新型コロナ 大阪モデル「赤色」に引き上げ 医療非常事態宣言も

新型コロナの感染拡大を受けて、大阪府は7月27日、感染状況などを伝える独自の基準「大阪モデル」を非常事態を示す「赤色」に引き上げるとともに、医療提供体制がひっ迫しているとして「医療非常事態宣言」を出しました。

大阪府では、26日に発表された新規感染者が過去最多になるなど感染が拡大し、病床の使用率も高くなっています。

こうした状況を受けて、大阪府は対策本部会議を開き、吉村知事は「感染はさらに拡大する可能性があり、発熱外来や救急外来を含めて医療全体がひっ迫している。また、入院患者の多くが70代以上の高齢者で、こうした点を踏まえた要請や対策を決めたい」と述べました。

これを受けて会議では「大阪モデル」を非常事態を示す「赤色」に引き上げるとともに、医療提供体制がひっ迫しているとして「医療非常事態宣言」を出しました。

合わせて府民に対し、こまめな換気など基本的な感染対策の徹底や早期のワクチン接種を呼びかけるほか、重症化のリスクが高い高齢者や基礎疾患のある人には不要不急の外出を控えるように、同居する家族など日常的に高齢者と接する人には感染リスクの高い行動を控えるように、呼びかけることを決めました。

飲食店などに対しては、営業時間の短縮は要請しませんが、マスク会食の徹底などを求めるとしています。

こうした要請は28日から8月27日まで行うとしています。

このほか会議では、感染者数の急増などを踏まえ、オンラインでの診療や薬剤処方の体制を強化することを確認しました。

対策本部会議の後に発表された27日時点の大阪府内の病床使用率は52.0%となり、非常事態の目安の50%を超えました。

太陽の塔が赤に

「大阪モデル」が非常事態を示す「赤色」に引き上げられたことを受けて、大阪 吹田市の万博記念公園にある太陽の塔が赤くライトアップされました。

太陽の塔が赤くライトアップされるのは、27日から来月2日にかけての、日没から午後11時までです。

「大阪モデル」で「赤色」が点灯するのはことしの4月24日以来です。

木原官房副長官「緊密に連携し対応」

木原官房副長官は、午後の記者会見で、大阪府が重症化のリスクが高い高齢者や基礎疾患のある人に不要不急の外出を控えるよう呼びかけることについて「各都道府県での感染対策は地域の感染状況やそれぞれの医療提供体制に応じて必要な取り組みを実施しているものと承知している。政府としては大阪府と緊密に連携し適切に対応したい」と述べました。

そのうえで「全国的にも感染者数は増加している。重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置き、ワクチン接種のさらなる促進や検査の活用・推進、効果的な換気の徹底などメリハリのある感染対策に取り組んでいきたい」と述べました。

“感染者や濃厚接触者の急増で社会活動全体に影響”専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国的にこれまでで最も高い感染レベルを更新し続けていて、医療体制に大きな負荷が起きている地域もあり、社会活動全体への影響も生じていると指摘しました。
感染リスクを伴う接触機会を可能なかぎり減らすことが求められ、それぞれが感染しない、感染させない対策をとるよう呼びかけています。

専門家会合は、現在の感染状況についてことし1月からの「第6波」を大きく超え、これまでで最も高い感染レベルを更新し続け、感染者や濃厚接触者の急増で社会活動全体への影響も生じていると指摘しました。

病床使用率はほとんどの地域で3割を超え、5割を超える地域も増えていて、特に沖縄県では8割を超えて厳しい状況にあり、医療従事者の感染が増えて医療体制への負荷が起きているとしています。

救急搬送が困難なケースも全国的に急増して、第6波のピークに近づき、新規感染者数は高齢者を含めて、すべての年代で増えていて今後、重症者や死亡者の増加が懸念されるとしています。

また、すでに感染力の強い「BA.5」に置き換わったと推定され、全国的に今後も過去最多の感染者数の更新が予測されるため、最大限の警戒感を持って医療体制への影響を注視する必要があると強調しました。

専門家会合はそれぞれが感染しない、感染させないための対策に取り組むことが必要だとしていて、大人数での会食やお盆や夏休みの帰省などで高齢者と接する場合に事前の検査を推奨し、症状のある人が医療機関を受診する前に抗原検査キットで自分で検査できるようにするためキットの安定的な供給が重要だと指摘しました。

また、ワクチン接種のさらなる促進、効果的な換気などが必要だとしていて、基本的な感染対策として少しでも体調が悪ければ外出を控えることや、リモートワークを再び推進すること、それにイベントや会合を行う場合は感染状況を踏まえて開催の可否を検討することなどを求めました。

脇田座長「感染拡大で社会活動への影響始まっている」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は今後の見通しについて「きょうの会合ではさまざまな見方が示された。全国的には増加が続くのではないかという見方もあれば、一部の地域ではピークが近くなっているという予測もあった。ただ、現在、検査や報告が適切にできなくなっていて、疫学的な評価が正確にできていない状況があるという意見もあった」と話していました。

また、感染拡大により、今後、行動制限が必要になるのではないかという質問に対しては「専門家の中でも医療現場だけでなく、社会活動への影響が始まっているという認識があった。感染者数の抑制が必要だというのが専門家の共通の認識だと思う。ただ、まずは国民一人一人が感染対策を徹底することが求められる状況で、国民の感染対策を国や自治体がサポートしていくことが重要だ。行動制限が必要になるかどうかについては現在、医療が厳しい状況になってきていて、今後、重症者や死亡者の増加が見込まれることから、今、何がいちばん、効果的な感染対策なのかを議論していく必要がある」と話していました。