首相 “聴き取り調査”検討 連座制議論も 衆院予算委 集中審議

国会は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて衆議院予算委員会で集中審議が行われました。

立憲民主党などが実態解明を急ぐよう求めたのに対し、岸田総理大臣は党として関係者の聴き取り調査を始める考えを明らかにしました。

また岸田総理大臣は、収支報告書に虚偽記載があった場合に国会議員も責任を負う「連座制」の導入について党の考え方をまとめ、各党と議論を行う考えを示しました。

衆議院予算委員会では、30日の岸田総理大臣の施政方針演説に先立って、政治資金問題をテーマに岸田総理大臣と関係閣僚が出席して集中審議が行われました。

冒頭、岸田総理大臣は「国民の信頼を損ねる大変深刻な事態を招いていることについて自民党総裁として心よりおわびを申し上げる。また問題に関連して閣僚や副大臣、政務官などから職を辞したいとの申し出があり、直ちに後任の閣僚などを任命した。こうした事態を招いたことについても任命責任者としての責任を重く受け止めている」と述べました。

そのうえで、先週、党が決定した「政治刷新本部」の中間とりまとめを受けて「政治資金の透明性やコンプライアンスの徹底など運用面での改革を先行して進めつつ、制度面での改革は各党・各会派との真摯(しんし)な協議を経て、政治資金規正法改正など必要な法整備を進めていく。私自身が先頭に立って必ず実行していく」と述べました。

そして「政治改革に終わりはない。今後も引き続き党の政治刷新本部で徹底的な議論を続け、政治に対する国民の信頼回復に向けて不断の改革に取り組んでいく」と強調しました。

▼自民党の丹羽秀樹氏は政治資金収支報告書に虚偽記載があった場合に国会議員も責任を負う「連座制」の導入をめぐり「会計責任者や秘書だけ処分され、政治家が逃げているという疑念を多くの国民が持っている。政治の側が責任をどうするのか、今後どのようにすべきと考えるか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「連座制は対象とする政治団体の範囲や違反の種類などさまざまな課題を丁寧に議論する必要がある。厳正な責任体制を確立する観点から連座制も含め党として考え方をまとめ、各党ともしっかり議論を行っていきたい」と述べました。

▼公明党の中川康洋氏は政党から議員に支給される「政策活動費」について「キックバックの隠れみのとして政策活動費という言葉が使われていたとすれば断じて看過できない。使途公開の義務化をはじめ透明性の強化に向け、あるべき姿をつくる必要がある」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「政策活動費は政党などの政治活動のためにあるもので、使途の公開はまさに政治活動の自由と関わる部分なので、ぜひ各党・各会派と議論を行い、自民党としても真摯に対応したい」と述べました。

▼立憲民主党の階猛氏は「政治資金の本来の趣旨とは真逆の方向に裏金が利用されているおそれがある。このことをしっかり自覚し、実態解明を早急に行う必要がある。いつまでにやるのか」と追及しました。

これに対し、岸田総理大臣は「関係者から聴き取りを行うことなどを通じて党として実態を把握し、政治的な責任について考えたい。党の役員には聴き取りの枠組みの作成を指示した。早急に始めたい」と述べました。

また、第三者委員会を設けて実態解明の調査を行うよう求められたのに対し、「第三者の目が必要だという点は指摘のとおりで、実態解明にあたり、外部の有識者に関わってもらうことも当然、考えていかなければならない」と述べました。

このほか、岸田総理大臣はこれまでに政治資金収支報告書の訂正を明らかにしている議員の人数について、「現状で清和政策研究会=安倍派で30人以上、志帥会=二階派で7人と承知している」と述べました。

▼日本維新の会の藤田幹事長は「派閥という、位置づけが非常にあいまいなものが肥大化し、党のみならず政府や国家を動かしてきた。このことを真摯に受け止め根本から絶ってほしい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「お金や地位、ポストについて党がガバナンスを強化する形で担う新しい党のしくみを考えていかなければならない。これから具体的な組織をつくり、党が機能を肩代わりするとか、ルールをつくることが重要だ。過去、指摘されてきたことを繰り返さないよう派閥のお金とポストの遮断を徹底する」と述べました。

▼共産党の塩川鉄也氏は事件の実態解明をめぐり「問題は安倍派や二階派だけに限られない。過去にさかのぼってどうなっていたかも含め、自民党所属議員全員の調査を行うべきだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「範囲を限定することなく必要な聴き取りを行っていく。説明責任、そして政治責任について党としてどう考えるのか判断していかなければならない。党としての責任を果たすため、聴き取り調査などを進めていく」と述べました。

▼国民民主党の古川国会対策委員長は「問題の本質は派閥の不正な行為をグリップできていなかった自民党という政党のガバナンスにある。政党のガバナンスルールについて定めた『政党版会社法』とも言える『政党法』を制定すべきだ」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「政治活動の自由が最大限、尊重されなければならないという観点から今まで一般的な政党法については慎重な議論も行われてきた。政党の政治活動の自由との関係において議論し、自民党も真摯に参加していきたい」と述べました。

また、国会議員に毎月100万円支給されている「調査研究広報滞在費」の使いみちの公開を義務づけるべきだと指摘されたのに対し、岸田総理大臣は「政治資金の透明化へ取り上げられるべき課題だ。自民党としても真摯に議論に参加していく」と述べました。

さらに岸田総理大臣は、おととし広島市で開かれた就任祝賀会をめぐり「会の収入が1000万円以上と見込まれる場合には必要な届け出を行うべきで、収支報告書の不記載にあたるのではないか」と指摘されたのに対し「主催者は地元の政財界が集まって結成した任意団体で、実際の収入も1000万円未満であり、指摘はあたらない」と述べました。