G7首脳会議 生物・化学兵器や核兵器に警告 首脳会談も

岸田総理大臣は、ベルギーで開かれたウクライナ情勢をめぐるG7=主要7か国の首脳会議に出席しました。
ロシアへの制裁措置として、貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」の撤回に向けた法改正を今の国会で行うための準備を急ぐほか、ウクライナやその周辺国に1億ドルの追加の人道支援を行うことなどを表明しました。

岸田総理大臣は、日本時間の24日夜から25日未明にかけてベルギーの首都ブリュッセルで開かれたウクライナ情勢をめぐるG7=主要7か国の緊急の首脳会議に出席しました。

この中で岸田総理大臣は、ウクライナの状況は、国際秩序の根幹をめぐる歴史の岐路に立っており、国際社会が連携してきぜんと対応していく必要があると指摘しました。

そして、ロシアに対する制裁措置をめぐり貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」の撤回に向けた法改正を今の国会で行うために準備を急ぐことや、ロシアがデジタル資産を用いて制裁を回避しようとする動きに対応するため、金融面の制裁をさらに強化すること、81の軍事関連団体を輸出禁止の対象とし、プーチン政権に近いとされる「オリガルヒ」と呼ばれる富豪らの一部を制裁対象に追加することなどを表明しました。

また、先に表明したウクライナや周辺国への1億ドルの人道支援に加え、さらに1億ドルの支援を行う方針を表明したほか、ウクライナからポーランドなど周辺国に避難している人たちを支援するため、自衛隊の医官などを派遣することも念頭に、保健医療分野での人的貢献を行うことや、引き続き国内での避難民の受け入れを進める方針も明らかにしました。

さらに、世界経済をめぐって、岸田総理大臣は「ロシアによる侵略がエネルギーや食料価格の高騰に拍車をかけており、G7が協調して影響を受けている国への支援や自由貿易の推進、エネルギー安全保障に取り組むことが重要だ」と指摘しました。

そして、エネルギー市場の安定化に向けて先にサウジアラビアのムハンマド皇太子らと電話会談を行い、原油の増産も含めて積極的な協力を呼びかけたことに触れ、引き続きこうした働きかけを行っていく考えを示しました。

また、先にインドとカンボジアで両国の首脳と会談した結果なども報告し、G7唯一のアジアからの参加国として、アジア地域でもロシアに対する包囲網の形成に貢献する方針を伝えました。

このほか、岸田総理大臣は、唯一の戦争被爆国で、被爆地・広島出身の総理大臣として、ロシアによる大量破壊兵器の使用への深刻な懸念を示し、生物・化学兵器や核兵器による威嚇や使用は絶対に許されないと強調しました。

一方、岸田総理大臣は、きのうの北朝鮮による弾道ミサイル発射を強く非難し、北朝鮮の核・ミサイル開発問題に対し、G7として連携して対処していくことを確認しました。

会議のあと、岸田総理大臣は記者団に対し「今回の対面でのG7首脳会合はロシアの暴挙を決して許さず、G7が主導して国際社会の秩序を守り抜くという強い決意を確認する大変有意義な会合となった」と述べました。

そのうえで「私から、ロシアによる平和条約交渉の中断宣言にひるむことなく、今後とも断固とした対応をとっていくと強調した。わが国はG7の来年の議長国として各国と緊密に連携しながら、ロシアの侵略に対する国際的な取り組みをリードしていきたい」と述べました。

G7首脳会議 ロシアに生物・化学兵器や核兵器使わないよう警告

G7=主要7か国の首脳会議は、ウクライナに軍事侵攻したロシアを非難し撤退を要求するとともに、ロシアが生物・化学兵器や核兵器を使わないよう警告する首脳声明を発表しました。

会議のあと発表された首脳声明では、ロシア軍による、ウクライナ国民と病院や学校を含む公共インフラへの攻撃を非難し、国際刑事裁判所が戦争犯罪の証拠を収集するのに協力するとしています。
そしてロシアに軍の撤退を要求するとともに、ウクライナと周辺の国への人道支援を強化し、国外へ避難した人の受け入れや保護などに関与していくことを強調しています。
また、ロシアに対して、原子力施設を危険にさらすいかなる行動も控えるよう求めているほか、生物・化学兵器や核兵器を使用しないよう警告するとしています。
さらに声明では、ロシアのエネルギーへの依存度を下げる取り組みをさらに進めるとともに、世界的な食糧危機を防ぐために必要な行動を取るとしています。
このほか、国際機関や多国間の枠組みはロシアに対してこれまでどおりに対応すべきではないとして、ロシアを孤立させるよう国際社会に一致した対応を呼びかけています。

日米首脳が短時間協議 “力による現状変更許さず” 認識一致

ウクライナ情勢などをめぐり、岸田総理大臣は日本時間の24日夜、訪問先のベルギーでアメリカのバイデン大統領と短時間協議し、いかなる地域でも力による一方的な現状変更を許してはならず、そうした試みには甚大なコストが伴うことを明確に示すことが重要だという認識で一致しました。

この中で岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略に対して断固たる対応を取るためのアメリカの指導力を高く評価している」と述べました。

そして両首脳は、いかなる地域でも、力による一方的な現状変更を許してはならず、そうした試みには甚大なコストが伴うことを明確に示すことが重要だという認識で一致しました。

また、24日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射をはじめとした北朝鮮の核・ミサイル活動について、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識で一致し、これを非難するとともに、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

さらに両首脳は、バイデン大統領が日本を訪問する機会も念頭に、日米同盟のいっそうの強化に向けて引き続き議論することを確認しました。

両首脳が対面で会談するのは去年11月にイギリスで開かれた気候変動対策の国連の会議、COP26の首脳会合以来となります。

避難民受け入れのため 古川法相をポーランドに派遣へ

岸田総理大臣は日本時間の25日午前1時前、訪問先のベルギーでポーランドのモラウィエツキ首相と会談し、ウクライナからの避難民の受け入れを進めるため、みずからの特使として古川法務大臣をポーランドに派遣する考えを伝えました。

この中で岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略は、ヨーロッパにとどまらず、アジアを含む国際秩序全体の根幹を揺るがす深刻な事態であり、わがこととしてとらえ、厳しい制裁措置とウクライナへの支援を行っている」と述べました。

そのうえで両首脳は、祖国を守るため懸命に行動するウクライナの人々を断固たる決意で支援していく必要があるという認識で一致しました。

そして岸田総理大臣は、国内でのウクライナ避難民の受け入れと、生活支援のための体制を構築していると説明し、現地のニーズを的確に把握するため、みずからの特使として、古川法務大臣をポーランドに派遣する考えを伝えました。

また岸田総理大臣は、カナダのトルドー首相やNATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長とも短時間会談し、ウクライナ情勢への対応で緊密に連携していくことを確認しました。

日英首脳会談 ロシアへの制裁継続とウクライナへの支援で一致

ベルギーを訪問している岸田総理大臣は24日夜、イギリスのジョンソン首相と会談し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、G7=主要7か国が協調して厳しい制裁を継続するとともに、ウクライナへの最大限の支援を行っていく方針で一致しました。

この中で、岸田総理大臣は「ウクライナの危機が日々深刻さを増す中、いまほどG7の結束が求められている時はなく、基本的価値を共有するイギリスとの緊密な連携を重視している」と述べました。

これに対し、ジョンソン首相は、岸田総理大臣のこれまでの対応を高く評価する考えを伝え、両首脳はG7が協調してロシアに対する厳しい制裁を継続するとともに、ウクライナへの最大限の支援を行っていく方針で一致しました。

また、ロシアによる軍事侵攻はヨーロッパにとどまらず、アジアを含む国際秩序全体の根幹を揺るがす深刻な事態だという認識を共有し自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、引き続き連携することを確認しました。

さらに、ことし6月にドイツで開かれるG7サミット=主要7か国の首脳会議に向けて協力していくことで一致しました。

一方、岸田総理大臣は、24日の弾道ミサイルの発射など、北朝鮮による核・ミサイル活動は、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だと指摘し、引き続き連携して対応することを確認しました。

岸田首相とEU大統領 ロシアへの制裁含めた対応で連携確認

岸田総理大臣は、訪問先のベルギーで、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領と会談し、ウクライナ危機が日々深刻さを増す中、今ほど結束が求められているときはないとして、ロシアへの制裁を含めた今後の対応で連携していくことを確認しました。

この中で岸田総理大臣は、ウクライナ危機が日々深刻さを増す中、今ほど結束が求められているときはなく、基本的価値を共有するEUとの緊密な連携を重視していると伝えました。

これに対しミシェル大統領は、これまでの日本のロシアに対する制裁やウクライナ支援などに謝意を示し、両氏は今後の対応で連携していくことを確認しました。

また両氏は、ロシアの軍事侵攻は欧州だけにとどまらず、アジアを含む国際秩序全体の根幹を揺るがす深刻な事態だとして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日本とEUとの間での協力が重要だという認識を共有しました。

一方、岸田総理大臣は、24日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を含めた一連の核・ミサイル問題について国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だと指摘し、日本とEUで緊密に連携して対応していくことを申し合わせました。

また岸田総理大臣はこれに先立ち、EUのフォンデアライエン委員長とも会談し、同様の内容を確認しました。