自民 “政府内の業務効率化に「生成AI」活用を” 首相に提言

「ChatGPT」などが急速に普及する中、自民党のデジタル社会推進本部は、政府内の業務の効率化のため、国会答弁の下書きや議事録の作成などで、速やかに「生成AI」を活用すべきだと岸田総理大臣に提言しました。

9日は、自民党のデジタル社会推進本部で本部長を務める平井 元デジタル大臣らが、岸田総理大臣に提言を手渡しました。

提言では「AIの進化は新たな経済成長の起爆剤となり得る」と指摘したうえで、AI政策の司令塔を決めることなどを盛り込んだ新たな国家戦略の策定を求めています。

そして、政府内の業務の効率化のため、国会答弁の下書きや議事録の作成などで、文章や画像を自動的に作り出す「生成AI」を速やかに活用すべきだとしています。

岸田総理大臣は「国際的な取り組みが必要であり、活用のメリットとリスクのバランスを取って進めなければいけない」と述べたということです。

平井氏は記者団に対し「安心で安全なAIをどうやって作っていくかの競争になると考えており、政府を挙げて、取り組みを進めるべきタイミングだ」と述べました。

岸田首相 「AI戦略会議」を新たに設置 課題などを検討へ

岸田総理大臣は、文書や画像を自動的に作り出す「生成AI」の開発や研究などに携わる関係者らと意見を交わし、今後、有識者などによる戦略会議を新たに設置して、課題やリスクへの対応を検討していく考えを示しました。

「生成AI」が急速に普及し、開発や規制のあり方が議論になる中、岸田総理大臣は9日、総理大臣官邸で生成AIの開発や研究などに携わる6人の関係者と車座で意見を交わしました。

この中で、出席したエンジニアが、岸田総理大臣の声を記憶させた生成AIを使って、自分の声を岸田総理大臣とそっくりな声に変換して会話するデモンストレーションを行い、こうした技術が、偽の動画などに悪用されているとして、対応を検討する必要があると指摘しました。

岸田総理大臣は驚いた表情で会話を聞いた上で、「取り組まなければならない課題はたくさんある。何よりもこの分野のスピードの速さに追いついていけるかどうかが政府の取り組みの大きなポイントになる」と述べました。

そして、今後、有識者などによる「AI戦略会議」を新たに設置して、課題やリスクへの対応を検討していく考えを明らかにしました。

G7教育相会合 成果文書たたき台明らかに「生成AI」の影響明記

今月12日から富山市と金沢市で開かれるG7教育相会合で、採択を目指す成果文書のたたき台が明らかになりました。文章や画像を自動的に作り出す「生成AI」などのデジタル技術の急速な発達が、教育にプラス・マイナス両方の影響を与えると明記しています。

たたき台では▽コロナ禍やウクライナ情勢を踏まえ、教育の価値を改めて共有し、停滞している国際的な人的交流を促進するとしています。

また、▽対話ソフトの「ChatGPT」をはじめ、文章や画像を自動的に作り出す「生成AI」などのデジタル技術の急速な発達が教育にプラス・マイナス両方の影響を与えると明記しています。

さらに、▽コロナ禍を契機としてリアルとデジタルを融合した教育を促進し、ICT=情報通信技術を活用できるよう環境整備を進めていくとしています。

このほか▽文系・理系の枠を越えた教科横断的な教育を進め、デジタルやグリーンなど成長分野に精通した人材を育成していくことや、▽教員が働きやすい労働条件の整備を推進していくことも盛りこんでいます。

G7教育相会合はテーマ別の具体的な討議を踏まえ、今月14日に成果文書を採択することにしています。