塩野義製薬のコロナ飲み薬 承認の可否は7月判断へ 厚労省

塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスの飲み薬について、厚生労働省の専門家部会は6月22日から審議を始めました。

有効性などについて慎重に議論を重ねる必要があるとして承認の可否については7月、判断する見通しです。

22日から厚生労働省の専門家部会で審議が始まったのは、塩野義製薬が開発した新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」(一般名「エンシトレルビル フマル酸」)です。

軽症の段階で服用できる薬で、先月、新たに創設された緊急承認の制度を使って申請されました。

審議では委員から「第7波に備え治療の選択肢として持っておくべきだ」といった意見があった一方で「症状の改善は小さく、すでにほかの治療薬もあり承認する緊急性はない」という指摘があったということです。

そのうえで治験データを踏まえた有効性や副作用などの安全性について慎重に議論を重ねる必要があるとして、審議を継続することが決まりました。

承認の可否については来月、判断される見通しで、承認されれば国内の製薬会社が開発した初めての飲み薬となります。

会社によりますとこの薬は偽の薬を服用したグループと比較する治験を行った結果、ウイルスが検出された人の割合が90%減少したということです。

また、疲労感や体の痛みなど12の症状については明確な差は出なかったものの、呼吸器の症状は改善し、副作用は軽度だったとしています。

厚生労働省は承認後に塩野義製薬から100万人分を購入し、それ以降も一定量の購入を続けることで基本合意しています。

塩野義製薬のコロナの飲み薬とは

「塩野義製薬」の新型コロナウイルスの薬は、国内の製薬会社が開発した軽症の段階で使える初めての飲み薬です。

新型コロナウイルスは感染すると細胞内に侵入し、ウイルスそのもののRNAをコピーして増えていきますが、新たな薬ではコピーの準備段階で働く酵素を機能しなくすることでウイルスの増殖を抑えます。

アメリカの製薬大手、ファイザーが開発した飲み薬「パキロビッドパック」と同様の仕組みで、塩野義製薬はことし2月、この薬の承認を厚生労働省に申請しました。

ことし4月に感染症の国際学会で発表された治験の結果によりますと、オミクロン株の感染が拡大したことし1月から2月までに、12歳から70歳未満の軽症から中等症の新型コロナ患者428人を対象に調べたところ、薬の投与を1日1回、3回受けたあとでは、▽せきや▽のどの痛み▽鼻水・鼻づまり▽息切れ、▽熱っぽさがあることの5つの症状が偽の薬を服用したグループと比べ改善したとしています。

一方で、当初の評価項目としていた下痢や吐き気などを加えた12の症状を合わせて比較すると、偽の薬グループと比べて明確な差は出なかったとしています。

また、感染性のあるウイルスが検出された人の割合は偽の薬を服用したグループと比べて90%減少し、ウイルスが陰性になるまでの時間は1日から2日間、短くなったということです。

安全性について重大な有害事象はなかったとしていて、会社では最終段階の治験も並行して進めています。