国連 日本政府に“入管施設内の対応改善を” 勧告

国連の人権に関する委員会は、日本の入管施設で去年までの5年間に3人の収容者が死亡したことなどに懸念を示したうえで、日本政府に対して、施設内の対応の改善をはかるよう勧告しました。

国際的な人権規約に基づいて、各国の人権状況を審査している国連の委員会は、11月3日、日本国内の状況についての勧告を公表しました。

このなかで日本の出入国在留管理庁の施設において、2017年から去年までの5年間に3人の収容者が死亡したことを挙げ「施設内の医療状態が劣悪だという憂慮すべき報告がある」と懸念を示しました。

そのうえで、入管の施設内でも適切な医療へのアクセスを確保するなど、施設内の対応の改善をはかるよう勧告しました。

入管施設の対応をめぐっては去年、名古屋市にある入管施設でスリランカ人の女性が体調不良を訴えたあと亡くなり、遺族が国に賠償を求める訴えを起こしています。

また、委員会は勧告の中で日本政府に対し、国内の人権を保護するため国際的な基準にそった独立した人権救済機関を早期に創設することも求めています。

スイスのジュネーブで開いた記者会見で、委員会の担当者は「日本政府は外国人が不当な扱いを受けないよう、あらゆる適切な措置をとるべきだ」と改善を訴えました。

葉梨法相「きめ細かな人権救済に対応」

葉梨法務大臣は閣議のあとの記者会見で「人権救済制度は、従来、わが国においても議論のあるところで、不断の検討をしている段階だ。国連の勧告はしっかり受け止めるが、現段階では、個別法によるきめ細かな人権救済に対応していきたい」と述べました。