重大な事案は、直ちに連絡するよう依頼していたが、現時点で報告は受けていない。現在、点検の結果を取りまとめており、可能なかぎり速やかに公表したい」と述べました。