罰禁止の法定化など
準備を急がせている」首相

千葉県野田市で小学4年生の女の子が死亡し、両親が逮捕された事件を受けた政府の対応めぐって、安倍総理大臣は参議院予算委員会で、児童虐待の緊急点検を今週8日までに終える考えを明らかにしたうえで、今の国会に提出する予定の児童福祉法などの改正案に体罰禁止の制度化を盛り込む考えを示しました。

国会では、新年度予算案が先週、衆議院を通過したことを受けて、4日から参議院予算委員会で質疑が始まりました。

この中で、国民民主党の櫻井充氏は千葉県野田市で小学4年生の女の子が死亡し、両親が逮捕された事件を受けた政府の対応について「児童虐待によって幼い子の命が奪われたことは非常に大事な問題だと思っているが、安倍政権でどのように取り組もうとしているのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「政府として深刻に受け止めており、把握しているすべての虐待ケースの緊急点検を今週8日までに完了する。今国会に提出を予定している児童福祉法などの改正案で、体罰禁止の法定化、ちゅうちょなく一時保護に踏み切れるよう、介入の担当者と保護者支援担当者の分離など、実効性のある対策を盛り込むよう準備を急がせている。児童虐待の根絶に向けて全力を尽くしていく」と述べました。

自由党の森幹事長は、先の米朝首脳会談について「会談の結果についての認識や今後の対応について聞きたい。拉致問題について何か進んだのか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「朝鮮半島の非核化を実現するとの強い決意のもと、安易な譲歩を行わず、同時に建設的な議論を通じて、北朝鮮に具体的な行動をうながしていくとのトランプ大統領の決断を全面的に支持する。拉致問題については、私自身がキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と向き合わなければならない。大使館ルートなどを生かしてさまざまな接触などを行ってきているが、中身については発言は控えたい」と述べました。

また、安倍総理大臣は、日米2国間の貿易協定の交渉対象の範囲について、「日米共同声明に沿って、基本的には物品貿易について議論していくが、早期に結論が出るものについては交渉も行う。しかしそれは、アメリカのライトハイザー通商代表と茂木大臣が協議をして合意したものについてであり、こちら側が拒否すれば当然入らない」と述べました。

体罰禁止明記を 自民 政府に提言

相次ぐ児童虐待事件を受けて自民党は、政府が今の国会に提出を予定している児童虐待防止法などの改正案について、体罰の禁止を明確に規定するとともに、民法の懲戒権も必要な見直しを検討するよう求める提言を、政府に提出しました。

自民党特命委員会の馳浩委員長が4日、根本厚生労働大臣と山下法務大臣に、それぞれ提言を手渡しました。

提言では、政府が今の国会に提出を予定している児童虐待防止法などの改正案について、体罰の禁止を明確に規定するほか、専門的な知見を踏まえた対応ができるよう、児童相談所に弁護士や医師の配置を義務づけること、さらに児童虐待の対応にあたる児童福祉司の国家資格化を検討することなどを盛り込むよう求めています。

また、民法で規定されている、親が子どもを戒める「懲戒権」の在り方についても、必要な見直しを検討するよう求めています。

政府は、提言の内容を踏まえて、近く改正案を取りまとめ、今月中に国会に提出したいとしています。

岸田政調会長「提言反映させ今国会で成立を」

自民党の岸田政務調査会長は、名古屋市で記者団に対し、「党としても安倍総理大臣の発言と同じ方向で努力を続けていきたい。党がまとめた政府への提言も反映させながら児童相談所の拡充などに向けて今の国会で法案を成立させたい」と述べました。

馳 元文科相「体罰禁止は法律で定義を」

馳 元文部科学大臣は記者団に対し「体罰の禁止は法律で定義をしっかりと決めたうえで、懲戒権との整合性も踏まえて進めていきたい。また、国民運動として体罰に頼らない子どもの教育を根付かせていかなければならない」と述べました。