トナムで米朝首脳会談
トランプ大統領が発表

アメリカのトランプ大統領は5日の一般教書演説で、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との2回目の米朝首脳会談を、今月27日と28日の2日間の日程でベトナムで開催すると発表しました。

この中でトランプ大統領は、朝鮮半島情勢について「人質は帰国し、核実験は中止し、この15か月以上ミサイルは発射されていない。自分が大統領に選ばれていなかったら、私の意見では、私たちは今、北朝鮮と戦争になっていただろう」と述べました。

そのうえで「まだ多くの仕事が残されている。しかし私とキム・ジョンウン委員長との関係は良好だ」と強調し、今月27日と28日の2日間の日程でベトナムで2回目の米朝首脳会談を開催すると発表しました。

トランプ大統領はベトナムのどの都市で会談が行われるかまでは言及しませんでしたが、開催地についてはベトナム中部のダナンが有力視されています。

2回目の首脳会談では北朝鮮の非核化に向けた具体的な措置とともに、北朝鮮がその条件として求める経済的な見返りへの対応が焦点になります。

官房長官「会談に向け政策すり合わせたい」

菅官房長官は午後の記者会見で「わが国としては朝鮮半島の完全な非核化に向けた北朝鮮側のコミットメントを含む、米朝首脳間の去年6月の合意が完全、迅速に履行されることを期待する。最も重視する拉致問題についても、米朝首脳会談が有意義なものになるよう、引き続き、アメリカと協力し、しっかりと政策をすり合わせていきたい」と述べました。

また、菅官房長官は「国連の安保理決議は、北朝鮮に対して核兵器を含むすべての大量破壊兵器および、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全、検証可能、不可逆的な方法での廃棄を求めている。わが国としては、引き続き、安保理決議の着実な実施のため、アメリカや韓国と協力し、中国、ロシアをはじめとした国際社会と緊密に連携していく立場に変わりはない」と述べました。

外務省「完全な非核化の仕組み作れるかがポイント」

外務省幹部は「会談では完全な非核化のための具体的な仕組みをつくれるかが重要なポイントとなる。去年6月の米朝首脳会談と同様に首脳どうしが文書に署名し、対外的に成果を示せる形となるよう、アメリカ政府に働きかけていきたい」と述べました。

外務省は米朝首脳会談に合わせて、金杉アジア大洋州局長らをベトナムに派遣する方向で調整していて、情報収集を行うとともにアメリカ政府と緊密な連携を図っていく方針です。

電話会談で米に拉致問題など働きかけへ

安倍総理大臣は、参議院予算委員会で「トランプ大統領と電話会談を行い、核・ミサイル、そしてわが国にとって最も重要な拉致問題について、緊密に方針をすり合わせていきたい」と述べ、米朝首脳会談の前にトランプ大統領と電話会談を行う考えを示しました。

また、河野外務大臣も「アメリカ側からも外相会談という話があるので、しっかりと、事前にすり合わせをしたい」と述べ、外相会談の開催を目指して、日程調整を進める考えを明らかにしました。

政府はこうした事前の会談を通じて、アメリカ側に対し、米朝首脳会談で完全な非核化の進展に取り組むとともに拉致問題の解決に向けた協力を重ねて働きかけることにしています。

一方、米朝首脳会談の際には外務省の金杉アジア大洋州局長らの現地への派遣を検討していて、引き続きアメリカ政府と緊密な連携を図っていく方針です。

韓国政府「歓迎する」非核化と制裁緩和に期待感

韓国大統領府の報道官は6日午後、会見で「歓迎する」としたうえで、「両首脳はすでにシンガポールで、70年に及ぶ敵対関係を改める第一歩を踏み出した。ベトナムでは、より具体的で実質的な進展に向けて歩み出してもらいたい」と述べました。

韓国としては、北朝鮮の非核化に向けた具体的な措置に加え、ムン・ジェイン(文在寅)政権が前向きな姿勢を示す南北の経済協力にも関わる制裁の緩和などに期待を示したものとみられます。

一方、ムン大統領はこれまで、米朝の仲介役を果たすことに意欲を示していましたが、大統領府関係者は、米朝首脳会談に合わせてムン大統領がベトナムを訪問する可能性について、「アメリカと北朝鮮の交渉にもよるが、可能性は高くないだろう」と述べて、否定的な見方を示しました。

ベトナム外務省が歓迎「成功に貢献したい」

ベトナムの国営メディアによりますと、外務省のレ・ティ・トゥ・ハン報道官は「アメリカと北朝鮮が2回目の首脳会談を開催することを歓迎する」と述べました。

そのうえで「ベトナムは朝鮮半島の平和と安全、安定を維持するための対話を強く支持する。2回目の首脳会談の成功に向けて、喜んで関係国と協力し、貢献する用意がある」と述べたということです。

会談の開催場所は、まだ明らかにされていませんが、レ・ティ・トゥ・ハン報道官は先月の記者会見で「ベトナムはおととし、中部のダナンでAPECを成功させていて、大きなイベントを開催する能力があると確信している」と自信を示していました。