2090万円の公用車センチュリー 山口県知事に全額請求命じる判決

山口県が2000万円余りをかけて公用車として高級車「センチュリー」を購入したのは違法な支出だとして、住民が県に対し村岡知事に費用を請求するよう求めた裁判で、山口地方裁判所は「購入の必要性などの検討は不十分だと言わざるを得ず、知事は契約を阻止する指揮監督上の義務に違反した」として、県に対し知事に全額を請求するよう命じる判決を言い渡しました。

山口県はおととし、公用車としてトヨタの高級車「センチュリー」を2090万円で購入したことについて、元県職員の住民が購入は知事の裁量権の逸脱で違法な公金の支出だと訴えました。

これに対し、県は「貴賓車として使用するもので合理的な判断だった」などと主張していました。

11月2日の判決で山口地方裁判所の山口格之裁判長は、「センチュリーを貴賓車として常備する都道府県はわずかで、歳出削減の観点を踏まえて新たな公用車を購入する必要性や車種が考慮されるべきなのに、そうした検討はあまりに不十分だったと言わざるを得ない」と指摘しました。

その上で、「センチュリーの購入は県政運営にも関わる重要な事項で、知事には指揮監督上の義務に違反して契約を阻止しなかった過失が認められる」として、県に対し、村岡知事に費用全額の2090万円を請求するよう命じる判決を言い渡しました。

原告の元県職員「県民が豊かになるように税金を」

原告で元県職員の松林俊治さんは判決後に開いた会見で、「行政の裁量権は範囲が広いので法律違反を問うことは難しいと感じていたが最高の判決が出た。村岡知事には判決を肝に銘じて、県民が豊かになるように税金を使うなど今後の県政運営に取り組んでもらいたい」と話していました。

また、内山新吾弁護士は、「司法として行政の税金の使い方や決め方に対して大きな警鐘を鳴らした判断で画期的な判決だ」と評価しました。

山口県 村岡知事 “判決に驚き 控訴速やかに判断”

山口県の村岡知事は記者団の取材に対し、「今回の判決については正直、驚いている。単純に更新するのではなく、車種や契約方法について一から精査することが必要で、いろいろな批判があったのはおっしゃる通りだと思う。この問題が明らかになってからは100万円を超える備品を購入する際にはすべて私が精査することにした」と述べました。

その上で控訴については弁護士とも相談した上で速やかに判断する考えを示しました。

一方、現在使っているセンチュリーは売却せず、引き続き運用していくと説明しました。