岸田首相 “旧統一教会との関係断つ 党の方針として徹底”

新型コロナの療養期間を終えた岸田総理大臣は、31日から対面での公務に復帰し、記者会見を行いました。

旧統一教会との関係をめぐり岸田総理大臣は、閣僚などを含め自民党議員が懸念や疑念を持たれていることを陳謝し、関係を断つことを党の基本方針として徹底すると強調しました。

また、安倍元総理大臣の「国葬」について、国会の閉会中審査にみずから出席し、実施の意義などを説明する意向を明らかにしました。

旧統一教会との関係断つこと 党の基本方針として徹底

この中で、岸田総理大臣は、旧統一教会との関係をめぐり「閣僚などを含め、自民党議員について、『当該団体との密接な関係を持っていたのではないか』と、国民から引き続き懸念や疑念の声をいただいている。自民党総裁として率直におわび申し上げる」と陳謝しました。

そのうえで、党所属の議員がそれぞれ行った教会との関係の点検結果を集約して公表することや、教会との関係を断つことを党の基本方針とし徹底することなどを茂木幹事長に指示したことを明らかにし「自民党として説明責任を果たし、国民の信頼を回復できるよう厳正な対応をとっていく」と述べました。

そして、いわゆる霊感商法の被害者救済などに政府をあげて取り組む方針を強調しました。

「国葬」閉会中審査に出席 意義など説明へ

また、安倍元総理大臣の「国葬」について、岸田総理大臣は、憲政史上、最長の期間、重責を務めたことなど、実施を判断した理由を重ねて説明するとともに、諸外国から多数の参列希望が寄せられていることに触れ「日本国として礼節を持って応えることが必要だとの思いを強くしている」と述べました。

一方で「今回の『国葬儀』の開催は、国民に弔意を強制するものではないが、さまざまな意見とともに、説明が不十分との批判をいただいている。そうした意見、批判を真摯(しんし)に受け止め、正面から答える責任がある。政権の初心に返って丁寧な説明に全力を尽くしていく」と述べ、国会の閉会中審査にみずから出席し、「国葬」の実施の意義などを説明する意向を明らかにしました。

オミクロン株のワクチン接種 時期を10月から前倒しへ

岸田総理大臣は「今回、コロナに感染して強く感じたことは、ワクチンの有用性だ。ワクチンの4回目の接種を済ませていたことで軽い症状で済んだ。みずからの実体験も踏まえ、皆様には引き続きワクチン接種に協力をお願いする」と呼びかけました。

そのうえで、オミクロン株に対応したワクチン接種の開始時期を当初予定していた10月から前倒しする方針を明らかにしました。

また、感染の第7波のあとも見据えた新型コロナ対応について、専門家や現場の意見も踏まえながら、「全数把握」や陽性者の自宅療養期間の見直しなどを進めていると説明しました。

そして「今後、感染状況の推移を見ながら、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像について、適切なタイミングで改めて公表する」と述べました。

水際対策 入国者数の上限を5万人に引き上げへ

一方、新型コロナの水際対策について「世界各国で国際的な交流が活発しており、わが国もそうした交流に参加する」と述べ、来月7日から、一日当たりの入国者数の上限を今の2万人から5万人に引き上げるとともに、観光目的の外国人の入国についても、すべての国を対象に添乗員を伴わないツアーを認めるなど、さらなる緩和を表明しました。

世界各国の水際対策を勘案 さらに緩和を

新型コロナの水際対策について「今後は、G7=主要7か国並みの円滑な入国が可能となるよう、内外の感染状況やニーズ、また世界各国の水際対策を勘案しながら、さらに緩和を進めていきたい」と述べました。

旧統一教会 安倍元首相との関係 把握には限界

旧統一教会と安倍元総理大臣の関係について「安倍元総理大臣がどのような関係を持っていたのかについては、ご本人が亡くなられた今、十分に把握するということは限界があるのではないか」と述べました。

「国葬」警備や外国要人の接遇費用などは確定後に

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、今年度予算の予備費から支出を決定したおよそ2億5000万円以外にかかる警備や外国要人の接遇費用について「毎年度の予算で、警備や接遇の予算は計上しており、今回の警備や接遇についても、計上している既定予算の範囲内で対応する」と述べました。

そのうえで「具体的な数字については、外国要人の数など具体的なものが確定してからでないと数字を示すことができない。できるだけ早く示すよう努力はしていく」と述べました。

ゴルバチョフ氏 世界のリーダーとして大きな功績

岸田総理大臣は「ゴルバチョフ氏は、ソビエト連邦の最高指導者として、第2次世界大戦後の欧州の分断と東西対立の克服に重要な役割を果たし、米ソ間では歴史上、初めて核兵器の削減に合意し、冷戦を終結に導いた人物だ」と述べました。

また「大統領退任後の1992年には広島を訪れており、核廃絶に賛同する世界のリーダーとして大きな功績を残されている。大きな戦略的ビジョンと果断な実行力を有していたゴルバチョフ氏が果たした役割は大変大きなものがあろうと思う。改めて、ご功績をしのび、謹んで哀悼の意を表したい」と述べました。

次世代の原子炉の開発や建設 あらゆる選択肢を確保

次世代の原子炉の開発や建設を検討するよう指示したことについて「昨今のエネルギーをめぐる国内外の情勢を踏まえれば、国民生活や産業の基盤となるエネルギーを安定供給する体制を万全なものとしていく必要があり、あらゆる選択肢を確保しておくことが重要だ」と述べました。

一方で「可能なかぎり原発依存度を低減するという方針は全く変わらない。こうした取り組みを進める際に、これまで同様、安全性の確保を大前提とすることは当然で、これも変わらない。今後とも独立性の高い原子力規制委員会が、厳格に規制を行っていくという方針も変わらない」と強調しました。

「国葬」のような儀式 時の政府が判断し決定

「国葬」のような儀式を行う場合の基準を、あらかじめ設けておく考えはないか問われたのに対し「その時の政府が総合的に判断し、決定するのがあるべき姿だ。基準をもともと準備をしておいて、それをあてはめるというのではなく、国際的な状況、あるいは国内の状況、さらにはお亡くなりになられるまでのさまざまな経緯などを、時の政府が責任を持って判断をする。これがあるべき姿だ」と述べました。

「国葬」 各府省で弔旗掲揚や黙とうによる弔意の表明へ

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり岸田総理大臣は、葬儀委員長を務めるみずからの決定に基づいて、各府省で弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を行うことを明らかにしました。

来月27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」で、政府は、過去に国が関わった総理大臣経験者らの葬儀の大半で行ってきた、弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を各府省に求める閣議了解を見送りました。

これについて岸田総理大臣は「今回は、国民一人一人に弔意の表明を強制するとの誤解を招くことがないよう閣議了解は行わず、地方公共団体や教育委員会などの関係機関に対する要望も行う予定はない」と説明しました。

一方で、今回の「国葬」当日は、葬儀委員長を務めるみずからの決定に基づいて、各府省で弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を行うことを明らかにしました。

内閣支持率 下落の要因は旧統一教会や『国葬儀』の問題など

岸田総理大臣は、各種の世論調査で内閣支持率が下落している要因を問われ「世論調査などで支持率が下がっていることについては、旧統一教会の問題や『国葬儀』の問題などがあり、政治の信頼が揺らぎつつあることが大きいと思う」と述べました。

そのうえで「政治の信頼が今、揺らいでいるという雰囲気を感じ、深刻に受け止める。去年8月に『信なくば立たず』『政治の信頼が何よりも大事だ』と強調し、自民党の総裁選挙に立候補を表明した。あの時の思いを今一度、思い返し、国民の皆さんの厳しい声にしっかり応えていく」と述べました。

旧統一教会と自民党 長きにわたりさまざまな関係

旧統一教会と自民党との関係をめぐり、岸田総理大臣は、党としての対応方針を決定するまでに時間がかかったのではないかと質問されたの対し「次々と指摘が行われているが、何十年にわたって、長きにわたって、さまざまな関係があった。長い関係について、今一度明らかにする際に、自民党として時間がかかってきた」と説明しました。

宗教団体など各種団体と自民党との関係 判断できる体制を

宗教団体などの各種団体と自民党との関係をめぐり、岸田総理大臣は「まずは当該団体である旧統一教会との関係をしっかり整理しなければならないが、今後、社会的に問題がある団体との関係について、しっかりと判断できる体制を党の中に作っていく。茂木幹事長に指示を出したところであり、具体的にどうするかについては早急にまとめたい」と述べました。