戒権の規定削除や体罰
禁止の法整備を要望 議連

児童虐待を防止するため、超党派の議員連盟などは山下法務大臣に対し、親が子どもを戒める権利「懲戒権」の規定を民法から削除するよう要望しました。山下大臣は「重く受け止めたい」と述べました。

児童虐待の防止に取り組む超党派の議員連盟と自民党の議員連盟のメンバーは19日夕方、法務省を訪れ、山下法務大臣と面会しました。そして、親が子どもを戒める権利、「懲戒権」の規定を民法から削除することや、子どもへの体罰を禁止する法整備の検討などを要望しました。

これに対し、山下大臣は「重く受け止めたい」としたうえで、「懲戒権が虐待の理由に使われるのはよくないことで、規定の在り方を検討したい」と述べました。

超党派の議員連盟の会長を務める、自民党の塩崎元厚生労働大臣は「これ以上の犠牲を出すわけにはいかない。法務省の良識を信じたい」と述べました。

“体罰禁止規定“と“懲戒権見直し” を政府に提言 公明

相次ぐ児童虐待を受けて、公明党は児童虐待防止法に体罰を禁止する規定を新たに設けることや、親が子どもを戒める民法の「懲戒権」の規定を見直すことなどを求める提言を政府に提出しました。

千葉県野田市で小学4年生の女の子が死亡し、両親が逮捕された事件を受けて、公明党の石田政務調査会長らは総理大臣官邸を訪れ、菅官房長官に提言を手渡しました。

提言では、しつけに体罰は必要だという誤った認識を一掃するため、児童虐待防止法に体罰を禁止する規定を新たに設け、政府を挙げて周知徹底に取り組むべきだとしています。

また、親が子どもを戒める権利として民法に規定されている「懲戒権」について、しつけを理由とした体罰などを容認する根拠にされないよう見直しを求めています。

さらに、児童相談所から警察に必要な情報が速やかに提供されるよう、すべての児童相談所に警察官や警察官のOBを配置すべきだとしています。

これに対し、菅官房長官は「徹底的に対策を講じていきたい」と述べたということです。

厚労省「懲戒権との関連を整理し検討」

児童虐待事件が相次いでいることを受け、与野党から、しつけを名目とした体罰の禁止を政府が今の国会に提出を予定している、児童虐待防止法などの改正案に盛り込むよう求める意見が出ています。

これについて、根本厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で、「今の児童虐待防止法には、『親権者は、しつけに関して、必要の範囲を超えて児童を懲戒してはならない』と明記されている」と指摘しました。

そのうえで、「親が子どもを戒める、民法の『懲戒権』の規定との整理も必要なので、法務省と検討していきたい」と述べ、改正案に盛り込むかどうか、検討を進める考えを示しました。

自民 岸田氏「今の国会でどこまでできるか」

民党の岸田政務調査会長は大津市で記者団に対し、「まずは今の国会に提出される予定の児童虐待防止法などの改正案に、どれだけの要素を盛り込むのか、党内の議論を深めていきたい」と述べました。

一方で、民法に規定されている「懲戒権」については「在り方を検討するのは大事だが、今の国会でどこまでできるかはよく検討してみなければならない」と述べ、時間をかけて検討すべきだという考えを示しました。