自衛隊の緊急発進 昨年度は2割余減 対「その他」は過去最多

領空侵犯のおそれがある航空機などに対する自衛隊の緊急発進は、昨年度は前の年度より2割余り減少しました。ウクライナへの侵攻を続けるロシアの機体に対してはこの10年で最も少なくなっています。

防衛省によりますと、航空自衛隊の戦闘機が昨年度行ったスクランブル=緊急発進は778回と、前の年度より226回、率にして23%減少しました。

国別では、
▽中国機が575回と全体の74%を占め、
▽ロシア機が150回と全体の19%でした。

ロシア機への緊急発進は前の年度より4割以上減少し、この10年では最も少なくなりました。

防衛省は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響については「確定的に答えることは難しい」としたうえで、ロシア軍と中国軍の爆撃機の共同飛行が昨年度は2度確認されるなど、両国が引き続き活発な活動を続けているとしています。

一方、正体不明の飛来物など「その他」に対しては53回と、統計を取り始めて以降最も多くなりました。

中国の気球がアメリカ本土の上空を飛行していたことがことし発覚したことを受け、正体不明の飛来物に対する緊急発進による確認を増やしたとみられています。

防衛省は、「外国政府の無人偵察用気球も含め、情報収集と警戒監視に努めていく」としています。

防衛相「中国機とロシア機の活発な活動は継続 警戒監視に万全」


浜田防衛大臣は、18日、閣議のあと記者団に対し「中国・ロシア両国の爆撃機による日本周辺での長距離にわたる共同飛行を2回確認したほか、中国無人機の飛行についての公表が昨年度の実績を大幅に上回るなど中国機とロシア機の活発な活動は継続している。引き続き、警戒監視に万全を期し、厳正に対領空侵犯措置を行っていきたい」と述べました。